レベル上げ! 4
どのくらい下っただろうか。
100段以上と思われる階段を下ると、そこには天井が高く奥行きの広い大きな空間が現れた。
「こんなところに巨大な空間があったなんて。」
ダズが純粋に驚いている。
雄も驚いていた。はじまりの町近くにこんな広い隠れ家があったのは知らなかったからだ。
各地には砦のような空間がいくつも点在する。各ギルドはその地を拠点として勢力を拡大するのだ。謂わば居城のようなものである。
目に見えて確認できる場所から、このように一目から離れた隠れ家れ的砦が存在する。もちろん隠れ家は見つけるのが困難であり、さらに守り獣が住み着いてるのが普通である。
だいたい広さや、見つけ難さと守り獣のレベルも比例する。
この砦も相当なLVの守り獣がいたのだと推測できるほどだ。
「さぁ、2人ともこっちへ。ちょうどギルドリーダーがいる。挨拶させてくれ。」
エルが隠れ家内の奥へと案内する。
隠れ家内には数人ギルドメンバーと思われるプレイヤーがいた。
皆、俺たちをよそにそれぞれリラックスしている。
よそから人が来るのは珍しくないようだ。それとも自分の腕に相当自信があるのか。
ん?自分の腕?そういえばこのギルドのメンバーは皆ステータスにレベルが表示されていない。どうなっているのだろうか。
「エル・・さん。皆レベルの表示がないようだがこれはどうしてだ?」
「ああ、これは最近僕らのギルドが手に入れた希少アイテムの力だ。ギルドメンバーのLV、その他の情報をギルドメンバー以外に視認できなくするものだ。ギルド名、名前、クラスくらいしか確認できないだろ?・・・あ、それとエル、でいいよ。さんはいらない。」
エルは得意げに返した。
「すげーな。これは、俺たちにも共有することはできないのか?」
話を聞いていたダズが興味を示す。
「う~ん、そうだな。ギルドの加入についてはリーダーから聞いてくれ。さ、ついたぞ。ここが本部だ。」
そういって目の前の扉を指さす。
「エル!キース!帰ってたのか!!」
「?!」
4人は声のする後方へ振り返る。
「シンさん!!」
エルがその男の名前を呼ぶ。
「シン・・・?」
雄もその名を呼んだ。