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警備員さんの話
私は神の選択で仕事をしている
神の選択の前でその人が職業をもらうのを見張る役目だ
今私は目をつむっている
今職業をもらっている人が対人恐怖症らしくサングラスをとれないらしい
だがそんなものの着用は認められていない
そのままの顔で神の選択の前に立たなくてはならない
神の選択に誤差が出ては大変だからだ
前例はないが目をつむってあげることにした
なんでも彼は人の視線を感じるだけでも体調が悪くなるらしく
可哀そうだと思ってのことだった
しかしいつまでたっても終わる気配がない
いつもならこのぐらいで職業の書いた紙をわたされ
神の選択の前から立ち去るはずだ
目を閉じたまま理由を聞いても返事がない
6年務めてきたが
私が神の選択がエラーを起こすのを見るのは初めてだった