25話 決着と治癒
秋休みが短い!3日間しかない!
この前、眼鏡の日あったらしいじゃないですか...
俺も何か書きたいなぁって思ったんですよ...
話進んでなさ過ぎて萎えました...
異能力を百パーセント引き出すには、当人の実力と特殊な石で加工された物でなければいけないという。
ハヤテ曰く今の俺では本来の二割も出せておらず、その理由は俺が未熟だからなのと武器が異能力に耐え切れず、壊れないようにと自然に抑えられているからだと。
つまり、刀が折れて押さえる力がなくなっているのなら百パーセント引き出せるのでは?と俺は考えた。
その予報は当たった。正確には百パーセントを引き出せてるわけではないと思うが、それでも明らかに力は上がっている。異死徒拾伍段の腕を斬り落とせた。
「クハッ!」
力が上がったのはいいが、思った以上に体に負担が掛かるらい。
というか普通に考えて、傷を負ってる状態で異能力をいつも以上に引き出し続けるなんて無理がある。
(てか、死徒の方も腕再生してるし。頭とか腹とか体中すげぇ痛い。早く倒さないと)
痛みを抑えがなら死徒に斬りかかる。
その後は延々と攻防が続いた。
手や足を斬ってもすぐに再生され、こっちは痛みを抑えがなら死徒の攻撃を避ける。
しかし、一瞬で形勢が変わる。
注意は払ってた。けれど、それ以上に体力が限界だった。
そして、死徒の手が俺の肩を掠れた。
その瞬間、肩に岩でも乗っけられたかのように重くなる。
距離を取り触られた肩を見る。するとそこには、服すら溶かし、皮膚がボロボロと腐り落ちている。血もダラダラと流れておりかなりの重症。
掠れただけでここまで、となると掴まれた時には...考えただけで鳥肌が立つ。
恐らくもう一人の俺はこれに恐怖し引っ込んだんだろう。
(気持ちはわかる。そりゃ、出来る事なら俺だって逃げ出したい)
けど、逃げ出せない。俺の後ろには村があって、そこをミアが守っている。その邪魔はさせられない。
肩をマントで抑え恐怖を呑み込む。
そして、刀を構えいつもの決め台詞を言う。
「さぁ、覚悟を決めな!」
これは暗示だ。恐怖に負けないための自己暗示だ。それと、絶対に死なないという覚悟だ。
力を振り絞り斬りかかる。
縮地で一気に距離を詰め、死徒の腕を斬り落とす。
しかし、死徒も覚悟していたのか腕を斬られた瞬間にもう片方の腕で俺に掴みかかる。必死に避けるも指先が額に掠れる。
今すぐにでも距離を取りたい。けど、ここで引けば腕再生されてこっちが不利になるだけ。
後ろに引いた足を前に持ってきて強く踏み込む。
「あああっ!!」
影の刃が死徒の胴を切り裂く。
威力に押され死徒の体がよろめきながら退がる。
俺はさらに一歩踏み込み頸を狙う。
死徒も体を堪えさせ、頸を斬られまいと俺の腕に掴みかかる。
刀を両手で握ってる上、勢いがあり過ぎて途中で軌道を変える事ができない。避けられない。
(腕を掴まれれば俺は頸を斬らなくなる。そうすれば俺は間違いなくやられる。死ぬ!)
死を感じ取った俺は左手だけを刀から引き剥がす。
「死んで、たまるかぁ!!」
そして、その左手を死徒に掴ませる。
「ッ!!」
掴まれた瞬間死徒の手が緩んだように感じた。しかし、刀を止められては行けないため無理矢理掴ませる。
死徒の手に触れたことで左手は皮膚が剥がれ血が大量に溢れ出る。
痛い。もの凄く痛い。声にならない痛みが持続的に感じる。それはもう死にそうなほどに。でも、止まらない。左手を犠牲にした事で死徒の頸はガラ空きになった。
「これで、終わりだぁぁぁ!!」
刀が死徒に届いたところで意識が途切れる。
目の前が真っ暗になった。
頸を斬り落とせたかも確認せず、その場に倒れる。
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目が醒める。
どうやら死んでないらしい。
ただ、見上げた場所はそれでも、森の中でもない。あの村でもない。見覚えのある天井だ。
ここは東洋異能力学園の医務室だ。
まだ体に残る痛みを抑えながら起き上がる。
すると、横から聞き慣れた声が聞こえた。
「目が覚めたようだね。アルト・シャドウ」
声の聞こえた方を向く。そこにいるのはもちろんユスケ・ヒラノ。
いつものようにサイズの合ってない白衣を着て優雅にコーヒー飲み座っていた。
「あれほどの重症で生きているとはね。まあ、僕が治したんだから死んでもらっては困る」
いつも通り皮肉をぶつけてくる。
ただその表情はどこか不安そうだった。
「ッ!!」
頭が痛い。
思わず額を抑える。額に触れてようやく包帯が巻かれていることに気づく。
(というか、俺なんで医務室いるんだ?村にいたはずじゃ...)
一体どのくらいの時間意識を失っていたのだろう。その間に何があったのだろう。
俺が頭を抱えてるのを見てユスケが言葉を投げかけた。
「まだ混乱してるようだね。落ち着いて、気を失う前何があったか、どこまで覚えているかを口に出してみるといい」
「確か、異死徒拾伍段と戦ってて、刀折られて、影で刃を補って、そいつに刃が届いて斬った感覚まであって、そこからはわからない」
今覚えてる限りのことを口出すが、やはり何故自分がここにいるかの答えは出てこない。
そもそもあの戦いで大怪我を負った俺はどうやってここまでこれたんだ?
ユスケは俺の話を聞いてから、丁寧に状況を教える。
「異死徒拾伍段との事はヴァイズさんに聞くといい。君をここに連れてきたのは彼女なんだから」
(ミアが連れてきてくれたのか...それなら納得が行く。というかそれしかあり得ないか)
とりあえずミアも無事だということを確認でき胸を撫で下ろす。
ユスケはそのまま話を続ける。
「どれくらい寝てたか、正確な時間はわからないけど、少なくともこっちにきてから五日間は寝たきりだったよ」
「五日もか...」
「それに、まだ傷が完全に治ったわけじゃない。異死徒拾伍段にやられた傷は深いし、変に完治させると後遺症が残る毒のようだから自然治癒を待って安静にしてるといい」
ユスケに説明された通り腕や額には何重にも包帯が巻かれており、動くと痛みが込み上げてくる。
それでも生きているのはユスケが治してくれたからなのだろう。心の底から礼を言う。
「ありがと、助かったよ」
ユスケは照れ臭いのか視線を逸らす。
俺も体が痛むのでベッドに体を預ける。
少し間が空いた後、気になった事があったので聞いてみた。
「あのさ、いつもは重傷を負っても渋々するのに今回はあっさり治してくれたんだ?」
俺の質問にユスケはどうでも良さそうな表情で答えた。
「雑魚との戦いで負った怪我ならまだしも異死徒拾伍段と戦ったって言うなら別だよ。それにヴァイズさんも必死だったし...死なれると困るから...」
少しずつ声が小さくなっていく。
やがて何か吹っ切ったかのように語り出す。
「僕はこの力が嫌いだ」
「どう言う意味だ?」
唐突な発言に思わず素で返してしまった。
ただ、ユスケは表情を変えずに話を続ける。
「人は怪我をすればそれを治そうと思う。でも、普通は自然治癒しかない。止血や手当はあってもそれは処置に過ぎない。その場で完治はしない。そして運が悪ければ死ぬ。それが当たり前なんだ。けど、この異能力を知る奴らはすぐに完治するからと、どんな小さな怪我でさえ僕の元へ来る。まるで治してもらう事が当たり前かのように、生きる喜びも、治してもらうありがたみもわからず、ただ僕を利用するだけの輩が嫌いだ。だから、僕はこの力は嫌なんだ」
一言一言に重みがある。恐らくこの少年は今までに何度も目の前で人が死ぬのをみてきてるのだろう。救えなかった人を見てきたのだろう。ただ、それ以上に平気で自分を利用する輩を見てきているのだろう。
ある意味で疑心暗鬼なんだ。自分を利用するだけの存在がどこにでもいるって思えてしまうのだろう。
そんなユスケに俺は短く言葉を渡す。
「別に良いんだよ」
「え?」
意味がわからなかったようで、不意を突かれたような声を出す。
俺は体を起こし、わかりやすく説明する。
「軽傷でも重症でも、治してもらう事にありがたみを覚えない奴でも良いんだよ。お前が治したって事実がそいつには刻み込まれる。助けられたって事実が刻み込まれる。それが大事なんだ。お前は自分の力を嫌いと言うが、お前の力で何人もの人を助けられるんだ。現に俺も助けられた」
お世辞でも嘘でもない。ただ、俺の感じた正直な本音を放つ。
「だから、お前は堂々としてれば良い。利用される立場でも利用してる奴を救えるのはお前だけなんだ。誇れ、自分の力を、戦えなくても人の命を救えるその力をお前は誇れば良いんだ。そっちの方が気が楽だろ?」
「.......」
最後に軽く笑顔を向ける。
俺の言葉をどう感じ取ったのかはわからない。ユスケはただ静かに俺を見つめるだけだった。
短い沈黙の後ユスケは席を立ちドアに手をかける。そして、
「全く、君は馬鹿だね。そんな簡単なもんじゃないんだよ...ただ、少し楽になった気がするよ。ありがとう。じゃあね」
それだけ言い残しユスケは医務室を後にした。
まだ、傷が痛むのを感じながら俺はゆっくり体を倒し、目を瞑る。
疲れ切った体を休めるように、言われた通り安静にするように、静かに眠りについた。
この時間に投稿できるのも秋休み様々ですね。もう秋休み最高です。
本音を言うと秋休み短いんだよ!ふざけんな!ですが...
さてまあ、若干急ぎ足なところはあったかもですが25話終了です。
異死徒拾伍段との戦いメインかと思えば、後半はユスケ君のお話。前々から入れようと思ってた主人公以外の心情のお話なので結構頑張りました。それなりに楽しかったです。他の主要キャラもこんな感じで出すと思うので楽しみにしててください。
特に書く側として面白そうなのはミアちゃんの心情。というか絶対面白そうですよね!早く書きたい!
ちなみに次回は少し戻って異死徒拾伍段があの後どうなったのかを書こうと思います。
最後までご愛読ありがとうございます。次回も是非見てください。




