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ディフェレンター  作者: 論です
1章 東洋編
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30話 足りないものと悩み事

祝!三十話!これからものんびりに書き続けますので、よろしくお願いします。

特訓を始め五日が経った。

過剰なメニューのおかげか、体力は結構ついたと思う。異能力を維持出来る時間も伸びてきて成長を感じる。

ただ、ミアには勝てない。ミアが境地に至ってるというのもあるが、それを抜いても俺とミアの実力差は一ミリたりとも縮んでない。さらに言えば、体術だけでなく剣術の時点で俺はミアに劣っていた。


------------------------


今日はミアが学園長に呼ばれてるという事で一人で自主練をしていた。


「ただ、ひたすらに剣を振ったところでミアには擦りもしないし、うーん...どうすりゃあ良いのかなぁ...?」


俺が頭を悩ませていると背後から人が来ている事に気付いた。

振り向くと、いつの間にいたのか、頭上から木刀が振り下ろされていた。

咄嗟に刀で防いだ事で怪我をすることはなかった。木刀を弾くと、その持ち主が少し距離を取り口を開いた。


「最低限はあるな。今のを防げなきゃ、ここで殺してるところだった」


短い銀髪に蒼い瞳、カエデよりも少し高い身長に、俺より歳上だと思わせるその男の声は刃物のように鋭かった。


「あんたは?」


俺が聞くと、男は木刀を構える。


「雑魚に名乗る名はねぇよ。代わりにお前に足りねぇもんを、お前の体に叩き込んでやる」


そう言って男は俺に切り掛かってきた。

慌てて刀を構えるも、いとも簡単に俺の防御を崩した。そして、四発撃ち込まれる。


「弱過ぎる。ほんとにダイチを倒したのか?ほんとに絶殺のパートナーか?ほんとに異死徒拾伍段と戦ったのか?やっぱ期待の新人はハッタリだったか...多少は期待したんだがな...」


ダイチやミア、異死徒拾伍段の事を出てきて少し驚いたが、よく見れば学園の制服を着てる。この学園の人間だ。

俺はゆっくりと立ち上がりながら言う。


「いきなり現れては言いたい放題か、この学園の奴は随分と自分勝手が多いようだな」

「雑魚がほざくな。お前にはその程度の実力しかねぇんだ言われて当然だ。剣を振るしか能の無いゴミが!」


口の悪いその男は再び俺に切り掛かって来た。

俺も刀に影を纏わせ対抗する。

この男は強い!

何度も撃ち合ってわかった。

この男の剣は一撃一撃が重く、速い。そして的確だ。俺の守りの薄い場所を的確に撃ち込んでくる。俺の剣とは比べ物にならないほどに強い。

何発も撃ち込まれて体中が痛い。

この男、実力だけならミア並みだろう。


「やっぱ弱ぇよお前。一体この五日間何を学んだんだ?やり方は分かっても、何一つ形になってない」

「そんなこと言われても!俺だって頑張ってる!全力で!」

「頑張るを自分の慰めに使うな!そんなのは哀れな人間のやることだ!」

「くっ!!」

「哀れな人間が絶殺のパートナーなど笑わせるな!今の貴様にあの娘といる資格はない!」

「ミアといるのに資格なんているのかよ!俺があいつに見合わない事くらいわかってる!だから!ッ!」

「だから、頑張っているか!お前はほんとに哀れだ!」


男が強く踏み込み突きの構えをする。


「弱いままでいたくないなら、全力で這い上がれ!全力で全てをこなせ!」

「ッ!!」


俺は眼を見開く。

男は一本の刀から五箇所、全く同時に突きを放った。

そしてその全てが俺を貫き、吹き飛ばした。


「絶殺のパートナーを名乗るなら、もっと強くなれ。この雑魚が...」


そう言い男は去っていた。

突きを喰らい、痛みが抜けない俺の意識はそこで途絶えた。


------------------------


「...!...ルト!...アルト!」


俺を呼ぶ誰かの声に目を覚ます。


「...ミア...?」


目が覚めるとそこにはミアの顔があった。


「アルト...気がついた...?」

「ああ...って!何してんだ!」

「...膝枕...?」

「そんな事は知ってるよ!何で膝枕してるんだよ!それと何で疑問形なんだよ!」


ミアは俺が毎回気絶して倒れるたびに膝枕をしてくる。

理由は「俺が喜ぶと思ったから」と特に意識せずにしているのがほんとにずるい。


「毎回毎回...そろそろやめてくれ...」

「嫌だった...?」

「嫌というか...心臓に悪い...」

「どうして心臓に悪いの...?」

「それは...」


俺が答えに詰まるとミアがとても悲しそうな表情をした。


(お願いだからそういう反応するのやめてくれ!)


俺は心の中で叫び、ミアを落ち着かせた。

とりあえず、一息つくために俺とミアは食堂に来た。


「そういえば、どうしてアルトはあそこで倒れてたの...?」

「ああ、それはだな...」


俺はミアが来るまで何があったかを話した。

銀髪の男の事も、学園の制服を着てた以上この学園の生徒だろうからミアなら知ってると思った。

しかし、返って来たのは意外な答えだった。


「銀髪の男性...それってアキハのお兄さんじゃない...?」

「アキハの兄貴?誰だ?」

「ヒュウガ・サキリ。学園で二番目に強いって言われてる人。生徒長とも仲が良くて、学園で一番古い人...」

「生徒長?一番古い?どういう事だ?うん?」


意味のわからない言葉ばかり出てきて頭がこんがらがる俺にミアが一つ一つ説明してくれた。


「生徒長って言うのは、学園の生徒を取り締まる生徒。普通の学校で表すなら風紀員みたいなの...」


風紀員が何かはわからなかったが、何となく理解した。


「一番古いって言うのは、この学園で一番長くいるって事。もうそろそろ十年になるんじゃないかな...」

「そんないるのか...何で卒業しないんだ?」

「わからない。ただ今、卒業したらこの学園が良くない方向に進むって言ってた...」

「良くない方向?どういう意味だ?」

「わかならい...」


ミアでもそのヒュウガという男の考えてる事はわからないらしい。


(良くない方向に進むか...)


多分長くこの学園にいるからこそわかる事なんだろう。俺らでは考えられない事だと判断したので考えを頭の隅に追いやる。


「でも、どうしてヒュウガさんはアルトを襲ったんだろう...?」

「俺に足りないものを体に叩き込むって言ってたけどな」

「アルトに足りないもの...?境地に関しては教えたつもりだけど...」


俺に足りないもの。その答えに俺はなんとなくではあるが、導き出していた。

ただ、それはミアに頼る事ではないと口にはしなかった。

「じゃあ...」と言って俺はその場を離れた。

ミアが何か言いたそうにしていたが、俺は聞かずに食堂を出る。


------------------------


俺は刀を振る。ただひたすらにではなく、形を作るように振る。

ヒュウガの言っていた俺に足りないもの。

恐らくその一つは「剣術」なんだと思う。

ただ毎日剣を振っても形がなければ何も意味がない。


「形のない剣なんてただの木こりと変わらない」


昔誰かが言っていた言葉が蘇る。

しかし、今何か剣術を身につけようにも誰から教わればいいものか。

ミアは剣術というより体術が得意なはず。ましてやナイフ術が刀に対応するかどうか...

うーん...頭を悩ませていると一人の男が俺に声を掛けた。


「よう、アルト。こんな時間まで特訓か?」

「カエデか...まあな。それよりお前はどうしたんだ?」

「別に、用事が終わって近くを歩いてたらお前が見えただけだ」

「そうか...」


カエデは様子を見て何か感じ取ったらしく、黙々と刀を振る俺に声を掛けてきた。


「何か悩み事か?ヴァイズ・レットに相談出来ないものか?」

「なんだよいきなり...」

「剣の振り方が微妙に雑だからそう感じ取っただけだ」

「流石と言うべきか、まあ、悩み事といえば悩み事だな......聞いてくれるか?」

「俺で良ければ」


そう言い俺とカエデは近くのベンチに座って話し始めた。


「なるほど。アルトに足りないものか...そんなの全部じゃないか?」

「全部って...もう少しなんかあるだろう」


いきなり失礼なことを言うカエデに少し呆れる。


「十年以上の付き合いなんだし、良いところの一つくらい入って欲しかったよ」

「良いところならある。目の良さとかな」

「目以外は無いのかよ...」

「とかって言っただろ。欲張りな奴だな」

「欲張りじゃないだろ」


互いに互いの発言に飽き飽きする。

でも「確かに俺達はこう言う関係だったな」と安堵もする。

そんな会話をしているとカエデが奇妙なことを言ってきた。


「一つ助言しとく。この学園では自分の経験した事、得意な事全てが武器となりプラスになる。お前に必要なそれも、お前は既に経験してる。だから、今一度自分の過去を振り返れ。自分を見つめ直せ。答えはきっと出てくる」

「俺の経験したこと...俺の過去...」

「俺からは以上だ。さて、腹も減ったし...アルト、飯行くか?」

「俺は食ったからいいや、部屋戻る」

「そうか、じゃあな...」


俺達はそこで別れた。


------------------------


部屋に戻り自分の今までの人生を振り返る。

(カエデがくれた助言は間違いじゃない。何か、何か俺の忘れては何かがあるはずだ)

頭の中の記憶を巡らせていると、突然扉が叩かれた。


「アルト、起きてる...?」


ミアの声だった。


俺は「起きてるよ」と伝える。


(こんな時間になんの用だろう。てか、部屋番号教えたっけ?いや、ハヤテだな。絶対そうだ)


自分の部屋を勝手に教えたハヤテを恨みつつ、扉を開ける。

夜も更け、早い者は密かに眠りにつき始めた頃。月の光に照らされた少女は、顔を少し赤らめながら俺の顔を見つめ言ってきた。


「アルト...私と付き合って...!」

もう三十話のこちらより、まだ十話の旅彼の方が人気あることに複雑な気持ちを抱いてるリヴァイ論です。

いや、嬉しいですよ。嬉しいですけど...まあ、これから面白くなっていくのでいいです。


さて今回、予告通り先輩枠の新キャラ出てきました。

ヒュウガさんです!アキハちゃんのお兄さんです!

初登場の第一印象が「いきなり木刀で襲いかかる口悪い人」と最悪な第一印象ですが、安心して下さい!ちゃんと良いキャラです。アルトくんやミアちゃんを助けてくれるとても良いキャラです。これから先の話で皆さんの印象を変えて行きますのでお楽しみに。

後半のアルトくん、ずっと悩んでましたね笑。

でも、しょうがないんですよ。成長するには必死に考え続けなければいけないものですから。

まあ、その悩み事を吹き飛ばすようなことが最後に出てきましたがね。

ディフェレンターで数少ないラブコメ要素ですから()

書いてる時ものすごくニヤニヤしてました。

長くなりましたが最後に。

あまり作者として言っていい事ではないかもですが、個人的に話が面白くなっているので言います。今回の回はそこそこな数で伏線を張っています。しかも結構大事な。

前の回からもそうですが、後から伏線を回収する時に見直したくなるように書きました。

ですので、何度でも見直してみてください。話が進んだ時より一層楽しめると思います。


最後までご愛読ありがとうございます。次回も是非見て下さい。

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