14話長話
「数年前、儂らの班が遺跡を発掘してた際に、ある石版を見つけての。その石版には、古代王朝時代の文字と思われる文字が彫られておった。儂らはその文字を長い年月をかけて解読に成功したのじゃ。解読するとその石版は当時の教材だとわかっての。そして、そこには巨大な人と小さい人が手を取り合う絵が彫られておったのじゃ!!更に!!その教材には『巨人族と人族は永遠なる友好を深めた。』と書いてあったのじゃ!!」
胸をはり自慢げに話すカヌムの話はイシルクへの子守唄のような作用を促していた。瞼を擦りながらイシルクはカヌムの話を聞いている。
「これは、まさに巨人族という種族は物語の存在ではなく実在し人と交友していたという証拠だと確信した。儂は、世紀の大発見に感激し意気揚々と学会に発表した。だがぁ!!!あのクソジジィ共は、『それは貴様の解読であり必ずしもその言語が本当に正しいとは限らない。』などと抜かしやがったんじゃ!!儂らの長年かけた努力の結晶を踏みにじりおった!!それ以降、他の研究班も儂らを侮蔑の目で見るようになり長い間、屈辱に受け続けた。」
当時のことを思い出したのかカヌムは地団駄を数十秒
したあと、ふと、地団駄を止め笑い始める。
「・・・じゃが、今日この日をもってそれも終わる。なぜなら・・・儂らの研究を証明する存在が今、目の前におるのじゃから!!」
両腕を広げながら大声で叫ぶカヌムの声に眠りかけていたイシルクの脳を刺激し目を覚ました。
「なんとなく、巨人族の存在の証拠になる理解できます。・・・けど、それで、なんで僕が、カヌムさんの研究の証拠になるんです?」
「簡単なことじゃ。今、話している言葉が古代王朝の言語というとても重大な証拠になるんじゃよ。」
カヌムは、ケラケラ笑いながら答える。その答えを聞いたイシルクはようやく理解ができた。
「なるほど。これで、わかりました。」
「おうおう。では、わかったところで儂のお願いを聞いてもらいたいのぉ。まぁ、説明してわかったと思うが、お主には儂の研究の手助けをしてもらいたいんじゃ。報酬としてじゃが、言葉を教えてやるぞ。」
その報酬は、イシルクにとってありがたいものであった。喋れないから相手が何を伝えたいかわからず逆に相手にどのように伝えればいいかわからない。
「本当か!!わかった!!」
その話を聞いたイシルクは笑顔で承諾するのであった。