暖かい場所
「リヴィーー!今日こそちゃんと教えてくれよー!」
「う゛ぅー、めんどくさい・・・・」
あれから随分経ったがリヴィは面倒臭がって教えてくれない。
「だって長いんだぞー!下手したらそれで二十四時間潰れ兼ねない!」
なんて面倒くさい大人だろうか。
棗がそう思った時、ミレイナがやってきた。
静かだが怒りを含んだ声で。
「リヴィ、貴方面倒くさい大人にだけはならないでね?」
その言葉が聞こえるとリヴィは素早く部屋から出てきた。
「やぁ棗くん。お待たせ」
その姿を見た棗は「・・・バカっぽい」と言い捨てる。
「ん゛ー・・・・。じゃあ話しますよっ・・!」
『はぁい』
返事が二重。
違和感を感じてリヴィが後ろを振り返る。
「で、ミレイナは何でいるんだ?」
そこにいたミレイナに問い掛ける。
「私も聞きたいからよ?」
真面目な答えが返ってきた。
半分無視しながら話を再開する。
「・・・んじゃ、輪廻については解っただろうから、次は記憶の関係からだな」
そう言って話し始めるリヴィ。
「人は誰しも前世の記憶を持っている。だから初めてい行った場所でも懐かしい雰囲気を感じたりする事がある」
「あっ!確かに一、二回そんな事あったなぁ」
話を続ける。
「そしてお前は前世の因果により、まぁ殆ど偶然みたいな形でこの世界にやって来た。その時お前の中にあった前世の記憶が干渉して、俺の人格を目覚めさせた。だから頭の中から声が聞こえたんだ。省略するとこんな感じだな」
そして最後に、「ミレイナ達も同じくだ」と付け足した。
「だから俺たちは本当だと、もう死んでいたんだ」
え?
「でも榊さんが調整して今まで生きていた事にしてくれたの」
「・・そう、なんだ」
「まぁでも暗い話は抜きにして、色々分かったか?」
リヴィが励ますように問いかけた。
「うん。ありがとう」
微笑む。
穏やかで平和な時間が流れていた。
「あとは俺の友達とか紹介するから」
暖かい。
そんな時だった。
「あら、そう言えば水城ちゃん。今こっちの世界に来たみたい」
と、ミレイナが言った。
「えっ!?でも、水城は俺と一緒に飛ばされたのに何で今更?」
「多分気を失ってて、時間断層に引っ掛かってたんじゃないか?気を失ってると時間断層から出られないから」
「じゃあ私、水城ちゃんを迎えに行って来るわね!近くに落ちたみたいだから、直ぐに戻るわ」
そう言うと、ミレイナはスッと消えてしまった。それから一分後。
ミレイナが水城を連れて戻って来た。
「だだいま~♪」
嬉しそうなミレイナの隣で不安げな表情を浮かべていた水城が棗の姿を見て、走り寄り、抱きついた。
「水城、お帰り」
今にも泣きそうな水城の頭を撫でながら、棗が微笑んだ。
「棗ぇ~、怖かったよぉ~」
泣きじゃくる水城。
「もう、大丈夫だからな」
再び頭を撫でている棗の表情は安堵に満ちていた。