どうして俺は
ああ、憧れる
「コクハ、あいつらは仕留められたか。」
ルウィズは膝間付いている執事コクハに聞いた。
「申し訳ございません。に、逃げられてしまいました。」
コクハはとても言いにくそうで床についている手を固く握っている。ルウィズがコクハに近づいていくと、コクハはぎゅっと目をつぶった。
(俺が怒るって思っているのか?)
「そうか、まあいい。今日はゆっくり休め。」
「はい。」
コクハはカイギと一緒に部屋を出て行った。
(どうして俺は、コクハに優しくしてしまうんだろう。)
「ルウィズ様、失礼します。」
騎士団長のファルガンがノックして、入ってくる。
「それにしてもお前ついてるな。」
「えっ。」
コクハは気づいていないようだ。
「主様、狙いの奴を仕留められなかったら、恐ろしからな。仕事の鬼って奴よ。」
コクハはポケットに手を入れて、思い出した。
「ごめん。主様に渡さないといけないの忘れてた。」
コクハは再び主様の部屋に戻った。
「主さ…。」
コクハは中から声が聞こえて、喋るのをやめた。
「おい、ファルガンどうしたんだ。何があった。」
「主様、私は…。」
そこで会話が途切れ、部屋からルウィズが飛び出して来た。
「主様!?」
「お前も来い。」
ルウィズはコクハの手を掴んで逃げ出した。