1話 幸俚、行方不明に
第1話です。幸俚が現代から姿を消してしまう今回。さてどうなる事やら・・・?
真田家、とある蔵。
「・・・蔵の中の大掃除、かぁ・・・。爺様は爺様で毎年よく分からないものを買ってきては乱雑にしまうから、蔵掃除を毎年しなきゃならないんだよね・・・」
一人の少年がその蔵の前に立っていた。彼は真田幸俚。真田家に代々伝わる真田流次代当主である・・・が、今現在、彼は蔵掃除というある意味雑用を押しつけられていた。
「・・・うわっ、今年もまた一段とごちゃごちゃと・・・」
蔵を開ければ、そこには壮絶なまでに散らかった物が多数転がっていた。
「・・・うわぁ・・・これ青龍偃月刀のレプリカ・・・どこで手に入れてきたんだろう・・・それにこっちは・・・わ、うちのご先祖様がつけてたって言われてる赤い鉢巻・・・爺様・・・ちゃんと片付けようよこういうの・・・」
そして蔵を片付け始めた幸俚。その間のことだった。
「ゆきくーん」
昼前、美雪が蔵を見に来た。幸俚がそこにいる、昼の用意ができたから呼んできてくれと頼まれたからだ。
「美雪?」
「お昼ご飯できたよーっておばさんが呼んでるよー」
「あ、うん。もうちょっと片付けてから行くって言っといて」
「分かったー」
美雪の呼びかけは片付けるからという理由で流して、片付けを続ける幸俚。その数分後だった。
美雪が来てから数分後。
「・・・兜?・・・これは・・・到底戦国時代の物じゃ・・・ないなぁ・・」
幸俚が見つけたのは明らかに戦国時代のよりも古くてボロボロな兜。どかさないと、と思って兜に触れた時だった。
「うわっ!?わ、わっ、わあぁっ!?」
突然兜から光が発したと同時に、蔵全体が光に包まれた・・・
「・・・幸俚、遅いわねぇ・・・」
「おばさん、見に行ってきます」
「ありがとね、美雪ちゃん」
美雪は、いつまでたっても昼食に現れない幸俚を呼びに、蔵へと向かった。
「・・・ゆきくーん?ゆーきーくーん!!・・・おかしいなぁ・・・必死に作業してるのかなぁ・・・?」
声をかけても返事がない。美雪は遂に中に入ることを決断した。
「失礼しまーす・・・あれ?」
蔵の中に入ってしっかり見回しても、誰もいない。
「・・・ゆき・・・君・・・!?」
・・・そう、幸俚は忽然と消えてしまったのだ・・・。中央に古ぼけた兜を転がしたまま・・・
次回は・・・ヒロイン登場です。・・・が、そのヒロインは・・・!?
ここからおまけです。
おまけ~幸俚消えしその後は~
「お、おおおおばさん、ゆ、ゆゆゆゆき君がっ、ゆき君がぁっ!?」
「み、美雪ちゃん!?落ち着いて!」
「ゆき君が消えててっ、兜が落ちて手っ、私何が言いたいのか分からなくなってきたぁっ!?」