魅惑とブス
「リゼ様、体調は如何ですか?最近授業にも出られてないようで心配でしたわ」
「学園へ来ていたのはわかっていたけれど、なかなか話せてなかったじゃないか。君がいないと授業もつまらないと皆言っているよ」
「素敵なドレスですわね!」
良く見えないけれど、少し離れたところでキャンディとセイが話している様子を私はなんだか不安になってきた。
いやいやいや、キャンディよ!何腕を組んで話してるのよ!?セイもセイでどんな顔をしているか後ろ姿ではわからないけれど、鼻の下伸ばしてるわけじゃないわよね?
……ズン、となんだか気持ちが重くなった。
あぁ、これは……ほら、また。
嫉妬と焦りと、どうしようもない不安。アッサム様の時は耐えて知らないフリをして逃げていたけど…
目を少し離した隙にセイとキャンディの姿がいなくなり、焦った私は二人を探そうとすると
「リゼ」
「……アッサム様。ご機嫌よう」
「僕と一曲踊ってくれるかい?」
「無理です、パートナーはキャンディでしょう?この際ハッキリ申し上げます。私はアッサム様の事を好いておりません、だからーーちょっ!?」
アッサム様は悲しそうな顔をしつつも、私の手首を強く握り締めて歩き出し、バルコニーへと連れ出す。
二人っきりとなった。
久しぶりというか、なんというか…
「……僕は、リゼが好きだよ」
頬を赤らめて真っ直ぐな瞳で見つめるアッサム様。前の私なら、喜んでいたでしょうね。
ずっと二人で時間を過ごして行きたかった、見つめて欲しかった。……そばにもいて欲しかったけれど……
「…アッサム様、私は貴方が好きでしたよ」
「それならばーー!」
「過去形です。もう……そんな気持ちは全くありません」
うん、無いのよ。今アッサム様を見ても、カボチャしか見えないしね。
私がそう言ってその場から立ち去ろうとした時、ガシッ!また私の手首を強く握るアッサム様は震える声で私に話す。
「…あの男かい!?あのセイロンってやつか!?」
「だとしたら、どうなんです?関係ないでしょう」
「ハッ!あの男はキャンディと二人っきりで楽しんでる愚かな奴だよ!目を覚ませ!」
「……は?何を…。キャンディとセイロンは今どこにいるか知ってるのですか?」
「え?あ、いや、その……」
そう私がアッサム様を睨み問い詰めていると、パチパチと拍手をして現れる、ダージリン王太子だった。
腹が立つ嫌な笑顔だわ。
「いやあ~手首痛そうだな?リゼ嬢」
チラッと私の手首を強く握っていたアッサム様は慌てて手を離して謝ってきた。
「エリザベス様は?」
「一曲踊ってきてさ、その後エリザベスは令嬢達と仲良く会話してて暇してた」
いや、王太子は暇ではないでしょうよ。何を考えているかイマイチわからないのよね…ただアッサム様から離れるには好都合ね。
「ダージリン王太子様、私セイを探しているんですが…」
「あー!セイロン?さっき、君の妹と二人で向こうの方へ行ったなーって、おい!リゼ嬢!」
私は会場を抜けて、セイを探しに行った。後ろには、何故かダージリン王太子が追いかけてくる。
「ダージリン王太子は何故ついてくるんです!?」
「なんか面白そうなことありそうだから」
何言ってるのかしら?この男は…
私は噴水近くまで来ると
「キャアァアァ!!!!」
妹のキャンディの叫び声が聞こえた。
バッと噴水の方へ行くと、少し服が乱れているキャンディと……
「……え、セイ?貴方…」
何故か……セイの片足が血だらけになっていた。自分の持っていた剣を自分で刺したの!?なんで!?!
いや、何故かセイの顔は赤らめていた反面、キャンディは泣いて騒いでいた。
「ば、ば馬鹿じゃないの!?わざわざ自分で刺す!?頭おかしいわよ!私の誘いを断るなんて……!!絶対効くやつなのに!!ロン様…!!おかしいわ!」
ロン様って誰?と思ったけれど、セイはキャンディに向かって話す。
「……申し訳ございません。醜いブスに触れたくないので」
「はあー?!なっ、なんですって!!!酷い!」
えーと……一体何があったのかしら?!誰か説明してください。




