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4話 耳と頭が悪くなったかな

 どうしようかな。そう思った時


 ぐるるる


 お腹がなった。そういえば昨日の夜からなにも食べていなければ、水分も含んでいない。それでも人間は数日は生きていられるというが、ここは異世界だ。反対に食われることもあるだろう。ゴミの山から食べ物を探すのは流石に気がひける。少し歩いてみようかな。


 ボフッ、ガサッ、ドサッ、ぐるる。いろんな音がする。お腹からも。


 歩いても歩いてもゴミしか見えない。本当にこの世界はどうなっているんだ?


 そんなことを考えていると、遠くに壁のような大きい物体が見えた。


「あれは?」


 お腹を空かせながらも、頑張って歩いた。そしてついに倒れた。目の前真っ暗になった。







 目を覚ますと、まず目に映ったのは知らない天井。どうやら誰かに助けてもらったようだった。やっとの思いで体を起こした。が、頭を痛めるよう目覚めだった。なんとここもゴミだらけだった。異臭しかしない。また倒れそうだ。


「嘘だろ。こんな家の中まで、、、もしかしてここはまだ外なのか、そうなのか。」


 そんなとき


「起きたか。」


 声がした。


「よお。外で倒れてるのを部下が見つけてな、ここまで運んできたんだよ。」


 そう言うのは、髪型はアフロで、まあそれは置いといて服というか鎧のようなものを着ていた。


「あの、助けてくださってありがとうございます。ところで、あなたは?」


「お礼はあいつらに言ってくれや。俺はグレイスっていうんだ。この街を守ってる騎士、いわゆる護衛騎士団さ。俺はここで団長を任されている。」


 どうやら騎士様に助けられていたようだ。地球でいう警察のようなものだろう。それにしても団長かあ。凄いなあ。


「わかりました。あとで行きます。ところでお聞きしたいことがあるのですがよろしいですか?」


「もちろん、、、と言いたいところだが、それは俺も同じだ。先に俺から質問していいか?」


「わかりました。」


 ここで断れば僕からも聞けなくなるし、しょうがない。護衛騎士団の団長とうからには色々と詳しいはずだ。


「まずは、お前の名前やらを聞きたい。この辺りじゃ見ない顔だし、お前のことを証明するものがないからな。どこから来たんだ?あんなところで。」


「僕は米田小次郎といいます。地球から来ました。」


「ヨネダコジロー?コジローと呼んでもいいか?しかし苗字持ちか、、、。あとチキュウ?とはどこだ?」


 ああ、そうか。異世界だから地球自体ないのか。ならば


「ものすごく小さな村に住んでて、旅をしたいと思って来たんです。もう少しのところで倒れてしまいましたが。ははは。」


「そうか。そんな小さな村なら致し方ないだろう。旅人か、、、それにしては手持ち無沙汰だな。」


「先ほども言いましたが、小さな村だったので手持ち無沙汰になるのはしょうがないんですよ。


「そうか?うーむ、まあ納得しておくとしよう。さあ、次はコジローの番だ。なんでもは答えることはできないが聞いてくれ。」


 何から聞こうか。やはり、一番気になるのは


「どうしてこんなに物で溢れかえっているんですか?皆さん掃除とかしないんですか?」




 何言ってるんだ?みたいな顔をされた


「何を言ってるんだ?掃除?そんなことしなくてもいいだろう。これが普通だ。」






 は?


 今なんて言った?


 掃除をしない?


「もう一度言ってもらっていいですか?」


「ん?これが普通だ。」


「その前です。」


「掃除なんてしなくてもいいだろう?」


 聞き間違いではなかったようだ。理解はしたくはないが、おそらくあの一帯だけでなくこの世界全ての場所がこうなっているようだ。こうなったら異世界ごと消し去ってくれようか。いや、僕にそこまでの力があるわけではないのだが。


「そうでしたか。そういえば、ここへ来る途中に」


 ドカッ

 ドアが開いた。いや元から開いているが。今のは物を踏んだ音だろう。


「団長殿!報告があります!それも重大な!」


「おお、なんだカロスか。どうした?」


「はっ。それが西の森からカエムシの大群が押し寄せて来ているとのことです!」


「なに!カエムシだと!くっ、のんびりしている場合ではないか。カロス!何人か部下を連れて住民を避難させろ!なるべく遠くにな。頼む!後のことはこっちでなんとかする!」


「承知いたしました!」


 ドカッドカッ

 カロスという騎士は去って行った。

 そういえばカエムシって言ってったっけ。さっき団長殿に言いかけてたことはそのことだが・・・言えそうにないかな。


「すまない。緊急事態でコジローの話を聞けなくなった。コジローもあいつらと一緒に避難しろ。いいな?」


 どうしようか。原因はもしかしたら僕かもしれないのだから。ここは


「嫌です。僕もカエムシのところに連れて行ってください。僕のせいでこうなってしまったかもしれないので。」


「コジローが原因だと?・・・もしそれが本当なら確かにコジローを連れて行かにゃならん。いいだろう。ただし、危なくなったらすぐに逃げるんだぞ。」


「わかりました!」


「よし行くぞ!」





 外に出て、西の門の前まで来た。ていうかカエムシってそんなにやばい生き物だったのか。驚きだ。


「あの、カエムシってそんなにやばい生き物なんですか?」


「やばいどころじゃないぞ。あいつらは魔虫にしちゃあ珍しく、人語を喋ることができる。知性があるんだ。しかも毒を吐くときた。そんな魔虫が大群で来てみろ。俺たちの跡形もなくなるぞ。」


 まじですか。逃げてしまいたくなった。だがここまで来た以上、向こうの事情がわかるまで逃げる事は出来ない。悲しいものだ。


「普通なら門は閉じておくが、カエムシとなれば別だ。毒で門を溶かしちまう。だから、街の外で相手をせにゃならん。さて、そろそろ部下や冒険者共が来るはずだ。できるなら死人は出したくないものだな。おっ、噂をすればだな。」


 後ろを見ると、ぞろぞろと人が歩いて来た。しかしゴミが多くて歩きづらそうだなあ。


「よお、団長さん。まったく久しぶりの休暇だってのに何だってんだぶひ。カエムシだって?勘弁してほしいぶひよ。」


 僕もそう思う。・・・ん?


「おお、ニャギじゃないか。すまないな、どうやらこいつが原因かもしれないんだ。」


「なに?その小僧がぶひ?ふーん。ま、俺は冒険者だし金がもらえりゃそれでいいけどぶひ。」


 そう言うのは、ニャギという男。地球でいうとお相撲さんぐらいの・・・というのは失礼かもしれないがそのくらい太っている。目が閉じているように見えて、本当に見えているのかってほどだ。語尾に笑いそうになってしまったが、なんとか堪えた。


「戦うって時には頼むよ。はっは。そういえば嬢ちゃん達はいないのか?」


「あの2人はな、魔虫が嫌いだからな。だから今日はジンと2人だけだぶひ。」


「そうだったか。」


 カラーン!カラーン!

 カエムシが来たぞー!


 その声と同時に門が開いた。


 開戦だ。










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