表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/15

 


 何かおかしい、それは分かる。

 香美さんはなんとなくだが、こう世界の中心は私って感じだ。

それがない、それどころか多少怯えている様にも見える、後、決定的なことがひとつ、

香美さんとは一ヶ月過ごしてきた仲だ。

 俺以外気付かないことかもしれないが、彼女は俺と目を合わせない、

いや、正確に言えば目はあわせる、しかしどこか気を使ったあわせ方なのだ。

  

 俺もうまくは言えないが、明らかに違うのだ。

 この変化は明らかに、この前の俺が大神さんとあってからだ。

 そしてまた明日といわれたのに、俺はあれから大神さんと会ってすらいない。


 あの日からまた一ヶ月同棲した。前と違って独り言がぱったりと消えた。

 これほど違いがある、しかしそれが何だというのか、引っかかりはある、

しかしそれだけなのだ、客観的に見て何の違いもない。


 少しだけ言及したこともある、さすがに、目のあわせ方が前よりえげつなくなくなった、

とか独り言減った? とか聞く訳にもいかない。


 後、これは俺にとって重要なのだが、会話が増えた。

 前までは朝起きて、同じ部屋にいながら、まったく会話がなかったこともあったが、

それがなくなった。

 

「ねぇ、この冷蔵庫さぁ、なんか毎日使ったものとか足されてるんだけど? 」

 そういえば最近、よく解らない質問をしてくることも多くなった。

 これもそうだ、俺より香美さんのほうがそれ知ってそうなんだけどな…。

 

 だが俺も成長している! この場合知らないと答えるよりも、

何か予想して答えを言ったほうが長く会話が続くということに気付いた。


 誰かが入れ変えているんだと思う、と書いて渡す。


「それって怖くない? だってさ私女の子だし、、、」


 俺と同じ部屋で二人きりなんだから今さらだ、

実際は俺に襲われたら目を合わせればいいんだし問題はないけど。


「それに私、その人見たことない。」


 それは俺もだ、しかし足音でこっそりとはじめに会った警備員さんが

入れ替えているのであろうと思っている。 

 

 会話は楽しい、しかし俺は次の返事をすると死ぬ。

十日前からだろうか、香美さんは何か言うたびに少しずつ近づいてくる、

今回は何気に近い位置から会話が始まったので、これが限界だ。


「しりとり、しようか。」


 いつもはこの辺で会話が終わるのに、一歩近づきながら香美さんは

ゲームのスタートを告げる。


 俺たちの距離は後3歩分って位置だ。

「りんご。」

 後二歩、これ以上続けると何が起こるのかはわからない、

しかしこれ以上会話を続けるのは危険だ、かってな妄想だがもし、

もしだが、抱きつれたりしたら、嫌、じゃないけど大量出血で最悪死ぬかもしれない。


 しりとりを終わらせようと強盗殺人と書いて見せる。


「ンゴロンゴロ保全地域! 」


 ノータイムで答えて飛び掛ってくる、確かにそういう妄想はしていた、

しかし妄想はしていても本当にそんなことが起こるとは思ってはいない。

そして普通、んで終わったらしりとりは終わる。


 体を倒され馬乗りにされる、そして彼女が顔を真っ赤にしているのを見て

俺が思ったことは、戸惑いでも発情でも無く、いや、戸惑いか、

俺の上に乗っているのは大神さんだった。


 そう俺は、人の顔を見ない人間だ、目が合うことはあるが、

そのときは逸らす事に必死で顔など見ない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ