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我儘な告白

「なんで私が捕まらなきゃいけないのよ!!こんな事許されると思ってるの!?私が次期オレンジペコー家の当主になるんだから!お姉様より優秀だと今回は、今回こそは‥‥みんなに証明するのに!!」


暗い牢獄に閉じ込められていたキャンディはずっと叫んでいた。その隣りの牢にいたリプトン家の当主も逮捕され、「こんな筈では、」と納得していない顔でうなだれていた。


オレンジペコー家の屋敷内でも、何があったんだと騒いでいた中‥‥いや、そんな事よりももっとやらかしてまった張本人である、城にいたセイロンはまだ固まっていた。


そんな固まっているセイロンにダージリン王太子は肩をポンと優しくたたき笑顔で励ます。



「ま、もう一回キスしてくれとたのめば?っていででででで!!おい!俺王太子なんだけど!!」


ダージリン王太子の腕を捻りあげるセイロンに、エリザベスは声をかける。


「セイロン様、リゼ様は今庭園にいらっしゃるわ。会いにいかれては?」


そうエリザベスが言うと、セイロンは少し息を整えてから何かを決意したかのように部屋を出る。セイロンを見送った後エリザベスは、茶化していたダージリン王太子をキッと睨み長い説教を始める。説教をされているのにも関わらず、ダージリン王太子は少しだけ嬉しそうな顔をして彼女のお説教を黙って聞いていた。



怒って飛びだしてしまったけど、セイの足は大丈夫かしら。

いや、心配をしてはダメよ!あの男は‥‥き、キスした事を覚えてないのよ!!


「苛々してるときは、チョコレートに限るわ!何よ、キス一つ二つ!‥‥‥はぁ‥‥本当何やってんだか‥‥」


私が庭先の花を見て落ち込んでいると、花壇の向こう側にはセイロンが立っていた。歩くのがまだ大変そうなのに追いかけてきて‥‥くれたの?


「リゼお嬢様‥‥」


「セイ‥‥」


セイは少し気まずそうに下を向いて黙っている。そうよね、薬のせいで‥‥彼は悪くない。



「もうしわけございません」


「‥‥っ。いいのよ、アレは事故みたいなものでしょ‥‥もういいから今は私の事は放っておいてくれる?」


私がそうまた後ろを向いて歩き出すと、セイは慌てて私の手をぎゅっと握りしめる。


「‥‥違うんです!キスしたのが夢かと‥‥アレは夢かと‥‥」


「へ?」


いつも冷静で無表情なセイの顔が凄く真っ赤だわ。耳まで赤くてタコみたい。


「夢?」


「はい、夢かと思い‥‥夢ならば貴女に触れて良いと‥‥‥私は‥‥ずっと貴女に恋焦がれておりました。叶わないものだとしても、ずっとお慕いしておりました」


「‥‥‥セイ‥‥‥顔が凄く真っ赤よ」


そう私は言うと更に顔を真っ赤にするセイがなんだか面白いわね。


「‥‥‥ただそばにいるだけでは‥‥満足できなくなりました。卑しい身分だと分かってます、高貴な身分であるリゼお嬢様と私では釣り合わないと‥‥それでもっ‥‥私は‥‥


貴女を愛しております」



セイは私を真っ直ぐに見つめて自分の思いを私に伝えてくれた。


セイは私が好き‥‥。彼はなんだか自信なさそうな顔をしている。


「‥‥いつも堂々としているのにどうしてそんなに自信なさそうな顔をしているの?」


「‥リゼお嬢様は‥‥ずっとあの男を想っていたのを遠くから見ていました‥‥想い人がいるのにも関わらず‥‥唇に触れた事申し訳ございません」


「‥‥セイは‥‥わかってないわ‥‥」


私もわかってはいなかった。いつのまにか、私は貴方が思っている以上に、貴方が、セイが好きなんだと。


私はそっとセイの頬にキスをした。案の定、セイは固まって混乱している顔だった。


「‥‥え‥あの‥‥」


「私ね、いつのまにか貴方の方がずっとずーっと大好きになったのよ」


そう私が微笑むとセイも微笑んでくれた。


もう一度私達はキスをした。



「セイ、私達はこれで恋人よね」


「それは違います」


「‥‥え、なんでかしら!?」


さっきまで茹でタコだったのに、済ました顔をして話すセイ‥‥一発殴りたくなったわ。


「私はまだ見習い騎士の生徒で身分は平民です。リゼお嬢様は貴族であり次期マカロン当主の方です。釣り合いません」


「そんなのーー!!」


私が立ちあがると、セイは私の頭を撫でて話す。


「ですから、私が貴女に似合う男となりたいのです。誰にも文句を言わせないほどの、力をつける。これは私の我儘で申し訳ございません、少しだけ‥少しだけ待っていただけませんか?」



確かに、今この国では身分制度が根強い。平民出身は何か功績を残して出世していかないといけない。


「それは‥‥我儘な告白ね。キスを二度もしておいて」


「はい、我儘な告白です」



ならば‥‥私は少しだけ待てばいい。

彼のそばにいたいもの。

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