23話 村と異能石
テスト期間中に書くのは良くないですね...
早朝。太陽が昇り始めたばかりでまだどこの店も開いていないほど朝早くから俺は馬車の中で揺らされていた。
「ふぁ...」
思わず欠伸が溢れる。朝が苦手な俺からすれば今の時間起こされているのは新手の拷問かと思う程だ。
「眠い...?」
俺の欠伸を見かねたミアが心配そうに聞いてきた。
「流石にこの時間からとなるとな。ミアは眠くないのか?」
「私は慣れてるから...」
「そうか」
朝早くても大丈夫って言える人は本当に羨ましい。この学園に入った以上慣れなきゃいけないと常々思ってはいるが。
「やっぱ眠ぃ...」
俺の一言を聞いたミアが立ち上がり俺の横に腰を下ろした。そして、
「まだ着かないし寝てていいよ。少し揺れるだろうけど、それは我慢して...」
膝枕するから寝ていいとそうミアは言っているのだ。
「ちょっ!いいよ、別に...」
ほんとにミアは何を考えているかわからない。たまにこっちが恥ずかしがることを平然としてくる。
真っ赤になってるだろう顔を見られないように俺は荷台に積まれていた毛布を被りそっぽを向いて寝ることにした。
それから二時間くらい経ち目的地である北の村ヤヌスに到着した。
「アルト、着いたよ」
「ああ、わかった」
俺はかけていた毛布をその場に丸めて起き馬車の荷台から降りた。
俺達の今回の目的はヤヌスの偵察とその先にある街への遠征のための下調べ、あとは物資の補給との事。
村では杖をついたお爺さん(恐らく村長)が俺たちを快く迎えてくれた。
「私共の依頼に応じて頂きありがとうございます。私はこの村の村長を務めさせていただいてますルルフと申します」
やっぱり村長だった。
村長に合わせて俺とミアも名乗る。
「東洋異能力学園から来ましたミア・ヴァイズ・レットです。こっちが私のパートナーで...」
「アルト・シャドウです。よろしくお願いします」
「遠くからわざわざどうも、何もない村ですが中へお入りください」
「ほんとなんもなさそうですね」
「アルト、言っちゃだめだよ...」
「いえいえ、お気になさらず。この村に何もないのは我々が十分承知しておりますので」
村長が高らかに笑う。
嫌味で言ったつもりはないがそう捉えられたなら悪いことをしてしまった。
俺達は村長の後をついて行き村の中で一番大きな建物の中に通された。
建物は図書館並みに大きく、子供や大人、お年寄りと多くの人が来ており市役所的な場所なのだろう。
「ここは村の者達が集まる場所です。数日間滞在するとの話ですので、こちらの部屋をお使い下さい」
「ありがとうございます...」
「あの、なんで鍵ひとつなんですか?」
ミアが部屋の鍵を受け取ったが何故かひとつしかもらえず気になったので聞いてみた。
「それはお二人同じ部屋を使ってもらおうと思いまして。ご安心下さい、布団はくっつけてありますので気軽にお使い下さい」
「おい!何がご安心下さいだ!舐めてんのか糞爺」
村長の馬鹿げた発言に俺は刀を握り怒りをぶつけようとした。普通に斬りかかりそうな俺をミアが静止してくる。
「アルト落ち着いて...あの部屋二つありませんか?出来れば別々の部屋が良いのですが...」
「申し訳ありませんが、今空いてる部屋は一部屋しかなく他の部屋は怪我人が使っておりまして」
「怪我人ですか...?」
「はい。以前死徒が襲撃に来ましてその時に」
その話を聞いて依頼の内容に周囲に出没する死徒の討伐も含まれていたことを思い出した。村の所々がボロボロなのもそれが理由なのだろう。変に怒りが静まった俺は刀をしまった。
「そうだったんですか...」
ミアが悲しそうに顔をうつ伏せる。俺もつられて頭を下げてしまう。
「心配には及びません。村の復興は進んでおりますし、死徒に関しても貴方方が倒してくれると信じてますので」
期待されてるのか、押し付けられてるのか、どちらでも良いがその言葉を聞いて悪い気はしなかった。
「もちろん、お二人が夜中に楽しむ事も止めはしません」
怒りが一気に膨れ上がった。
よし、この爺殺してやろう。
刀を抜こうとした俺をミアが必死に止めた。
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結局部屋は一部屋しか借りられずベッドを離して寝るで妥協した(してない)。
部屋に荷物を置き村長から説明を受けた俺達は今森の中を歩いていた。
曰く死徒の出没するのはこの森からだそうで、もしかすれば住処のような場所があるかもとのこと。もう一つ言えばここからさらに北の街であるウヌスに繋がる道は死徒か猪か、または何かの動物かが倒した大きな木によって塞がれている。この木もなかなか大きく、俺とミアの二人で退かすには厳しかったので迂回する。
移動中は二人適当に話しながら歩いている。
「アルト、その学園から支給された服似合ってるね...」
「似合ってると言っても全員同じだろ。まあ動きやすいのは認めるけど」
今俺とミアが着ているのは学園から支給された、任務、依頼時に着用する服である。
服と言っても基本は制服と同じで多少色が違うだけだがそれに付け足して、フードと内ポケット付きの黒いマント。
最初は邪魔だろと思いながら受け取ったが意外にもマント自体邪魔にならず防水、防寒対策も出来ている優れもの。
支給理由は頭のいい死徒は人の顔を覚えるからとのこと。
確かに名前を覚える死徒もいるのだから顔も覚えられるのだろう。このマントの必要性に納得してしまうのがなんか悔しい。
日が暮れるまで森の中を歩き回ったが住処らしきものは見つからず、そのまま村に戻ってきた。
「おかえりなさい。どうでしたか?」
「死徒の住処と思われる場所はなかったです。ただ街に繋がる道を塞ぐ木は私達だけでは無理そうです...」
「そうですか、木に関しては村の男達を集めて退かしてみます」
「その時の護衛は任せて下さい...」
「お願いします」
ミアが報告を終えると、そのまま朝の場所まで通してもらい夕食を貰った。
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死徒が活動するのは夜なので夕食後も森の中を散策することになった。
「これで死徒居ませんでしたとかマジで無駄足になるな、まあ居ないことに越したことはないけど」
「そうだね...アルトの刀の事もあるし何もないといいね」
そう。学園側の目的はこの村の依頼だが、俺の目的はトオルに刀を作ってもらうための素材を入手だ。
素材は異能石という特殊な石。その名の通り異能力を纏うことの出来る石らしい。自然環境の整った場所ならどこでも出来るあまり希少でもない石。ただ商人達の中ではいい値で売れるとの事。
「この森のどこかにはあるって事だし、正直それさえ見つかれば他の事なんてどうでもいいんだけどな」
「頼まれた事なんだから面倒でもやらなきゃだめ...」
「はいはい。ミアは真面目だな」
「別にそんなんなじゃ...ただ人の為になる事はちゃんとやりたいと思って...」
「そうか...」
(学園で絶殺や最強と言われる少女が人の為にか...やっぱりわかんねえな、学園もミアも)
そこまで考えたところで村の方から悲鳴が上がった。村の方に何体か死徒が入り込んで来ている。
「ミア!死徒が十体以上いる!恐らく俺たちをやり過ごした後に村を襲ったんだろ。早く戻らねえとヤバイぞ」
「すごい...ここからこの暗さで見えたんだ...」
「こんぐらいなら普通に見える」
「アルトは目がいいんだね...十体以上か...村に着いたらアルトは村の人達の避難をお願い。私は...アルト?」
「悪い、先に村行っといてくれ。あっちにも死徒がいる。下手すれば挟み撃ちになるかもしれない」
それだけ言い残し死徒の見えた場所に向かって走った。
「アルト!ッ!アルトなら大丈夫。今は村の方を優先しよう」
村までは約七百メートルと言ったところミアの速さなら村の人達が襲われる前に着くだろう。だから村はミアに任せた。
死徒の数は多くなく、さらにマントのお陰で気づかれる前に倒すことが出来た。アルトもミアと同じように村の方へ向かおうとした時背後から足跡が聞こえた。
静かに音のした方を向く。そこには一体の死徒がいた。
たかが一体。しかも見た目は布を一枚羽織っており、体格はミアと同じくらいの小柄な死徒だった。どこから見ても弱そうな死徒を前にアルトは一ミリも動けなかった。
「ここに置いといた雑魚共を殺したのは君?」
その問いには答えられなかった。言い返そうにも恐怖で声が出なかった。それでも死徒は納得したように話す。
「こいつらがあの村を落としたい。というから手伝ったのに、やっぱり雑魚は雑魚だったんだ」
出来れば戦いたくない。一歩後ずさると死徒はこちらを強く睨んできた。
「どこへ行く気だい?仮にもこの雑魚達を殺したんだから責任は取ってもらうよ」
死徒はゆっくりと歩いてきた。動いた時、布から腕が少しだけ見える。
「異死徒...拾伍段...!」
腕に書かれた拾伍の文字はアルトに絶望を与えるには充分だった。
テストが終わりやっと一息つけるかと思えば文化祭。面倒事の連鎖は何コンボになるのだろうか。
どうもリヴァイ論です。毎度毎度変な時間に投稿してますが、出来たらすぐに投稿してるので変な時間に投稿されたら「こいつ、こんな時間まで起きてるよ。バカだなあ」とでも思ってください。とても眠いです。
さて今回は依頼の話でしたがいかがだったでしょうか。学園の人物はアルトくんとミアちゃん以外会話に出てこないので寂しさはありますがしょうがなく...
また戦闘シーンの少ない会になってしまいましたが次回からは増えます。なんたって次回は!アルトくん対異死徒拾伍段の対決です!え?異死徒拾伍段ってなんぞやって?それも次回わかります。
話は変わりますがもう少しでハロウィンですね。自分は今年から書き始めて、あまり話が進んでいませんが
ディフェレンターか旅彼(旅する彼女に一目惚れしたので俺も一緒に旅することにします)の方でハロウィンネタ書くつもりです(恐らく投稿はツイッター)そちらも是非見てください。
最後までご愛読ありがとうございます。次回も是非見て下さい。




