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ディフェレンター  作者: 論です
1章 東洋編
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19話 ダイチの異能

いつもギリギリに出て若干遅れるから早めに出たら、集合時間20分前...家帰りたい。

食堂に着くとアキハが「遅いですよ〜」と駆け寄ってきた。まだ十八時だと言うのにハヤテ達は食事を済ませたらしい。とりあえず皆のいる席に座った。


「特訓にしては遅かったな。長くやるのはいいが体壊すなよ」

「長くはやってない。ただミアに殴られて俺が気絶してただけだ」

「そう。それで膝枕して待ってただけ...」


その発言に食堂にいた生徒全員が目を見開いた。一部からは冷やかしの声が、一部からは殺気がアルトに向かって飛んできた。


「ちょっ!ミア!それ言うな!」

「?なんで...?」

「なんでもだ!...おい待て!落ち着け!特にアキハ落ち着け!」

「落ち着いてますよアルト?ただどう言うことか聞きたいだけで...」

「落ち着いてる奴がナイフをこっちに向けるか!だから待てって!」


俺の制止をろくに聞かないアキハとのやりとりの横でカエデは別の気になったことをミアに聞いた。


「ヴァイズ・レット...その口調どうした?」

「いや...アルトにこっちの方がいいって...」


二人の会話が耳に入りすぐに否定する。


「俺は言ってないぞ。気絶してたから...だからやめろって!」

()()()じゃなくて()()()のアルト...」


それを聞き俺とカエデが二人同時に「あーそっちか」と声を上げた。


ナイフをしまってもこちらを睨み続けるアキハを横目にハヤテが決戦に向けて話をする。

「じゃあ...決戦のルールとか話すね。二人は食事してていいから」

「ん。サンキュ」


ハヤテから許可も降りたので二人で食事に手をつけ始める。


「決戦のルールは基本評価戦の時と同じ、降参か気絶させるか場所も多分あの武道館」

「あのルールはわかりやすくていい」

「あっちはアルトの戦い方も異能力も知ってるからこっちもダイチの異能力教えたって文句はないだろ」


今度はエルモアが言う。カエデとダイチが言い合ってる時も口を挟みはしなかったが睨みつけていたのをアルトは知っている。恐らくその気持ちも込めて言ったのだろう。


「どうせ戦えばわかるが知ってた方が対策も取れる。フェアってもんだ」

「エルモアがそこまで言うなら教えてくれて」

エルモアの気持ちをなんとなく察し、ハヤテに聞いてみた。

「ダイチの異能力は土。土に関することなら基本なんでも出来たはずだよ」

「なんでもって具体的には?」

「地面の土を固めたり泥にしたりとかかな」

「あとは地面から岩を突き出す事も出来たはずだ...」


二人の説明に思わず息を飲む。


「なんか強くない?すげぇ強くない?」

「彼もAランクだからね。前にも言ったけどかなり実力があるから戦う時は気合入れてね」

「お...おう...」

「大丈夫。アルトなら勝てる...」

「そう言って貰えるのはありがたいんだがな...」


俺の本音は勝てるかわからなくなっていた。


(異能力だけでここまで差が着くとな...どうしたものか...)


『なら俺が代わりにやってやろうか?』

「えっ?」

「どうしたの?なんか変なものでも入ってた?」

「えっ...いやなんでもない」

「それな良いけど...」


不安を心の中で出した時()()()が話しかけてきたので思わず声を上げてしまった。


「悪い。先部屋戻ってる」


俺はもう一人の自分(アルト)と話が出来る事がわかった途端席を立ち自分の部屋に帰っていった。


「どうかしたのかなアルト?」


心配そうにアルトの背中を見つめるハヤテにカエデが、


「俺らと話してると内容がこんがらがるんだろ。もう一人の自分(あいつ)と話すなら二人だけにさせるべきだ...いや一人か?」


ハヤテ達もカエデから説明は受けていたが、やはり簡単には理解できないらしく頭を傾げながら「はぁ...」と微妙な返事をした。


------------------------


部屋に着いて机から椅子を出し座る。


「お前とこの状態でも話出来たんだな」

『お前と俺は繋がってんだ。これくらいは出来る』

「ふーん。で、さっきのはどう言う意味だ?ミアの時と同じように入れ替わるって事か?」


会話出来る事を知った所でさっきの発言について質問する。


『そうだ。まあお前が良いならだが』

「別に入れ替わっても良いよ。俺にとってはお前も俺だし、俺として戦うなら文句はないよ」


この言葉には()()()も驚きを見せる。実際に顔が見えてるわけではないが俺にはそう感じた。


『なら決まりだ。お前が倒れたタイミングで俺がお前の体を使って戦う。あの女の時みたいな無茶はしねぇよ』

「あのさ、それなんだけど...ちょっと考えがあって...」


俺は悪戯を思いついた子供のように楽しそうに自分の考えを説明した。


『それは...面白いな!』

「だろ!これはカエデ達にも内緒で行こう。本番のとっておきだ!」


------------------------


次の日から学園の授業とともに休み、放課後の時間を使い特訓を再開した。

もちろん本物の武器では決戦前に大怪我する可能性があるので、カエデが頼んで作ってもらった本物にかなり近い重さの模造刀と木のナイフである。


「だいぶ動きに無駄がなくなってきてる...前よりも早いかも...」

「ミアが言ってくれると説得力あるな」


ベンチに座り二人で水分を取りながら休憩していた。

最初は不思議がられる光景であったが、今ではこの二人が一緒にいることは学園内では当たり前になり疑問を持つ者がいなくなった。茶化す者はいるが...未だにアキハからは「納得出来ない!」と文句を言われる事もあるが「ミアがアルトは大丈夫」と飼い主がペットをあやすように説明してる為なんとかなっている。


(学園側見慣れても俺は慣れないから良くないんだよなぁ...)


「アルト...アルト...!」


カエデや誰かが居てくれれば...と思っているとミアに話しかけられてる事に気付かなかった。

ミアが顔を寄せてる事でようやく気がついた。


「ミ、ミア!どうした?」

「話しかけたのにアルトがぼーっとしてたから...」

「わ、悪い。ちょっと考え事してた」

「そう...」


その言葉にミアが悲しそうにしゅんとする。

ただアルトの内心は...


(ほんとに慣れねぇなぁ...気をつけねぇと...)


照れ隠しの為話題を変える。


「そ、そういえば話って何?」

「決戦明日だねって...」

「ああ、そうだな」

「私はアルトが勝つと思ってる...けどアルト自身はどう...?」


自分が思っていた以上にミアは考え込んでおり話し始めるとだんだん顔が暗くなって行った。

ミアの気持ちを吹っ切るように答える。


「正直不安なところはあるけど...大丈夫だよ。それに()()にはとっておきがあるからな」

「とっておき..?」

「それは当日のお楽しみ。まあ期待しててくれ」

「わかった...」


曇っていた空を晴らすかのような笑顔を向ける。その笑顔に納得したのかミアの表情も明るくなる。


『お前ら夫婦かよ...』

「は?何言ってんだ!」

「えっ?どうしたの?」

「いやっミアじゃなくて...」


唐突に()()()がからかってきて強めの口調で否定するとミアが自分の事と捉えてしまったらしく困ったような顔をしている。


(このやろう!!余計なこと言うな!)


文句を言うも相手は一切聞いておらずオロオロしているミアの誤解を解くのに数分かかった。


------------------------


決戦当日


「これよりアルト・シャドウ対ダイチ・ダイガの決戦を行います。両者準備はいいですね」


二人が見つめ合ったまま無言で頷く。そして互いの持つ武器を持ち構える。


「では...始め!」


今二人の戦いは始まった...

2日続けて部活の遠征はきつい。小説書く暇も宿題する暇もない。財布的にもきつい。


最後までご愛読ありがとうございます。次回も是非見てください。

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