第十七話 : おにいさまとネコミミ警官
度重なるショックで錯乱してしまったネコミミ警官アーシャだが、おにいさまこと岩原は、気付け薬として猫用おやつを取り出した。
「ほーら、アーシャちゃーん。戻っておいでー・・・。」
するとアーシャは、鼻をひくひくさせたと思ったら見る見るうちに本来の意識を取り戻した。
「チュルチュール!!!」
気が付くや否や、岩原の手からものすごい勢いで奪い取り、器用に片手と牙で包みの袋を破るとチューチュー吸い出した。
その様は、某ゴリラ原作者の漫画に登場するマヨネーズ好きの警察官のようだった。
「ズチュチュチュチュチューーーー!!」
「・・・何も、見なかったぜ・・・。」
しばらくすると、素に戻ったアーシャは、「ふっかーつ!!」と叫ぶと同時にアクセルを全開にして、再び逃走車を追った。
「ギャー!!復活したのはいいけれどもう少し速度を落としてくれー!!!」
岩原の言葉が聞こえてないのか、アーシャは先程の騒動で見失った逃走車を血眼になって探した。
「みーつけたぁ。」
岩原たちが肉眼では確認できないほど遠くで走っている逃走車を、アーシャはいともたやすく見つけた。
「すげー・・・やっぱり猫の亜人は伊達じゃないぜ」
一方、逃走車の中にいる魔法使いはアーシャの視線を感じ取っていた。
「む?」
「どうしたのですか?同志ハイピース。」
「奴らの視線を感じる。」
「あいつらもしつこいわねー。」
すると、なぜか車の速度が低下し始めた。
「ちょっ!何してんのよ!奴らに追いつかれるじゃない!!」
「無理です!隙間なく車が横にびっちり並んでいて、今現在う回路も我々の逃走経路を限定するつもりらしく通行止めになっているようです。」
宋は、もはやここまでかと思ったが、魔導士ハイピースがニヤッと笑って杖を前にかざしながら呪文を唱えた。
「メターロ・リベーラ!!」
彼がそう叫ぶと彼らの乗っている車が淡い光を放った。
光が消えるとハイピースは、運転手に向かってアクセルを踏むように促した。
「ぶつかって動けなくなってもあなたの責任ですからね!!」
そう悪態をつくと運転手は、アクセルを勢いよく踏んだ。
案の定、前に停まっていた車にぶつかったのだが、こちら側に衝撃は来ず、代わりに前の車が勢いよくっ吹っ飛びその前にに止まっていた車に空中でぶつかり、ひしゃげたフロントバンパーをぶら下げながら交差点に飛び出した。
立て続けに二台前にいた車にもぶつけ、まるでカーアクション映画でオーバーに飛んでいく車のごとく二台目も吹き飛んだ。
「よし、この交差点を右だ!!」
「りょ、了解!!」
運転手は、わけのわからぬままハンドルを右に切って勢いよくドリフトしながら右折した。
落ち着いたところでハイピースが話しかけてきた。
「どうだい?この魔法は」
「すごく車が硬くなったみたい。というか、少なからずともこちらにも衝撃が来るはずなのに・・・。」
ハイピースによるとこの魔法は、車などの主に鉄鋼でできたものにこの魔法をかけると、かけてない車にぶつけても魔法の加護がある車は傷一つつかず、その代わりに魔法をかけた車が受けるはずの運動エネルギーが、かけてない方の車にすべて行くというのだ。
もちろんこの惨状も岩原達は見ていた。
「何よ・・・今の」
「俺が知るか!これ以上被害が拡大する前になんとしてもあの車を止めなければ!」
そういうと岩原は懐から拳銃(新南部2606)を取り出すと逃走車のタイヤめがけて発砲した。
さすが死神の弾がといったところだろうか、寸分の狂いもなく逃走車の後タイヤに見事命中した。
「すごいにゃ!」
「嘘だろ、あの距離からタイヤを拳銃二発でパンクさせた!?」
だが、逃走車のスピードは若干遅くなっただけでまだ予断を許さない状況にあった。
「やはり死神の名は伊達じゃないわね。」
「どうしますか宋同志。」
宋は、黒人の男性に彼が持っている個人計算機にアスロックに似たミサイルを表示させて発射と書かれた表示を押すように促した。
この個人計算機と車の武器搭載機構はリンクしているようで、瞬く間にウイーンという音とともに後ろから小型のアスロックに似た装置が出現した。
「さあ、思いっきり発射させなさい!我らが同志よ!」
すると黒人男性はニヤッと笑って、ミサイルを発射するのにふさわしい眼鏡の日本人と同じセリフを言いながら漢字で壱と書かれた表示を押した。
ミサイルは、空を飛んでいるパトカーめがけて勢いよく飛んで行った。
「あいつら戦争でもおっぱじめるつもりk・・・」
岩原がそう言い切る前にミサイルが警察車両に着弾した。
「危にゃかった~!!魔導結界がなかったら即死だったですにゃ。」
いつの間にか岩原たちの車に、淡い赤色の透明な四角形の立方体がすっぽりと覆いかぶさっていた。
「よくやってくれたアーシャ。正直今のはダメかと思った。」
「でへへ」
アーシャは照れ臭そうに顔を赤くして耳を垂れた。なお、ガリクソンが嫉妬に燃えていたのは言うまでもない。
するとその時、木暮たちの車から無線が入った。
「こちら参号車、今岩原君が乗っているパトカーがいる方角から凄い爆発音がしたが大丈夫か?どうぞ」
無線に気づいたアーシャが警察無線機を手に取り応答した。
「こちら壱号車、逃走車から当車両に向けてミサイルの発射を確認・・・被弾しましたが、魔法結界のおかげで岩原さんは無事です。今、例の逃走車を追跡中です。どうぞ」
「そうか、それは良かった。今、塚田君、大金君と一緒にそちらに応援に向かう。どうぞ。」
「了解。応援感謝します。交信終了。」
「アーシャ君、だれが無線に出てたんだい?」
アーシャは、岩原に木暮が無線に出ていて、塚田や大金と一緒に応援に来るということを伝えた。
しばらくすると別の応援車両が赤色灯を回し、サイレンを鳴らしながら左から近づいてきた。
「岩原君、大丈夫だったかね。」
車の窓がスーッと下がり中から顔を出したのは木暮だった。
「ハイ木暮さん。ところで、一つ聞きたいことがあります。」
「何かね?」
「そこの後部座席に宋という中国人の女がいるはずだと思うのですが?」
「何を言っているのかね?わしらはなぜか路地裏で気を失っていた塚田君を拾った後、大金君と一緒に逃走車を追っている岩原君たちの応援に来ただけで、宋という女は連行しておらんぞ?」
「やっぱりそうだったか~!!」
岩原は自分の嫌な予感が的中して天を仰いだ。
「何がですにゃ?」
「みるくほうるで宋を連行した木暮さんと大金君は偽物だったんだよ!!」
「なんだって!?」
この場にいる警察関係者全員は最悪の事態が起きたことに戦慄を覚えた。
比較的事の重大さがわかっていないガリクソンとジムは首をかしげた。
「あの・・・岩原サン。でも、みるくほうるにいた時に少しも疑っていなかったですよネ?」
「そうだガリクソン君。俺だってあそこまで完璧な偽物を本物と判別はできなかった。あの時拳銃を確認すればよかったなー。」
「すると宋は、どこかに逃走中だと?」
「そうです木暮さん。できればあの逃走車の中に居てくれれば助かるんだけどな。」
「話変わるが塚田が妙なことを話してな、何でもお前さんたちとみるくほうるで休憩した後と、路地裏で倒れる前のことを覚えてないらしい。こいつはそこまで酒を飲んでいたのか?」
「いえ、酒は一マイクロリットルたりとも飲んでいませんでしたよ。」
「そういえば、路地裏でエルフの男性警官が紫色のローブをまとった男性に魔法のようなものかけられて眠らされていたという通報がありましたにゃ。」
「アーシャ君、その魔法をかけた男性はその後どのような手段で逃走したんだい?」
「ええと確か・・・黒のトヨタ卵王で逃走したって言ってましたにゃ。」
その直後、みんなが同じことを考え、笑顔を引きつらせた状態で沈黙した。
<あれ?それってもしかして目の前で俺たち(私たち)が追いかけている車じゃね?>
だが、一応確認のため木暮はアーシャにナンバープレートも目撃者が覚えていたのか質問した。
すると、やはりみんなの予想通り宋が乗った車は目の前のそれだった。
だが、まだ確定事項ではないのでなんとしてもあの車を捕まえる必要性が出てきた。
「塚田君、可能性の話だがお前を襲った魔法使いもあの車に同乗しているのかもしれん。」
「可能性ではなく、確定事項ですよ木暮さん。」
「何?」
「あの車、アルニアでも戦争用にしか使わないかなり危険な魔法を車にかけています。」
塚田は、メターロ・リベーラの恐ろしさを木暮に伝えた。
「なに!?今すぐ捕まえんと町が地獄と化すぞ!!」
すぐさまこのことは無線で岩原が乗るパトカーを含め、すべての車両に行き渡ることになった。
だが、そうこうしているうちにも逃走車は、次々と逃走の妨げになっている車を弾き飛ばしていた。
そして、前を走っている回送中の路面電車までもが犠牲になろうとしていた。
「まずいぞ!この先に路面電車が走っている!あいつに体当たりされたらそれこそ大変なことになるぞ!」
木暮の考えは当たり前だが的中し、後ろを勢いよく潰された路面電車は架線とケーブルを引きちぎり、スパークを放ちながら飛んで行った。
一方、こちらはそんな惨状を知らないビルの窓拭きをしている二人が作業用エレベーターの上で談笑していた。
ちなみに片方はキリンを擬人化したような銀髪の男性でもう一人は棒配管工のおっさんのような恰好をしたゴリラの亜人男性である。
「アー・・・仕事だりー。アンディー君、なんか面白いことやるウホ。」
「えー?嫌ですよ。・・・っていうか森男先輩さっきからずっと面白そうな携帯ゲームやっていて全然こっち手伝ってくれないじゃないですか。」
「いいんだウホ。自分のところはこれ以上ないくらいにきれいにやったんだし、今はアンディー君待だウホ。」
そういって彼は再び先程会話前にやっていたゲームをやり始めた。
アンディーは、あまりにも仕事が遅くたまにぼーっとしては、はっと我に返り仕事に励むを繰り返しているため、なかなか次のエリアの窓ふきを森男ができないのを知っているので反論できずにいた。
「ん?なんかビルの中が騒がしいウホ。」
「なにがあったのでしょね?」
答えはすぐにわかった。なんと、路面電車が自分たちに向かってビルの中から突っ込んで来たのだ。
「ギャース!!」
「ウホーッ!!」
そして路面電車は窓ガラスを割り、二人を巻き込みながら落下していった。
どうなる二匹のゴリラとキリンの運命は!?次回をお楽しみに!
・・・ハァ~、最近暑くてやる気が起きませぬ。 _(:3 」∠)_
そのせいでいつもより稚拙な文章になっている気がする・・・あ、いつもか(笑)。




