神様の選択ってやつは
正直自分にはどんな仕事も勤まるとは思えない
だがしかしやらなくてはならない仕事ってのがある
妹を殺してはならないのだ
どんな仕事でもやるしかない
この国で人は一つの職業にしか就けない
神の選択というシステムがこの国を回しているからだ
母はスーパーのレジ打ちだが寝込んでいるし
とび職である父はけがが治るまで仕事はできない
あれ俺ここで結構いい仕事見繕ってもらはないと飢え死にしないか?
神のシステムってのはコンピューターのことだ
高度な計算からその人の外見仕草から性格を読み取り
その人の最適な職業を選択する
それにはどんな人も逆らえない
国王の息子だって才能がなければ
クリーニング屋になることだって稀じゃない
そういえばこのまえ隣の家のよったんさんが勇者になったな
一体どんな仕事内容なんだよ
俺は神社で願掛けをした
神と名のつくシステムなら神頼みしかないと思ったのだ
妹のため、しいては自分のためだが何とか少しでもおおくお金がほしかった
どうしても人と目が合ってしまい
なんども気持ち悪くなったがサングラスで
目が合わないようにすることでたどり着くことが出来た
ただあいつのサングラスなにあれという陰口
を言われた
耳がいいから街に出るといろんなことが聞こえる
助けてー変な人に追っかけられてるー
とか強盗だーとか万引きだー襲われる―とか
誰も聞こえておらず平然としている中で
俺だけはその声を聞き取れる
ってか物騒だなこの町!!
やはり初対面の人だと目が合うだけできつい
何度かあっていれば目を合わせても少しなら大丈夫なのだ
いま俺は神のシステムの前に立っている
先ず小部屋に通された
そこには
警備員さんと
神のシステムそのものがあった
どうやらサングラスは外す必要があるらしい
警備員さんには筆談で目をつぶってほしいといった
かみのシステムは
大きな箱というイメージだ
真っ黒で異様な雰囲気がある
このコンピューターが膨大な計算をすることで
その人の適性に合った仕事をはじき出す
カメラが俺のことをなめまわすように見る
コンピューターの中で
はじき出された職業は無職
国から支援の必要最低限の補助を受け生活するだけの職業
そう、挨拶もろくにこなせない俺に適する職業なんてなかったのだ