第八話:岩原たちの大作戦『バッド・イーグルを倒せ』
長らくお待たせしました。<(_ _)>今回は、いろいろとありまして主人公の敵の組織名が変更になりました。
暗殺組織「コンドル」→強盗団「イーグル」
ここは、アメリカの一都市にある普通の大通りだが、その道路沿いにある店の看板のほとんどが日本語で書かれており信号機の交差点には、ご丁寧にアメリカの地名(新たに日本人が考えたものを含む)が日本語で、その下に奇妙な文字で、そしてその下にはドイツ語で書かれている。
そう、ここは宇宙人が史実にあった第二次世界大戦に紆余曲折を経て、日本とドイツ側に参加して彼らを勝利へと導いた世界である。
ちなみに、日本傀儡のアメリカ王国は左側通行の国である。
ただ、その日本傀儡国家であることが許せない連中も、もちろんいるわけです。
そんな人達の中の二人が今、魔法によっておんぼろの民宿にカモフラージュした岩原の泊まるホテルの前にいた。
「おい、間違いなくここだろうな?」
二人の中で異様にひょろ長い背丈でピアスをつけた白人女性が英語で、戦争が大好きな一食抜くと死んじゃう一個大隊指揮官のような白人男性と会話していた。
「慌てるでないガリクソン、このマジシャンボールにちゃーんと反応が出てるだろう。」「それに、この反応があるところはもうこの一軒しか残っていない。」
確かに白人男性の言う通りマジシャンボールが、魔導反応があることを示す紫色の光を発していた。するとガリクソンと呼ばれる女性は不気味な笑みを浮かべて
「あっそうか、ハハッ、そうっすよねー♪」「数撃ちゃあたる。魔導反応がある家を片っ端から探して、俺たちに協力するもの以外全員抹殺しましたもんねー♪」
この様子を、部屋の中から見ていた木暮は、名前も顔も知らない罪もない人が銃で、魔法で、果ては協力するよう拷問の末に殺されるのを想像して、怒りや、悲しみ、そして、仲間は何をしていたんだという気持ちが沸き上がってきた。
「どうします木暮さん?」岩原は、今にも彼らをものの数秒で殺しそうな顔になっていた。
「まあ待て、確かにここで奴らを殺したいのもわかる。だが、殺してしまっては意味がない。どうにかして奴らから情報を聞き出せねばならん。」
木暮は、岩原の殺気を感じて落ち着くようになだめた。
「なんの情報ですか?」何とか殺気を抑えて岩原は木暮の方を向いた。
「おっと、そうか。まだ岩原君には、依頼内容を話していなかったね。」
「で、依頼内容って何ですか?」
「トロワ民族国軍の副団長の娘が金門橋公園付近で強盗団『イーグル』にさらわれたらしい。その娘をわしらと探して助け出すことだ。」
そういって木暮は、一枚の写真を取り出した。
そこには、岩原がかつての彼女いわば元カノと瓜二つの女性が、バレリーナの服によく似た民族衣装を着ていた。
ちなみに隣に写っている父親と思しき人物も、同じような服装で男性のシンボルがある位置に白鳥のようなものをあしらった器具を装着している。
懐かしさとおかしさで岩原の顔は、第一の地球にあるカードゲームアニメの主人公がやる、顎が特徴的な変顔になっている。
「岩原君どうしたかね?」木暮は最初からこれを狙って写真を選んだのか、顔がニヤついていた。「ずるいですよ木暮さ~ん。」
「最初からこれを狙ってましたね。」
「ハハハッ!ばれたか。ちょっとは緊張をほぐしてやろうかと思ってな、彼女だけが映っているものも一応持ってきたのだが、まあなんだ、深読みのし過ぎかもしれんが、君が元カノとやらを守れなかった悔しさで敵陣に突っ込んで自爆しかねないと思ったのだが。」
すると、岩原は後ろ頭をボリボリかきながら「自爆はさすがにしませんが、あながち間違ってませんよ。」とつぶやいた。
「しかし…プフッ!何ですか木暮さん、ズズッ…ハア…この男のふざけた格好は。」
木暮が写真を出したその時、浜里も手持ち無沙汰で覗き込んでいた。そのため浜里は、写真の中の男性のあまりに滑稽な姿に笑った瞬間に鼻水を吹き出してしまった。
「笑ってしまう気もわかるが、フフ…こ、これでも一応宇宙の中では指折りの強さを誇るトロワ民族国軍の副団長なのだぞ?」
「存じ上げております木暮さん。フフフッ…で、ですが!この姿だけは…ど、どうしても慣れません。フフッ」
木暮も浜里も真剣さを装っているが、明らかに互いに顔を見ないようにして笑っている。やはり習慣が違うと他人の姿や生活習慣は時に滑稽に見えるようである。
岩原を含めた三人は、時折目を合わせてはニヤ付き静かに笑った。
ひとしきり笑い終わったちょうどその時、大金も気がついた。
「よし、大金も起きたことだし事件の説明をするか。」
そういって木暮は、鞄から電子帳面と小型の映写機みたいなものを出して作戦資料を部屋の壁に映し出した。
次の話は、一週間後に投稿します。...多分('ω';)