8話エルナカーラ
イシルクたちが旅からさらに2日すぎると彼ら街が顔を見せる。
「おぉぉぉぉ!!」
街の外周を分厚い高い壁が覆い街の全貌は見えないがイシルクを興奮させる程の効果はあった。
「あれが、俺らの街エルナカーラだ。」
「えるなぁかーらぁ・・・」
名前のなかった村に住んでいたイシルクにとってはひどく新鮮味をおびていた。
「ここで、立ち止まっていても意味ないぜ。さっさと行こうぜ。」
そうゴンザに言われ、イシルクは馬車を右肩に担ぎ直して門のあるところまで行く。
イシルクたちが門の近づくと門の左右に立っていた門番と入るために並んでいた人たちが巨大なイシルクを見て軽い混乱になった。並んでいた人たちは酷く怯えた様子街に逃げ込み全員中に入り終わると門は閉まり固く閉じた。残った門番は槍をイシルクに構えているが足が震えていた。
「イシルク、イシルク。ちょっと馬車下ろしてくれないか?」
サワンは、地面と馬車を交互に指差しながらイシルクに言う。この旅で多少、人語を話せるようになったイシルクはサワンのジェスチャーと自分のわかる単語を聞きサワンの言っていることをなんとなく理解し、担いでいた馬車を地面に下ろす。
「まぁまぁ、そう怯えなさんな。こいつは、お前さんたちに危害はくわえねぇよ。」
下ろすと馬車からサワンたちが出てサワンが代表として門番と周囲の人に言う。
「しっしかし。そいつは・・・?」
「こいつは、巨人族のイシルクだ。俺らは依頼の帰りに魔物の群れに襲われてな。そこをこいつに確かめてもらったんだ。」
巨人族という言葉に周囲は驚愕する。
「だったら、冒険証を見せてもらいたい。」
「あぁ?ああ、ほらよ。」
サワンは懐から手のひらサイズのカードを取り出し門番に見せる。
「これで満足か?」
「あっあぁ、十分だ。・・・おい、中の連中に開門するように言ってきてくれ。」
門番は相方に頼むとこちらに向き直った。
「・・・ここまで、騒ぎ立てて申し訳ないが初めて、エルナカーラに来た人から通門料で銀貨一枚とるんだが・・・」
門番は、イシルクを見る。麻を素材にした質素な服に同じ素材で作られた靴を履き鍬を担いでいる姿はその巨大な身長を除いたらただの村人に見え、とても金を持っているように見えなかった。
「あぁ。いいよいいよ。俺が代わりに払うから。」
そう言って、銀貨一枚を門番に差し出す。
「すまない。あと、他の人の証を掲示をお願いする。」
全員がそれぞれの証を見せ終わる頃には開門も準備ができたと相方が報告に戻ってきた。
「それでは、ようこそエルナカーラへ!!
門が開いた先は、イシルクにとって夢のような場所だった。頭に動物の耳や角を生やした人や何も頭に生えていない人など多くの人が行き交い、商人たちが自分の品物を声を上げて紹介する。どれもこれもイシルクが夢に見た世界がそこに広がっていた。
「おぉぉぉぉ!!」
イシルクは驚嘆の声を上げる。その声を聞くと街にいた人々は悲鳴を上げ、ある者は家に入り鍵を閉め商人たちは自分の品を回収しようともせずに足早に逃げていく。
「マ・・・マタサ・・・(な・・・何で・・・?)」
今日だけで2度もあのような反応をうけてイシルクは精神的につらくなった。誰だって逃げられるのは辛い者だ。
「まっまぁ!大丈夫よ!!イシルクが優しいのは私たちが知ってるから!!」
「そっそうですよ!!巨人族は珍しいですからみんな驚いただけです!!」
「おっおう!!そうだぜ!!気を落とすなって。」
「ええ、僕もゴンザに同感です。どうか気を落とさないでください。」
「そうだぞ。こんなことで傷ついていたらこの何ヶ月生きていけないぞ。まだ、続くんだから。」
「バカサワン!!そんなこと言ったら・・・」
「はぁ〜〜」
サワンの言葉にトドメを受け両手で足を固定してその場でうずくまった。アクルたちの励ましを壊したサワンは仲間たちにボコボコにされた。