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ディフェレンター  作者: 論です
1章 東洋編
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35話 思いと御守り

itを見て終始爆笑したこの頃。金曜ロードショーでやっていたit。ホラー映画と聞いていましたが、ペニーワイズの顔が面白すぎて恐怖が何処かに行ってしまいました。it面白かったです。

依頼を終えた私とアルトは首都にて休日を謳歌していた。


「買い物、付き合ってくれてありがとう......」

「気にすることねえよ。どうせ俺も暇だったし、行かなきゃ行かないでアキハに殺されてただろうし」

「アキハが、アルトを......?」

「気にしなくていいって」


アルトは顔の前で手を振って目を逸らす。

少し感情が昂ってるような音が聞こえたけど、本人の言う通り気にすることじゃないと思った。


------------------------


ここ東洋の首都には一日に何百人もの人が利用する巨大なデパートがある。

一般人だけでなく、異能力学園の生徒も利用出来るように異能力に関するお店がいくつかあるのが特徴的。と言っても普通に服屋や本屋の方が学生達から人気だったりもする。

私もここの本屋に行く事がよくある。

そんなデパートに私とアルトが行く事になったのは丁度昨日の夜の事だった。

元々はアキハが買い物に行く予定だったらしいけど、急な用事が入ったようで私とアルトで行く事になった。


「全く......アキハには何かと面倒事を押し付けられてるような気がするんだが」


アルトが溜息を吐きながら言った。


「アキハも忙しいんだよ......きっと......」


私は相槌を打つように返した。

そこで会話が終わりアルトとの間に沈黙が流れる。

話し下手な私では長く会話が続く事がない。最近の悩みだ。せめてアルト(パートナー)相手ぐらいはちゃんと話せるようになりたい。

頭の中で話題を巡らせていると、ふと依頼のことがよぎり、アルトの姿を見てそれを口にした。


「そういえば、アルト、異死徒拾伍段倒したんだよね。拾肆段......すごいね......」


急に話題を振られてアルトは驚いた表情する。

それから自分の脇腹を(さす)りながら少し困った様子で答えた。


「まぁ、()()()が境地のやり方教えてくれたからな」

「アイツ......って()()()()のアルト......?」

「ああ、()()()元気にしてたよ。なかなか連絡くれなかったのは、なんか調べ物してたらしい」

「そうなんだ......」


最初の依頼の時から連絡が取れなかったって言ったけど元気そうでよかった。それはそうと。


「また、無理したんだね......」


私はアルトの怪我を見る。

アルトの怪我は全治三日とのこと。当然ユスケの異能力でほとんど治してもらっているが、それでも完治はしてない。

ユスケ曰く、人は異能力による回復を覚えると体本来の治癒能力を忘れてしまうらしい。だから完治はさせないとのこと。

そのためアルトは未だに包帯を巻いた状態で生活している。

アルトは困ったように視線を泳がせながら後頭部を掻いた。


「少しだけな......その、ごめん」


アルトは申し訳なさそうに頭を下げた。


「アルトが生きて帰ってきてくれた事は嬉しい。けど、それ以上に、アルトに怪我して欲しくなかった......無理して欲しくなかった......」


込み上がってくる後悔に胸が苦しくなる。

どんなに強くなっても、どんなに賢くなっても、パートナーを無理をさせてしまう自分が悔しい。

アルトは私の言葉を聞いて、ただ一言「ごめん」と言った。

そこで会話は途切れ、私とアルトは少し距離を開け、気不味い空気を抱えたまま歩いた。

私が選ぶ言葉を間違えたせいでアルトを不快にさせてしまったのだろう。私が自分の気持ちを伝えたせいでアルトを困らせてしまったのだろう。

そうやって私はいつも犯した過ちに、遅れて気づく。

そんな自分が私は嫌いだ。だから私は。


「ミアが気にかける事は何もないよ」

「えっ?」


アルトは私の前に立ち、言った。


「ミアを不安にさせたのは悪いと思ってる。けど、あれは俺が選んだ事だ。ミアのパートナーとして、隣にいるために俺が決めた覚悟だ」


アルトから強く、固く、それでもどこか優しい音が聞こえた。

嘘偽りない自分の思った事をそのままアルトは口にしている。そんな音だった。


「ヒュウガに言われたんだ。絶殺のパートナーを名乗るなら強くなれって」


ヒュウガさん。アルトにそんな事を言ってたんだ......。


「だから証明したかった。俺は絶殺の、ミアのパートナーを名乗るにふさわしい男だって。誰でもないミアに言いたかった。俺が、学園最強(ミア)のパートナーだ! って......」


アルトは至極真面目に言った。

通行人が足を止めこちらを気にかけるくらい大きな声で。それに気づいて言った本人が耳を真っ赤にし、恥ずかしそうにしてるのが少し可笑しく、そして、今まで誰にも言われなかったその言葉が嬉しくて、私は微笑みながら答えた。


「ありがとう......アルト......」


私の台詞に顔が真っ赤になるアルトの手を引いて、私は通行人の間を通り抜けた。


------------------------


私はアキハに頼まれた物が売ってるお店にやって来た。


「ここは?」


未だ顔の赤いアルトは困惑しながら聞いた。


「アキハに頼まれた場所。私もたまに来るお店。少し待ってて......」


私はアルトを残してお店の中へ入った。


お店の中で私はアキハに頼まれた商品がある場所まで進んだ。

ヘアゴム。髪の長いアキハが新しいのが欲しいと言っていたもの。髪の短い私にはあまり縁のないもの。


「それ、買うのかい?」


後ろから話しかけられる。私は慌てて振り向き、その人の顔を見る。

そこにはエプロンを着た金髪の男性がいた。


「ジェルさん、こんにちは......」

「こんにちはミアちゃん。それはアキハにちゃんのかい? って事は今日は一緒じゃないのかな?」


この人はジェル・ラビンス。このアクセサリーショップの店長の息子さん。


「アキハは、用事があるって言ってました」

「それでおつかいかい? 君もよく振り回されるね」


事情を知ったジェルさんは呆れながらに言った。


「いえ、アキハは......いい友達です......」


私は手に取った二つのヘアゴム見つめながら返した。

ジェルさんは少し笑いながら、それ以上何も言わずレジの方へ歩いた。私も会計を済ませるためにその後に続く。

歩いてる途中にある物が目に入った。

不思議な形のペンダント。

私は少し気になって、いつの間にか手に取ってそれを眺めていた。

私の様子に気づいたジェルさんがペンダントについて説明してくれた。


「それは俺が加工を頼まれたものでね、引っ張ると二つになる仕組みなんだよ」


私はジェルさんの言う通り縦と横でペンダントを引っ張ってみた。すると、カチッと言う音と共にペンダントが二つに分かれた。

片方は星の形、もう片方は月の形をしてる。どちらも綺麗な色をしていた。


「この二つ、何か意味あるんですか?」


私はペンダント手に持ったまま聞くとジェルさんは真面目な顔で「ないよ」と答えた。

私は特に何も言わないまま、ペンダントとヘアゴムをレジに持っていった。


「買うのかい?」

「......買っても大丈夫ですか? 一個しかないないですし、頼まれて加工したって.....」


購入する前にそもそも購入して大丈夫なのかをジェルさんに確認する。するとジェルさんは「問題ないと思うよ」と曖昧に答えた。


「依頼主から形を加工したなら後は好きにしていいって言われたからね。大丈夫だと思うよ」

「......そういうことなら買います。

「毎度。片方、あげる相手でもいるの?」


ジェルさんはレジを打ちながら面白そうに聞いた。

私は少し考えて。


「パートナーにあげます。私の大切なパートナーに......」


と答えた。


「そうかい。それはいい......」


ジェルさんはまるで自分の事かのように嬉しそうな声で言った。

その後会計を済ませて店を出た私は、外で待っていたアルトに月の形をした方を渡した。

アルトは困惑した様子でペンダントを見つめた。


「これなに? どうしたの?」

「アルトに、プレゼント......」

「なんで?」

「御守り。四日後、遠征だから......」


その言葉を聞いたアルトの表情が険しくなった。

どこか緊張する音が聞こえる。

そんなアルトを(なだ)めるように手を握る。


「大丈夫。もし何かあっても私がアルトを守る。それに遠征はアキハたちもいる。みんなに頼っていい。だから生きて帰って来よう......」


アルトは少し困ったように、顔を赤くした。

そして、私が渡した月の形のペンダントを首に掛け、


「そうだな。生きて帰って来よう」


アルトは笑いながら答えた。

その笑顔を見た私は「あっ」と声を漏らした。


「どうしたミア?」


アルトが不安そうに私を見つめる。

私はアルトを心配させないようにただ一言だけ言った。


「なんでもないよ......」


アルトはそれ以上追求はせず、そのまま二人帰路に着いた。


------------------------


アルトの笑顔を見た時、どこか胸の奥がギュッと締め付けられるような気がした。

それがなんなのかは私にはわからない。そういう感情に乏しいから......。

それでも、アルトの隣は温かく感じた。

このペースでは不味いのでは。と考え出したこの頃。

一応最終回まで見据えてはいるんですけど、最終回書くのがすごい先になって話数が五百とか千とか行ってそうで怖い。もう少しコンパクトに出来るよう頑張ります。


さて今回日常回なのですが、少し変えてミアちゃん視点で書きました。自分が男というのもあって女性視点で一話書くのは難しいですね。なかなか苦戦しました。

それと後半チラッと出てきたジェルさん。これからも日常回でちょくちょく出していくつもりです。いわゆる主要的モブキャラです。

あとは話の通りではありますがもう一話ある日常回が終われば次は遠征です。エルモアやカエデ達が戦います。どうぞご期待ください。


最後までご愛読ありがとうございます。次回も是非見て下さい。

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