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新しい友人

「明日久しぶりに学園へ行ってきます」


久しぶりに家族揃っての夕食にそう私が話すと、お父様はほっとした顔をして喜んでいた。


「なら、いつも通りに私お姉様と一緒に通えるのね!」


「いえ、私一人で行くわ。別々よ」


「そ、そんなあ‥‥」


涙目になるキャンディを無視して、私は黙々とご飯を食べる。お義母様はキャンディを宥めつつ、私を睨んでいた。反抗的な態度をとる私に苛々し始めているみたいなのよね。


でもなるべく、関わりたくないもの。私もキャンディを昔から甘やかしすぎてたのも悪いのは自覚してるし、ここはしっかりと距離を置かないと!後々面倒だもの!


次の日、私はキャンディについていかれないように早めに学園へと向かう。まだ早いのか人もいないようだ。


私は屋敷からコッソリと持ってきたお菓子を一人で食べようと、誰にも見つからなそうな裏庭へと歩くと、そこには紫色の髪で一つにまとめている眼鏡姿の女子生徒がベンチに一人で座っていた。


あの方は‥‥確か王太子の婚約者であるエリザベス•キーモン様だわ。


物静かであまり人と関わらない方だっけ‥?

一つ上の先輩だけど、校舎も違うし‥。とりあえず挨拶だけはしておいたほうがいいかな。

私は挨拶だけ済ませて立ち去ろうと思い、近づくと、エリザベス様は何処から持ってきたのか、突然大量のチョコレート菓子を出して、一人で食べはじめた。


え、まって‥‥!そのチョコレートは!!


「そそそのチョコレートは、カナルア店の限定チョコレート!!!‥‥あ」


「‥‥え。貴女は‥リゼ様。ご機嫌よーー」


「エリザベス様!そのチョコレートはカナルア店のですよね!?なかなか手に入らない人気の!」


「へ?え、えぇ‥。リゼ様も甘いものがお好きなんですか?」


朝から甘いお菓子を食べながら、私はエリザベス様と話す。回帰前はパーティーや学園でで会っても挨拶をする程度だったけれど、よくよく話すと‥‥彼女も私と同じくらい甘いものが大好きだと知った!!


「エリザベス様が甘いものが好きだなんて意外でした。しかもこんな大量に」


「王太子の婚約者として、こんなに食べてるのを皆知ったら威厳が無くなるから食べるのをやめろと言われてて‥‥。たまに、こうやって人がいないうちに食べてたの。内緒にしてくれるかしら?」


「勿論ですわ」


妃教育は拷問ね‥。なんだか‥以前の私のようね。好きな物も我慢して、周りの見本となるように必死になってて‥‥近寄りがたい方だったけれど、今は親近感があるしチョコレートを美味しそうに食べる姿がまた可愛いらしい。


というか、ほんとうにストレスが溜まっているみたい。主に婚約者である王太子に頭を抱えてるとかなんとか。


「そうだ、エリザベス様!今度私とお茶しませんか?堅苦しいお茶会とかではなく、二人で好きなだけチョコレート食べ放題!ストレス発散は大事ですもの」


「ふふ、令嬢の鏡と呼ばれているリゼ様はお茶目な方だったのね」


「‥‥あー、もうそういうのは辞めましたから」


ハアと溜息を出す私に、何か察したのかエリザベス様はそれ以上何も聞かず、ただチョコレートを渡してくれた。


可愛い子だわ。眼鏡っ子推しになろうかしら。


チャイムが鳴ったと同時に、セイロンが現れた。


「あ、セイ」


「リゼお嬢様」


私がエリザベス様と一緒にいる事が不思議なのか、それとも朝からお菓子を食べている女子生徒二人に驚いているのか‥‥うん、こっちだわね。


「ここの裏庭は、騎士科の方面なので‥‥」


そう言いながら、セイロンはエリザベス様に挨拶をした。先程までのエリザベス様から甘い匂いと可愛いらしい雰囲気は無くなり、ビシッと背筋を伸ばし、私達に挨拶をしベンチから立ち私の方へと振り向く。


「それでは私はクラスへと戻ります。ご機嫌よう」


「えぇ、エリザベス様」


私とエリザベス様はニッコリとお互い微笑み合う。また会おうと。


隣りにいるセイロンは私にハンカチを渡す。


「何?ハンカチ?」


「チョコレートが付いてます」


「あら」


「エリザベス嬢と楽しそうにお話しされてましたね」


「えぇ、彼女と仲良くなれそうだわ」


久しぶりに学園へ来てみると、お菓子友達ができたわ!!



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