1話 巨人の村の少年
主神カルマによって創造された世界レムード。この世界は、3つの大陸で数多の生物が存在する。魔物が支配する大陸ヘルマン。精霊や龍が住む大陸ナハト多くの人間種が住む大陸マカラ。そして、そのマカラの最南端の渓谷に1つの村があった。畑を耕し、家畜を飼う普通の村だが、1つだけ、他の村とは違う場所があった。
それは、身長。
村人の身長は、3メートルを越え、子供でも2メートルはあった。この村は、巨人族が集まる村である。数々の神話で名を連ねる伝説の種族と言われる。その村の畑で4メートルを越える金属の鍬をを振り上げ、畑を耕す少年。ボサボサの黒髪に可もなく不可でもない顔立ちの少年の名をイシルクを呼んだ。イシルクは、他の村人とは違ったところがあった。それは、自分に別の世界の記憶があるということだった。その世界での名やどうして死んだかなど思い出すことは出来ないが、自分が特殊だということはよくわかっていた。その世界では、身長が小さいことを悩んでおり巨人族で転生して喜んだことは記憶に新しい。そんな、イシルクには1つの夢があった。
(はぁ、冒険してぇ。)
彼の夢、それは、ここ以外の場所に赴きたいという夢だった。しかし、18歳となったイシルクでもその夢は叶わずにいた。
「ちょっと、父さんのとこに行ってくる。」
「おう。さっさと戻ってこいよ。」
一緒に耕していた友達に一言残し、イシルクは、父のいる家に向かう。家は、畑から少し離れたところにある3階だてでこの村で1番立派な建物である。扉を開けると、イシルクとは違う赤い髪を後ろに束ね、整った顔立ちの父親のゼルンクは、コップに水を入れていた。
「なんだ?」
父親は、イシルクに顔を向けない。
「話しがあるんだ。」
「ダメだ。」
「まだ、何も話してねぇよ!!」
「どうせ、冒険がしたいと言うんだろ?」
「そうだけどさ!!」
ゼルンクは、深くため息を吐く。
「何度も言っているだろ?私たち、巨人族は村から出てはいけない掟があると。」
見た目に反して、穏和な巨人族は過去に迫害を受け、他の種族が辿りつかない渓谷に村を造った。
「父さんの気持ちは理解できる。でも!!おれは、この村以外の景色を見たいんだよ!!」
「ダメだ。もし、認めてもらいたいなら俺を倒してみろ。」
「言ったな!!」
言うやいなや、イシルクは拳を握りゼルンクに向かって駆ける。
「覚悟しろぉぉぉぉぉ!!!」
己の父親を倒し、掟を破り、イシルクの新たな冒険が
「爪が甘い。」
「ゲバラ!?」
冒険が、始まらなかった。