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ケーキバイキング

「はあ‥‥ケーキをたらふく食べたい」


ベッドでゴロゴロと本を読むのも楽しいけど、やっぱりアニメやら動画も見たいし、大好きなケーキを沢山食べたい‥‥うん、食べたい!


一応公爵令嬢の私だから外に出るのも許可は必要だし、護衛も必ずつけなければならないので私は久しぶりにお父様の書斎へと足を運ぶ。


「外出なんて駄目に決まっているだろう。最近のお前はおかしい」


「え!おかしいのは、お父様のヅラですよ!?」


「なっ!失礼な!これは私の最高級のヅラだ!」


見事に却下された。ヅラを褒めればよかったかしら?ケーキ食べ放題があると聞いたから、一度は行きたかったのに。


キャンディは買い物へ一緒に行こうと誘ってきてけれど、私は拒否した。どうせアッサム様も一緒だろうし。


そう溜息を出していた時、ちょうど我が家の騎士達と‥‥騎士見習いの者達がいた。そこにはもちろんセイもいた。


「セイくーん♩さあさあ!訓練も終わったところだし、昼間だけど師匠の俺と大人のお店でも行こうじゃないか!」


「行きません。キリス団長、暑苦しいので離れてください」


嫌がるセイの頭をわしゃわしゃと撫でているタレ目で緑色の髪はオレンジペコー家の第二騎士のキリス団長ね。第二騎士団は平民出身者が多く、キリス団長も平民出身ながらも腕は強いと言われている。とてもチャラそうだけど。第一騎士団は、お父様や私達家族の護衛を任されているし‥よし!


私はセイとキリス団長の元へ行くと、騎士団の人達は、あまり接点がなかった私が現れたので驚いていた。


「あれ?リゼお嬢様、どうかされたんですか?我々第二騎士団に何か用事があっーー」


私はがっしりとキリス団長とセイの腕を掴みニッコリと微笑むとセイは私の方を見て怪しむ。


「‥‥リゼお嬢様。その悪い顔はなんですか」


「ふふふ。セイ、キリス団長!私と良いところにいこうじゃないの」


「「‥‥どこに??」」




ほろ苦く、程よい甘さのチョコレートケーキ、旬のフルーツを沢山挟まれ生クリームたっぷりのフルーツケーキ、いちごとチーズクリームの濃厚なタルト。


「んん~!幸せ!!あら?セイ食べ無いの?」


呆れた顔で私の後ろに控えて立っているセイロンと同じく後ろで護衛をしつつちゃっかりとお菓子を食べているキリス団長をセイロンは叱っていた。どちらが上司なのかわからないわね。


「キリス団長‥‥貴方まで何食べているんですか?」


「いや、ここ俺の妹も好きなケーキ屋さんでさ。あ、リゼお嬢様、葡萄のムースはおすすめだと妹が言ってましたよ」


「あら、そうなの?なら、5個持ってきてくれる?」


「分かりました」と意気揚々と女性達に紛れてケーキを取りに行く騎士が珍しく女性達は

ザワザワとしていた。うん、周りの視線は私達に集まっているのはわかる!貴族はこういうところには来ないもの。でも、やはりケーキを沢山食べたかった!!


好きなだけケーキを食べている私を、何考えているかわからないけれど、ジッと見つめるセイロン。


「なに?貴方も座って食べたら?いいのよ?」


「リゼお嬢様、これで15個目ですよ」


「まだいけるわ!大丈夫よ」


そう話す私に呆れた顔をしながらも、笑うセイに釣られて私も笑った。


「ねえ‥あそこにいる黒髪の騎士の人、格好いいよね」


「さっき、私微笑んでみたけど睨まれちゃった!それでもカッコいいよ!」


そう女性達がチラチラとセイを見て頬を赤らめていた。確かに美青年なのは認めるけど、生意気だから辞めておきなさいと私は心の中でそう彼女達に注意した。


「あ、そうそう。リゼお嬢様もセイロンに言ってくださいよ!来月に剣術大会があるからセイロンも参加してみろと勧めたんですけど、こいつまったく今興味ないみたいでーー」


剣術大会‥‥あぁ。あったわね、貴族、平民関係なく15歳~19歳限定の剣術大会。優勝者は、確かアッサム様も回帰前参加して私は応援していたわね。惜しくも二位だった。


優勝者は確か‥‥‥


「リゼお嬢様‥?」


「参加しないの?セイの実力はよくわからないけど、あそこで注目すれば間違いなく王家の騎士としての道もあるはずよ。あ、このトリュフおいし!」


大きく頷くキリス団長とチョコレートを食べている私にセイは首を横に振り、私の方を見つめる。


「‥‥‥私は‥‥私がお守りしたい方は王家ではありませんから。たった一人だけです。その方の為に騎士になるだけなので」


「‥‥‥セイ‥‥‥貴方‥‥‥‥‥‥そこまで私のハゲ親父に忠誠を誓ってくれているのね。でもね、これは秘密だけどお父様はヅラよ」


「‥‥‥。」


「ん?何よ?」


「‥あぁ‥‥いえ、リゼお嬢様は相変わらず馬鹿だなと」


何故か、セイは呆れた顔をして、キリス団長はお腹をかかえて笑っていた。何よ、失礼ね。私は常に学年で一位でしたけど!?


「とりあえず!剣術大会へ参加してみなさい!何故なら!優勝までとはいわないわ!参加者には全員、隣国お取り寄せのチョコレートケーキくれるのよ!?ね!とりあえず参加しましょう!」


まだ迷っている顔をしているわね?まあ、あそこは強者達が集まるし、セイロンも不安みたいね。私はセイの両手を握り励ました。


「セイ、私は貴方を応援するわ!」


「‥‥‥かしこまりました」


何故かセイは固まっているようだけど、我儘な私に呆れているのはわかるわ。でも前回、アッサム様が参加して貰ったケーキは、私は食べるのを我慢して妹のキャンディが食べたのよね。我慢は嫌、我儘でグータラを目指すのよ!


「さて、十分食べたし、帰りましょう」


帰りの馬車に乗るリゼの後ろ姿を見つめているセイロンに、キリス団長はニヤニヤしながら話しかける。


「お前の頑張りをお嬢様に見せるのも、悪くないぞ?誰の為に強くなろうとしていたかさー!それに万が一、お前が優勝したら、俺は鼻が高い!」


「‥‥万が一?いえ、優勝します」


そう余裕な顔をして呟くセイロンだった。



少し遠く離れていたところに、キャンディの買い物に付き合っていたアッサムがリゼ達を見かけた。


「アッサム様ー?どうされましたか?お姉様のお土産も買ったことだし、帰りましょうー!」



「‥‥リゼ?なんでまたあんな男と‥僕とは会ってくれないのに‥」


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