第四話:ポリスマンメンツ
お待たせしました。ようやく本編です。
木暮は乾いた笑いをした後、急に真面目な顔をして岩原にこう言った。
「岩原君、ここじゃ誰が聞いているかわからん。部下の大金君と一緒に君のアパートで待ち合わせしてもいいかね?」
岩原はこの二人以外誰もいないこと、そして集まる時間を確認して了承した。
その夜、一通り任務を終えた木暮と大金は時間通りに岩原の住むアパート(ここから先は、「坂口荘」と呼ぶ)に到着した。
「遅い、何をやっとるんじゃ奴は?」腕時計を見ながら木暮は、不機嫌さを全身に表していた。
「約束を忘れて寝ているかもしれませんよ?」「そもそも、あの事件でしたらほかにも適任者がいらっしゃると思いますけど?」と触角をピコピコさせながら、亜児星出身の新人警官の大金はうそぶいた。
「何を言うかね新人君、君は知らんかもしれんが奴はあの第二次宇宙大戦時に、九九式短小銃一丁で、エゲロス星の最新鋭の軍艦の中を駆け回り、中にいた半数のエゲロス義勇軍人を死に追いやり死神の弾丸と恐れられた岩原治じゃぞ」と木暮は部下の大金に反論した。
「では、なぜ彼はそのような恐ろしいあだ名がついているにもかかわらず軍人であることをやめたのですか?」すると木暮は、苦労や年を重ねることによってできたしわをより一層深めてこう言った。
「・・・きみ、北京事変を知ってるかね?」
すると大金は、顔を青ざめて「知らないわけないじゃないですか。あの当時数百万人いた北京市民を、守っていた中国軍人ごと二ホンの第八軍団が蹂躙した事件ですよね。」
木暮が「それは違う」という言葉をさえぎって、同じ言葉を木暮よりドスのきいた声で言う男がいた。岩原である。
「ワ―ッ!岩原さんッ、お、お許しください。知らなかったとはいえ、英雄である貴方を悪人呼ばわりした私をお許しくださいっ!」
「声がでかい!」
木暮と岩原は大金に拳骨で気絶させその場から退散した。
次回は、思わぬトラブルで坂口荘を後にした岩原たち、彼らが向かった先は?