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ディフェレンター  作者: 論です
2章 キマイラ編
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97話 一難去って......

思考がゲームより執筆になってるこの頃。

キマイラとの戦いは終わり、俺達はトンネル内でそれぞれ倒れこけていた。

全員が全力を出し、ようやく勝てた敵だ。俺だけじゃなくカエデやエルモアも疲れてる様子が見てわかる。

ヒュウガも俺を庇って怪我をしたせいで今にも死にそうな顔をしている。


「お前を庇ったのは確かだが、別にお前のせいじゃねぇよ。自惚れんな雑魚」

「口に出してない言葉に反応すんなよ。頭バグる。てか、お前何雑魚呼びしてんの? さっきアルトって言ってただろ」

「......気のせいだろ」

「なんだ今の間は! それに、表情も少しだけ柔らかかったぞ! お前さてはツンデレか?」

「うるせぇ......全身痛いんだ。あんまり動かさせるな殺すぞ」

「どっちだよ」


こんなくだらないやり取りをしながら、俺は生き残った事を実感していた。


「ヒュウガ・サキリ」


あーだこーだと駄弁っているとシャウルがヒュウガの名を呼ぶ。


「シャウルか、なんか用か?」

「依頼は果たした。そろそろ帰る」

「そうか。お前が来てくれて、本当に助かった」

「依頼を果たしただけ。礼は要らない」

「可愛げねぇな。まあ、いいけどよ。ザラーク達にもよろしく頼む」

「それは、あなた自身で伝えるといい」


マントを靡かせシャウルは背を向ける。

最後にチラリと仮面越しに俺の方をを見て「彼が?」と聞いた。対してヒュウガは「近い内にな」と答えにならないような言葉を返し、シャウルは崩壊したトンネルの天井から月明かりとは真逆の方へ飛んで行った。


「さて、俺らもそろそろ帰るか」


怪我人がいる中いつまでも長居するのは良くない。

それに。


「お前にも聞きたいことあるしな」


睨みながら俺は呟いた。


「お前には聞きたいことが山ほどあるからな。遠征終わったら全部話してくれんだろ?」

「......はぁ、約束は守る。帰ったら話してやる」

「お前偶に適当なこと言ってはぐらかすからな。ちゃんと話せよな!」

「うるせぇよ。今更隠しても時間の問題だしな。それより、お前は絶殺の様子でも見て来い」


ヒュウガは厄介払いをするようにミアの元へ行くよう促す。

というか「鬱陶しいからどっか行け」と口に出している。

呆れながらも俺はヒュウガの言う通りミアの元へ向かった。


「ミアは大丈夫か?」

「アルトですか、ヒュウガに言われてようやく来たんですか? それでもパートナーですか?」

「相変わらず当たり強いな、遅くなったのは確かに悪いけど」


ミアの元に来ては早々に彼女を膝枕していたアキハがグチグチと文句を言ってくる。

元々ミアの心配はしていたし、ヒュウガに言われずとも向かうつもりだったが、アキハが正しい事を言っている以上反論しても無駄だ。アキハも疲れてる様子が見て取れるので尚更。


「それで、ミアはどうなんだ?」

「熱は、少し下がった気がします。ただ、やっぱり辛かったのかまた今は寝てますね」

「そうか......」


可愛らしい寝顔に少し見惚れつつ、苦しそうな様子はないことに安堵する。とはいえ、急な発熱に流石に不安だ。敢えて口に出てないもののユスケ、最低でもヒュウガの治癒が欲しい。しかし、ヒュウガも怪我人なため頼むに頼みずらい。


「ヒュウガに治癒させませしょう」

「え」


敢えて言わないでおいたものをアキハは堂々と提案してくる。

こいつに人の心とかはないのか?


「ヒュウガの治癒能力がどれだけ効力があるかは知りませんが、本人の怪我が治ってないってことは温存してるんだと思います。他の誰かを治すために。使えないって言われたらそれこそ知りませんけど」


確かに言われてみればそうかもしれないが......。


「ヒュウガはそういう性格です。気にする方が悪いでしょう。それに、ヒュウガなら大丈夫でしょうし」


その大丈夫は兄妹ならではのものだろう。妹を持つ身として共感するところはある。


「信頼してんだな」

「いえ、信頼はしてません」


アキハは無愛想そうに答えた。兄妹ならではの信頼ではないらしい。俺の共感は気のせいか。


「信頼はしてません。けど、心配もしてません」


そう呟いたアキハは無愛想に見えて、どこか誇らしげだった。

「兄妹らしいな」とツッコもうとしたが辞めておいた。


「では、ミアを頼みます。私はカエデの元に無事を伝えてくるので」

「......一応言っとくが、残念なことにカエデはお前のこと心配してないぞ。あいつは他人に謎の信頼押し付けるからな」

「そこは心配して欲しいですよ。パートナーとして......」

「兄妹よりパートナーなのかい!」


結局ツッコんでしまった。

アキハからミアを預かり、俺はヒュウガの元へ戻ることにした。

背中に当たる感触にこっちが熱を出しそうになりながらも、なんとかヒュウガの元へ辿り着き、事の流れを説明する。

するが......。


「という訳で治癒頼むわ」

「断る」


断られた。何故かとヒュウガに聞けば面倒くさそうな顔をして「発熱に治癒は意味がない。それに、そいつの発熱の原因は別にある」と説明した。

その別の原因がなんなのか聞こうとした時、何かに気づいたのか、ヒュウガは目を見開く。


「そういうことかよ、クソがっ!」


()()()()()()()()()()()()ヒュウガは叫んだ。


------------------------


アルトがアキハと話していた頃、ハヤテは鼻血を拭いながら動物達に撤退の指示をしていた。

()()()()()()()()()()()()


「どうかしたのか?」


近くで壁にもたれ掛かるカエデがふと呟く。


「何がだい?」

「キマイラの死体に釘付けだった。何かあるんじゃないのか?」

「......少しね、気になることがあるってだけだよ」


全員の負傷を見てかハヤテは不安にさせないようにと言葉を濁らせる。それが逆に不安を掻き立てると知っていながら。


「何かあるなら言え。すぐに対処出来る保証はないが、手遅れになるよりマシだろう」

「確証はないけど、カエデが言うなら期待するよ?」


カエデの冷静さと真っ直ぐな信頼に負け、ハヤテは視線の先の疑問を口にした。


「キマイラの死体がさ、()()()()()()()

「それがどうした?」

「キメラの死体も消えなかったんだけど、一応キマイラ達って死徒だよね?」

「? そうじゃないのか? というかそれを調べたのはお前達だろう?」

「うん、調べた。死徒だったよ。キメラもキマイラも」


だからこそ、不思議なんだ。とハヤテは顎に手を当てる。


「死徒は生きる死体。原理は知らないけど、死ねば死体である死徒は体が塵のように消滅する。同じ死徒なら理論上はキメラやキマイラも消えるはずなんだ」

「それが何故消えないのか、という事か」

「消えないとなんか不都合でもあるのか?」


エルモアが会話に入り込む。

いつから聞いていたのか、という疑問は聞かなくてもいいだろうとハヤテは気にせず話を続ける。むしろ、話の内容が鳥肌立ちそうな怖い話のようだったからと離れたカザミの方が気になるくらい。


「逆だよ。消えない方がこっちにとって都合がいい。なんせ、死体を持ち帰って調べることが出来るからね」


死徒の生態は未だ不明な部分が多い。

その一番の理由が生きる死体(そのからだ)を調べられないからである。

逆に言えば、今まで謎とされ続けた死徒の生態がキメラやキマイラによって多少なりとも解明が出来るという事だ。

その都合の良さにハヤテは疑問を持っていた。


「じゃあ、ハヤテはどう思ってるんだよ」

「どう、って?」

「都合が良いのは確かにわかった。じゃあ、その都合の良さに対する疑問は何を考えているんだってこと。なんかあるんだろ? こうじゃないかっていう予想」

「カエデもそうだったけど、君ら幼馴染は鋭いね」


全く参るよ。と困ったように苦笑する。

一度咳払いをし、ハヤテは真面目な表情でキマイラを見つめて再び話し始めた。


「死体を残すって事はその行為自体に意味があるってことだと思う」

「というと?」

「そのまんまだよ。まあ、動物の細胞を使った副作用で死体が消えないってのも可能性として無くはないけど、それすら利用出来る、死徒について知られるリスクを背負った上で、死体を残す事自体に何らかの意味があるんだと僕は思う」

「意味って?」

「例えば......」


キマイラを指して、ハヤテが思いつく例えを口にしようとしたその時、


「そういうことかよ、クソがっ!」


ヒュウガが叫んだ。

何事かとハヤテ達が視線を向けると、ヒュウガは突然、キマイラの死体に巨大な氷で覆うように()()()()。それも何重にも重ねて。

それを見て、ハヤテは察した。いや、正確には()()()()が当たった。


ハヤテはトンネルの中に残っていた動物達に指示を出した。


「みんなを連れて、ここから出るんだ!」


ハヤテの指示に動物達は一斉に動き出す。

そして、何が起こっているのか理解が追いついていないカエデやエルモア達を乗せてトンネルの出口に向かって走り出した。

他に遅れながらハヤテもポチに乗って離れようとした時、視界の端で動物達に乗れてないアルト、ミア、ヒュウガを捉える。


「ポチ、待っ......!」


引き返そうとポチを呼ぶ声が詰まる。

理由はシンプル、既に手遅れだった。

ハヤテの指示を受けて、その危機感を誰よりも強く感じ取ったポチは他の動物達を追い越すかのように全速力で飛んでいた。それ故に、気づいた時には三人はもう届かない距離にあった。

何より、トンネルの出口が見えてしまった。


「......くそ」


吐き捨てるように呟いた刹那、押し寄せる爆風と黒煙を見てハヤテは理解する。


間に合わなかった......と。

なんとか、なんとか7月、いや8月までに2章終わらせたいです......!

頑張ります!!

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