動き出した運命
───俺と亨が出会ったのも、運命だったのかもしれない───
棗と亨の出会いは小学三年生の時だった。
亨がその時は転校してきたばかりで浮いていて、最初に話しかけたのが棗だったのだ。
それから二人はすぐに仲良くなった。
──それから八年経った高校の入学式の朝──
「おばさん、棗二階?」
「そうよ~。いつもごめんね~、亨君」
「いやぁ、好きでやってるから良いんですよ」
軽快なリズムで階段を駆け上がり、勢いよくドアを開けた。
「お~い朝だぞ~!今日は入学式だぁ~!!」
いつもの声で棗の目が覚めた。
「おはよう亨」
「おはよう。そら、早く着替えろ!入学式から遅刻しちまうぞ!!」
「はいはい」
亨は六年前から欠かさず棗を起こしに来る。
今では家族の中に溶け込んで、たまに夕食も食べていたりするくらいだ。
「ワリぃ、待たせた」
「じゃあ行くか」
今日は高校の入学式がある。
棗は一人、果てない空を見上げた。
───とうとう俺も高校生かぁ
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校長の話が大半の入学式が終わり、棗達は深い溜め息をついた。
「この後どうする?棗」
「取りあえず家で入学祝いしようぜ!」
「棗~!亨~!」
そんな二人の会話に入って来たのは、棗の幼なじみの水城だった。
「何々!?入学祝いすんの?ウチも入れてよ!」
「しょうがねぇなぁ~、じゃあ家に帰るか!」
そんな三人の前に一人の男が現れた。
その男は黒のスーツ姿で、黒縁のメガネをかけている。
「本日は高校ご入学おめでとうございます」
と、その男が言った。
棗達は何となく嫌な雰囲気を感じ、そこから立ち去ろうと足を進める。
すると、その男に呼び止められた。
「貴方達にプレゼントがあります」
その男は小さな箱を取り出した。
「入学祝いにあなた方の前世へ連れて行って差し上げましょう」
その男が呟く。
刹那───箱が開き、その中へと三人は吸い込まれた。
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