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12話言葉の壁

「ここら辺です。」

カハイに連れられた場所は山の中腹辺りで子供が通れるくらい洞穴がいくつもあちらこちらに作られていた。サワンたちは近くにある茂みに身を潜めイシルクのそれを真似る。

「間違えねぇなゴブリンの巣だ。しかも結構な数だ。」

サワンは舌を打ち不快感の気持ちを出した。

「どうするよ?」

「とりあえず。常套手段で火で巣からあぶりだしてぇところだが、このだけあるとむりだな。」

ゴブリンの巣は、一個一個が繋がっており一個の巣穴に火をつけても別の場所に逃げられる恐れがある。

そのため、サワンはこの手段を用いることができない。

「どうすっかなぁ。」

「一個一個穴を潰す?」

アクルの作戦にサワンは頭を横にふる。

「ダメだ。そんなチマチマやってるとすぐにバレて逃げちまう。」

「じゃあ、出てくるの待つ?」

「・・・・はぁ、それが最上か。」










日が頭上にある頃から巣を見張り始め、今は少し西に傾きつつある。

「・・・おかしいな。」

ゴブリンたちはいっこうに巣から姿を見せない。ゴブリンは雑食で何でも食べるがすぐに腹が空く日に何度か食事をするために巣から出てくるはずが出てこない。

「もう、食い終わってたのか、巣に溜めてんのか。」

「ねぇねぇ。」

サワンがこれからどうするか考えているとアクルが肩をつつく。

「なんだよ。人が一所懸命に考えてる時に。」

「アレ。」

アクルが指を指した方向はサワンが見ると自分たちと同じように茂み隠れているイシルクがいる。そのイシルクの目はやる気に満ちている。アクルの言いたいことがわかったサワンは片手を額にのせてため息を吐く。

「なるほど・・・これじゃあ出てこねぇわけだ。わざわざ、自分から危険な物に突っ込む馬鹿はいねぇからな。」

「どうする?」

「とりあえず、もう少し距離をおいて隠れてもらうか。」

そう言ってサワンはイシルクの膝を軽く叩いてイシルクはサワンを見る。サワンは巣穴に指をさしてから反対を指をさして地に伏せるような仕草をしてイシルクに情報を伝える。

(何をして欲しいか全然わからん。)

しかし、イシルク側から見れば何をしているのかわからず首を傾げる。そして、数秒考えて

(あの穴を指をさして手を地につける・・・あそこを掘ればいいのか?)

そう考えた、イシルクは立ち上がり巣穴へと近づき巣穴の中心を手で掘り始める。突然のイシルクの行動にサワンたちは慌てる。

「何やってんだあいつ!!」

「ちょっと!!サワン!!!ちゃんとわかるようにしたの!?」

「やったさ!!」

「じゃあなんでイシルクがあんな行動するのよ!!」

アクルとサワンが口論してる間にもイシルクはどんどん掘り進める。

「おい!!そんな喧嘩してる場合じゃねぇぞ!!」

「そうですよ。落ち着いてください。」

「大体あんたはいつもそうなのよ!!仕事とかも適当に手を抜くからあたしが、どれだけ大変なことか。」

「誰も頼んでねぇだろ!!」

「何よ!!その言い方!!少しは感謝しなさいよ!!」

ゴンザとカハイが2人の喧嘩を止めようとするが、火がついて止まらない。更に悪化する2人の前に黒い物体が彼らの前に落ちる。突如、飛来した物体に2人は一瞬冷静になりその物体を確認する。

ほとんど衝撃で潰れてしまったのかかろうじて焦げ茶色のネズミのような頭が確認できる。それはゴブリンの特徴と一致していた。サワンたちはゆっくりと前を見るとイシルクが自分の手に噛み付いているゴブリンを引き剥がして地面に叩きつけているところだった。ここに来て初めて、イシルクに依頼がどのようなものか正確に伝わっていないことがわかった。また、どのように依頼達成を証明するのも。

依頼達成を証明するのはその魔物の一部を切り取って依頼主に見せあらかじめギルドが依頼主に渡している依頼達成証明書を貰ってそれをギルドに渡すことで依頼達成となる。ゴブリンの場合は指が証明となる。しかし、イシルクに叩きつけられているゴブリンはイシルクの力と叩きつけられた衝撃でほぼ原型をとどめていない。

「早くあいつを止めるぞ!!」

サワンの掛け声と共に彼らはイシルクの元に駆ける。

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