ロリコン
「お兄ちゃん、何の仕事を始めたの? 」
久々の我が家なのだが、俺に積もる話などできる筈はなく、
いつもどおり陽子が話し続けるという形だったのだが、
ついに俺が話す番が来たようだ。
「おう。」
「ふむふむ、いや、おうってどんな仕事だよ!! 」
時間になったので帰ることにする。3時間ほど陽子が話し続けたのでもう暗い。
行きと同じくバスに揺られ、860円のバス賃を払って扉の前に立つ。
ノックはしたほうがいいんだろうか、そもそもこれがどういう仕組みで
開くの書かが解らない。いつもは押しても引いても
びくともせず軟禁状態なのだが、今日俺が出るときは自然に開いていた。
どういう仕組みで開くのかわからないのだ。
中から声がする。
大神さんの声だ。
何故だろうか、声なんてするわけないのに。もしや俺は意外と重症なのか、
彼女の笑顔にやられたのか、そして俺は小さい子が好きなのか。
手が汗でべたつく、これは、、、
俺が人生に挫折しそうになった時、ドアが唐突に開き、大神さんが出て行った。
大神さんは笑いをこらえていた、深くフードをかぶっていて、表情など解らなかったが、
俺には聞こえた、クックと笑ういう声が、何か面白いことでもあったのか、
しかし、どこか恐ろしい笑い方だった。
香美さんがどうしたの、と聞いてくる。
ドアの所で突っ立ている俺を不審に思ったのだろう。
それはとても心配そうで、優しい声だった。
俺は何も知らないこの世界の仕組みを。