立ちふさがる門番
「はぁはぁ。」
サイガは周りを見渡した。最初12人いたはずのプレイヤーの頭数は3になっていた。
戦闘が始まってからもう1時間は経っているだろうか。雑魚を全て片づけてから、あの化け物の能力が飛躍的にあがった。
その時点では全員無事だったのだが一体相手に次々と消されていった。皆LV:3まで上げていたというのに装備がもろい奴は一撃だった。
「なんやねん。ここは必要推定レべル3のはずやろが。」
「おい!防御しろ!全方位攻撃だ!」
生き残りの仲間、クローから声が上がった。
ヘクトール門の化け物“31人殺しの番人”は砕いた岩の塊を全方位にブン投げた。重騎士であるサイガはすかさず大盾を構え、体で支えた。
息もつく前に全身に衝撃が伝わる。大盾で防いでも多少のダメージが伝わった。
「んのクソッ!残りのポーション少ないんに。」
「サイガ!このあとは隙が大きい、詰めて!援護するから!」
そう言ったのはヴァルキリーのユイナである。
ユイナはヘクトールに向け、ためにためた矢を解き放った。その矢は炎を纏いヘクトールの膝裏に突き刺さった。
ヘクトールは片足のバランスを崩しよろめく。
即座に重剣士のクローが大きなバスターソードを射抜いた足目掛けて振り下ろす。
重い衝撃と共にヘクトールは呻きをあげ片手を地面についた。
そのおかげでデカい頭が垂れ下がり、サイガのランスが射程圏内となった。
「ぅおりゃぁあ!!!」
突進してきたサイガは声をあげ、その頭にランスを思い切り突き刺した。ドス黒い血が舞いヘクトールが倒れこむ。
しかしまた手をついて起き上がろうとしていた。
「効いてる!瀕死状態ね、追い打ちするわよ。武器の手を狙って!」
再度ユイナが合図をした。
クローとサイガの2人は地面につく手とは逆の手にめがけて走り出しす。
「よし、あとはこの化け物がこっちを向いてくれれば・・・。」
ユイナの思い通り、ヘクトールはクローとサイガを目で追い首を向けた。
「これが私の今のベストよ、食らえっ!」
そう呟き、ユイナは化物の目を目掛けて渾身の一矢を放った。