決心
そして俺はある決心をした
他人にとってはなんでもない決心かもしれない
うまくいかないかもしれない
だがけして妹を殺してはならない
俺は神の選択の隣で目をつむっている警備員さんに話しかけた
「すいません、機械が反応しないみたいですけど」
試したことはなかったがどうやら
人と話すとアレルギーのような感じで
血を吐くように俺の体はできているみたいだ
そして俺は喉から血があふれるのを感じながら
倒れていく
だが口は絶対に開かない
一滴でも血を吐くことは許されないのだ
決意のために
そう俺は知っていた
神の選択にもエラーってのがまれに起きる
職業を書いた紙が出ないことがあるそうだ
そんな時仕方なく人が職業を決めるらしい
やはりコンピューターも万能ではないのだ
俺はそれにかけた
<浅日さん>
俺は何とか立っていた
人と言葉を交わした後遺症だ
頭がずきずきする
ほほを濡らす俺を見て
安心して職業はもらえるからと
警備員さんは言ってくれた
白い建物に通されココで職業を決めてもらえるらしい
扉を開けると
女の子が机に座って漫画を読んでいた
妹も持っている漫画で題名は江戸時代で目からビームをだ
なぜ人気があるのか理解できない
こちらに気付いた少女は浅日というわと自己紹介してくれた
俺は来る前にもらった職業希望書という紙に
話せないということと職業はならべく人と話さない
ものがいいと書いておいて渡した
陽子なら絶対に浮かべることのないような邪悪な笑みを浮かべて
「じゃあ私の助手になるのがいいわ、ちょっと待っていて」
この誘いに乗ってはだめだと俺の頭が警報を鳴らす
それに最低でもお前とは話すようじゃないか
「私のお金じゃないし好きなだけ報酬は出すわ」
俺は本当かと顔を上げた
癖でずっと下を向いていたのだ
だから状況をうまく判断できていなかった
声から女の人だとわかってはいたが
思ったより小柄で少女といった感じだそして美しかった
腰のところまである白髪
透き通るような黒い瞳
なぜか頭にウサギの人形が乗っている
これで邪悪な笑みを浮かべていなければ
二つ返事で世話になっていただろう
しかしどんなに渋ってもこの子の決定は絶対だろうと思わせる何かがあった
そうだ俺が俺として生きるには
受けるしかない
もしかしたら全然たいしたことないかもしれない
所詮子供のする事なのだ
そう思ってた俺を叱りたい