神の選択の仕組み。世界征服の仕方
止まった。
「あっ、そのパソコン弄っていいんですか? ってパスワード掛かってますね、ヒントとかないんですか?」
「「ヒント、p=pn」」
ん? なんだろうこれは?
「……、とりあえずこのまま入れてみたらどうですか?」
キャベツに言われたとおりに入力する。そうすると、てんてんってってんと歌舞伎風の音がしてウインドウが開いた。
人の名前と職業がグラフになって表示される。結構簡単に改ざん出来そうなシステムでびっくりだ。とりあえず陽子の職業は素人アイドルから、トップアイドルに直して置いた。
「あの、」
なんか、キャベツがなんか言いたそうにしているので、大神の欄を呼び出して彼女にキーボードを渡す。
「いや、そういう事じゃないんだけど」
そんな事をいいながら、キャビンアテンダントと入力をした大神さんの顔をつい呆然と見てしまい、吐きそうになってしまったのでトイレに入った。帰ってきたらキャベツが嬉しそうに駆け寄ってきた。
「これいろいろ出来るよ! だって、一斉にみんなを同じ職業とかにも出来るし、あいうえお順でランダム職業選択とか出来るよ」
それにいったいどんな意味があるんだろう。全員が同じ職業だったら意味わかんないと思う。
「「たたた助けてー」」
テレビの向こうからサキさんが助けを求めていたので、サキさんをとりあえず僧侶にした。
「「なるほど、あなた。いえ、深見一樹。あなたがパスワードを解析できるとは思わなかったわ。でも、あなたは何も出来ない。そんな力があったってそこから出れないあなたに使い道はないのよ? あなたは一生そこで、他人の幸せの調整をしていればいいの」」
テレビの向こうからサキさんが高笑いをしている。
ためしにサキさんの職業をレタスにしてみた。
「「いやっ食べないで!? 馬鹿なの? あっ触らないで! 剥こうとしないでっぁ」」
俺は大神さんと共に外に出た。簡単だ、全力で扉を壊した。やり残したことは無い。俺は国中の奴らを全員無職にしてやった。
無駄な事かもしれない。だって、新しい神の選択が産まれるだけかもしれないし、そもそもこれで皆が自主的に職業を選んで生きていくとも限らない。
俺がやった事は退化。
「さようなら」
ただそれだけを入ってキャベツさんは帰っていった。
俺は今から陽子のコンサートに行く、トップアイドルの陽子、俺のすべて、皆が無職になった中で、一人だけ戸惑いながらもそれでも責任感だけで歌い続ける陽子は世界で一番可愛い。