コーヒーショップ
気まずい。
俺はコーヒーショップで大神さんに頼んでもらった、
コーヒーを飲んでいた。
ハンバーガーショップでも、何も言わなかったのに、
俺の分を用意してくれたし、すごく気の利く人なのだろう。
それだけに申し訳ない。
今、テーブル席で向かい合って座っているのだが、
顔が真っ赤のまま下を向いてしまっていて、
もうかれこれ30分は経っているんじゃないだろうか。
彼女の前にもコーヒーが置いてあるが口はつけられていない。
おいしいのに。
従業員の人があの男の人、女の子泣かせてない?
と言っているのが聞こえるし、そろそろなんとかしないと、と思い、
なぜ固まっているのかと聞いてみた。
まぁ、そう書いた紙を差し出すわけだが、
うつむいたままなので気付いてもらえない。
困り果てていたのだが、いきなり大神さんが角砂糖をコーヒーに入れだした。
そして7つ目の角砂糖を入れ終わった後、スプーンでかき混ぜ、
一気に飲み干した。
甘くないのだろうかと思ってみていると、
「に、苦い。」
苦いのだそうだ。
コップをドンと机に置いた後、深呼吸をして
「あの、よかったらでいいんですけど、
その、下も脱いでく、くれませんか! 」
一気に喋ったからだろう、肩で息をしている。
ここの従業員さんが、盛大に噴き出した。