七
鳩羽望。鳩羽牧師。ハトバノゾム。
いくら検索しても情報は全く出てこない。教会に問い合わせる手もあるが、カトリックなのかプロテスタントなのかもわからないのではどうしようもなかった。結局、何一つ情報を得られないまま尊の帰省日を迎えてしまったのだ。
鳩羽望――二年前には影もなかった男が、尊と深い仲だとは油断も隙もない。やはりあの子は手放すべきではなかったのだ。
四兄弟の中でも三男の尊は別格だった。
忌々しいあの『事件』のせいで引き離されてしまったため、記憶に残る尊は十二歳。目鼻立ちの涼やかな少年で、薄い唇をしていた。背は高いが身体つきは細く、どこか未成熟な印象を受ける。それでいて詰襟の制服から覗く白い肌にはなんとも言えない色香があった。いつも目立たず、滅多に笑わないので何を考えているのかわからない少年だったが、だからこそたまに見せる微笑は罪なほど美しく魅惑的だった。
谷間にひっそりと咲く清廉な徒花――その魔性にいち早く気づいたのは自分だという自負があった。
初めてその身体を開いた時の感動は今でも覚えている。幼い尊は何が起きているのかわからず戸惑い、激しく抵抗したが、力で大人に敵うはずがない。加えて自分の手練手管がある。未成熟な身体が快楽に溺れるまでにそう時間はかからなかった。
白くなめらかな象牙のような肌をほんのり紅潮させて啼く様は、どんな女よりも淫靡で、潜む魔性を感じさせた。瞳を伏せて恥じ入る顔。震えるすべらかな足。熱い息づかい。十年以上経った今でも一つ一つを反芻しては身悶えする。
あれは、魔性だ。
本人は頑として拒んでいたが、本性は変わらない、変えられない。こうして数年に一度は戻ってくるのが何よりの証拠だ。男を誘ってやまない身体をもてあまして帰ってくる。この家以外に――自分の元以外に尊が生きていける場所はないのだと、他ならぬ尊自身が痛感しているからだ。
(だというのに)
赤の他人、それも男を連れてくるとはどういうことだ。まだわかっていないのか。『唯一の相手』で満足できるようなら、最初から男を見境なく誘ったりはしないだろうに。なんと往生際の悪い――これは少し灸を据えてやらねばなるまい。自分の本性が何なのか。もう一度教え込む必要がある。