六日目の朝~暇なんですけど~
今回は幕末にタイムスリップした少女のお話。
忠実ではないです。あくまでパロディとして書いていきます。ご了承くださいm(__)m
(あぁ暇…暇すぎる。)
外は快晴、風はそよそよ、雀はチュンチュン。とっても気分が良くなりそうな早朝に、部屋で正座待機してる私。
ここに来てはや三日。いつもと違う生活にも少しは慣れてきたよ。
まあ持ってきた小説も、携帯で読める電子書籍も読み切ったから娯楽がないけど。
ついでに言うと、ついさっき、携帯の充電も無くなって電源が落ちたから使うこともできない。くっそォ…
(最悪……それに朝ご飯だって言うから猛スピードで準備終わらせたのに、三十分近く経っても来ないし。ふて寝してやる!)
ブツブツと呟き意気込んで、さっき仕舞った布団を取り出し、高く結い上げた髪をほどいて寝間着に着替える。かるく整えた布団にいそいそと潜り込み瞼を閉じる。
先ほど無理やり起こされたからか、すぐに眠気が襲ってきてそのまま夢の中に——————
【ドスッ】
「うぐっ」
——————落ちるはずだったのに腹に受けた衝撃によりまたも無理やり引き留められた。
訝しみながら薄く目を開けるとぼんやりと人影が見える。
「…テメェふざけんなよ。メシだってさっき言ったよな?」
こ、この声はマズい!!
すぐに脳が覚醒し、人の形かも怪しかった視界もはっきりとした。
ガバッと起き上がって声の方を見ると、少し見慣れてきたはずの眉間のしわが今まで以上に深く、氷のように冷ややかな瞳で見下ろしてくる、副長だった。
「…どうしてまだ布団の中にいやがる。」
「…っ!すみません、一度は起きていたんですがいくら待っても来ないものだから…」
布団の上で姿勢を正し向き直る。
言い訳するつもりではないけど、ペラペラと口が動き言葉を紡ぐ… 最後の方は口篭って言えなかったけど。
「二度寝を決め込むつもりだった、と?」
ふう…と軽く息を吐いて目を閉じる副長。
私が言いにくかった事をそっくりそのまま言ったよね?まるで見ていたかのように…ってこういうのを言うんだろうね。
(な、なんと!さすが副長、よくお分かりで!!)
「おい、声に出てるからな?はあ……いくら長州の奴らでもこんなバカを間者として送り込まねぇよな…」
そうでしょうね。バカって言われたのは訂正したいけど、長州の間者じゃないし。むしろただの巻き込まれた一般人だし。
とまあ、ここまで聞いたらわかる人にはわかるよね?
私、タイムスリップ、したみたいです。
ここは幕末、新撰組の屯所の倉っぽいところ。間者と思われた私は只今隔離中、って感じで。拷問はされてないよ。
で、副長こと、土方歳三さんはブツブツと何かをつぶやき始めたので、私もついでに思い返しておきましょうか。
遡ること3日か4日前のこと…あ、ちょっと長くなるけど我慢して聞いてね。