9話 ようこそ首都へ
小説書くのにものすげぇモチベあるけど、それ以外のことに一切モチベがねぇ!!
馬車に乗ってから数時間が経ち、ようやく首都に着いた。
首都は東洋で最も大きい街と聞いていたが、その大きさは予想を遥かに超えていた。
「でけぇ......いや、でけぇ!!」
街自体は城壁に囲まれおり、大きいだけあってとても安全そうだ。きっと治安も良い方なのだろう。
街の中に入った時には既に日が暮れていたので学園に行くのは明日にし、宿に泊まれと提案された。
東洋異能力学園の生徒は寮で生活しているため、ミアとは宿で別れた。
馬車に乗ってミアの話を聞きながら揺らされていた一日ではあったが、それでも疲労は溜まっていたので、値段とかそういうのは考えず、部屋を借りてすぐに休んだ。
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翌日起きた時間は七時過ぎ。
少し眠いがミアとの待ち合わせがあるため、体をねじりながら起こす。
身支度を整え、待ち合わせ場所であるこの街で最も高い東西南北四面に時計が付いた塔に向かう。
「まだ着いてないのか、っているじゃ......うおっ!」
着いてから辺りを見回すとミアはベンチに座っていた。声をかけようと近づくと瞳を閉じ、一定のリズムで静かな寝息が聞こえる。
頬に熱が伝わるのを感じる。
始めて会った時に可愛いと口にしてしまった相手が寝ている所を見てしまえば、誰だってカーッとはなるだろう。なるだろう。
やましい気持ちは決してない。ただ妙な恥ずかしさが胸の奥から込み上がってきて、なんというか......直視できない。しかし、このままミアが起きるのを待つという訳にも行かないので、オロオロとしながらも声を掛ける。
「ミ、ミア? お、起きろー」
「ん、ん......」
かなり遠慮気味で声を掛けたが聞こえたのか、目を擦りながらこちらを向く。
「ん......アルト......?」」
寝起きではあるがしっかりと舌が回っている辺り、そこまで深くは眠っていなかったのだろう。
「アルト、呼んだのに、待たせてごめんなさい...」
こちらの顔をはっきり確認したと思えば、いつもの言葉数少ない口調で頭を下げ謝罪してきた。
「い、いや別に待ってないよ。それより今日は異能力学園行くんだろ? 早く行こうぜ」
会って早々謝られたので慌てて手を振り待ってないと否定する。それから本来の目的地である学園に向かうことを提案した。まだ罪悪感が残っているのか少し戸惑いながらもミアは「わかった......」と言い俺の前を歩き始める。
道中で街の案内をしてもらいながら進んだ。
首都は商業が盛んらしく、観光客は毎年多いとのこと。確かに朝からここまで人が行き来する街は見た事がない。
十分くらいしたところで大きな鉄柵の前に足を止める。どうやらここが東洋異能力学園らしい。
思わず息を飲む。
元はと言えばここに入学するのが目的だった。しかし、いざ目の前に立ち、その中に足を踏み入れるとなるとさすがに緊張する。
隣でミアが小鳥に向かって話しかけている。話を終えるとその鳥は学園内の方に飛んで行き、少しした後、突然門が開く。恐らくあの鳥は使い魔的な何かなのだろう。そこら辺詳しくない俺は勝手に解釈して中に入って行くミアに続く。
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校内では授業前なのか生徒や教師らしき人達が行き来している。その中ミアの後ろを歩く俺は当然注目される。
生徒達の服装は全員が全員同じというわけではないが、襟元が黒い白のYシャツに黒のテーパードパンツ。女子は膝上数センチのスカート。がほとんどでその上にパーカーなりジャケットなりを着ている。なんなら少し改造している者もいる。
ミアに関してはYシャツの上には何も着ていないが、首にヘッドフォンをかけている。昨日会った時もつけていたから相当お気に入りなのだろう。
対して俺は白いTシャツに青いジャケット、下は黒のジーパン。服装的にもかなり目立つ姿だった。
視線を浴びるのは苦手なので、出来るだけ早く進みたかったが、学校の構図を知らない上、どこに向かうかもわかってないのでら 、ミアのペースについてくしかない。
視線を合わせないようにと下を向きながら歩いていると突然ミアが止まった。前を見ていなかった俺はミアの背中にぶつかる。
「ミア? 急にどうした?」
声を掛けても返事はなく、ただ代わりに、
「お前......誰だ? なんで絶殺と一緒にいる?」
低く強張った声が俺に向けて飛んできた。
声のした方に視線を向けるとそこには俺よりも十センチほど大きい男がミアの前に立っていた。
目が合うとこちらを鋭く睨みつける。今にも襲い掛かりそうな勢いの威嚇に、咄嗟に腰に携えていた刀を握る。
いつでもいける臨戦態勢になったところでミアがこちらを止めるように手を横に出した。それからミアは男に向かって話し掛ける。
「アルトは、私の客、威嚇しないで......」
まるで飼い主が犬を言い聞かせるような口調だった。突き出してた手はこちらを止めるのではなく守るためのものだったらしい。それに気づいた俺はゆっくり刀から手を離す。しかし、男はミアの言葉を聞いても納得がいかないようで威嚇をやめない。
「絶殺の客? こんな余所者がか? 学園最強と言われた奴が甘すぎないか?」
男がミアを煽る。ニヤニヤとしているが警戒心を解く気配はない。それに気になる発言も。
(絶殺? 学園最強? ミアのことか?)
対してミアは先程と同じ言葉を繰り返す。
「私の客、威嚇しないで......!!」
発言はさっきと変わらない。けれど、その言葉に乗せられた圧はさっきにはない重みを感じた。どうやら男もそれを感じ取ったらしく「そうかよ」と舌打ちをして不機嫌そうに横を通り過ぎて行った。
最後までこちらを威嚇していだが、受け流していいものだと無視した。男の姿が見えなくなったところで歩みを再開した。同時に気になった事についても聞いた。
「さっきのやつ、ミアのことを絶殺とか学園最強とか言ってたけど......」
「......」
返事がない。恐らく聞いてはいけないことだったのだろう。
「別に言いにくいなら無理して言わなくてもいいよ」
「......うん」
ミアは消え入りそうな声で返事をして進んだ。
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少し歩いた所で何やら豪華そうな、偉そうな、なんとも言えない部屋の前にやって来た。部屋名としては「園長室」と書いてある。幼稚園かと思ったがそんな軽い雰囲気ではない。
ミアが「失礼します」とドアを開けたので、俺もミアに習って入る。
室内にはガラスのケースの中に大量の本や書類がぎっしりと詰まっており、手前には膝くらいの高さの対面テーブルに高級そうなソファ。奥には一人で使うには十分すぎる机。そこにも本や資料が置かれている。
机の隣にはピンクの髪を横で束ね、眼鏡をかけたスーツ姿の女性が立っており、入ってきた俺達に一瞥する。釣られてこちらも一瞥し返すとその隣から椅子の背もたれに寄りかかり、窓から外を見ていた男がこちらへ向き直り、話しかけてきた。
「やあ、ミア君。随分と遅い帰りだね。君の活躍は聞いている。が生存した生徒が帰ってこないとなると学園側としてとても心配になる。今後は気をつけるように」
「はい。申し訳ありません」
男は老人のような低い声。ミアが遅れて帰ってきた事を指摘して本人が頭を下げているあたり、恐らくこの男が学園長なんだろう。
黒い髪に所々白毛が混ざっており、襟足までない短い髪型。眉間や頬にシワがあるから年齢としては六十後半と言った所だろうか、黒のYシャツに白いネクタイ。上には青いブレザーを着ている。胸元に金色の蛇をイメージしたようなバッジ。ズボンは学生達と同じくテーパードパンツ。逆光ではあるが姿ははっきり見える。
男がゆっくりこちらに近づく。多少警戒して刀に手を置く。それに気づいたのか男は歩くのをやめ、優しく微笑んで話しかける。
「安心したまえ私は君の敵ではない。少なくともミア君が連れてきた以上はそうなるだろう。ミア君、彼が君の言っていた少年なんだね?」
「はい、そうです。アルト、警戒しないで学園長は良い人だから......」
普段の言葉数が少なく口下手なミアの話し方とは違い、普通に話してる事に少し驚くも、そんな事は顔に出さずに二度三度学園長とミアを交互に見て刀から手を離す。
「......ミアが言うなら信じる。まだ警戒は解かないけどな」
多少喧嘩腰の口調だがこれで買われては話にならない。それにミアが「学園長は良い人」と言った時、微かに視線を下げ、苦しそうな表情をしていたのを見逃してはいない。
「それで構わないさ。むしろそれくらいでなければこの学園で生きるのは厳しいだろう」
学園長もさすがと言えばさすがで、この程度の挑発にはならない。ついでに学園に関して触れてきた。相手が触れたのだから本題に入っても良いだろうとミアの隣に並ぶように一歩前へ出る。
「話が早いようだから単刀直入に聞く。俺は何故ここに連れてこられた?」
「ここに来る途中でミア君から聞いてないのかい?」
とミアの方に視線を向けるが反応がないので俺は勝手に話を続ける。
「聞いたのはここに来て話をしろって事だけだ。別に話を聞くだけならミアを通してでも良いだろ? 直接連れてきたんだ何かあるんだろ?」
ここで適当に頷いて状況がわからずじまいじゃ意味がない。引くつもりはないのでグイグイと質問する。すると学園長の男は微笑した後に、
「さすがミア君、間違えることはないか」
「どう言う意味だ?」そう聞くよりも早く学園長の男はこちらに手を出し、
「ようこそ。東洋異能力学園へ」
予想だにもしていなかった発言が飛び出した。俺は意味がわからずただ阿呆な声で、
「は?」
と首を傾げた。
親に夏休み残り4週間だよと言われて絶望した午後5時。宿題に手をつけず黙々と小説を書き進めるリヴァイ論であった。
本日の投稿時間がバイトの開始時間です。特に意味はないです!!
最後までご愛読ありがとうございます。次回も是非見てください。




