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16歳に戻ってきた私

目を瞑ると真っ暗な闇の中光が見えた。その瞬間、何故か前世の記憶を思い出す。


『ごめん、夏菜子とは結婚できない』


以前は日本で働いていた事のある記憶がぐるぐると頭に入ってきた。いや、その時も結婚できんと親友に婚約者を取られたんだ。


私って恋愛運というか結婚運ないんだなあとしみじみ思うわ‥‥。


あー腹立つ。男ってなんなんだ!?

色々と混乱しつつも更に眩しい光が現れた。

その光の先へいくと……目を覚ました瞬間‥‥。


「リゼお姉様?どうしたんですか?」


「…へ??」


目の前には妹のキャンディが首を傾げながらティーカップを持って私を見つめる。

ん?なんか若い‥‥?あれ?


私は窓辺の方に写る自分の姿を見て驚いた。


「え!?なんで!!」


もう一度自分の顔を見ようと、メイドに鏡を持ってきてもらい見ると‥‥なんと!


肌プルプルだわ!いや‥そうじゃなくて何故か4年前の夏に戻っている?


16歳の私だわ!?


「ななな‥‥‥なんで‥‥」


「あの‥?お姉様?大丈夫ですか?」


私の顔がよっぽど酷かったのか、妹のキャンディは心配そうに私に近寄ってきた。


今は‥‥だめだ。顔も見たくない。


「‥‥ごめん。具合が悪いかも」


「え、でも‥‥アッサム様が来られる予定ですよ?その、婚約のお話、お姉様に来てるし」


あぁ‥‥。アッサム様が好きなのね。肩を落とすキャンディ‥‥うん、正直今は二人の顔を見たくないんです。私はそこまで心が広くないんです。そして、いろいろと面倒臭くなってきた!


「うん、貴女がなれば?」


「‥‥へ?」


私はそう言い、具合が悪いから自分の部屋に1人で戻ろうとした。キャンディは何故か口をポカンと開けて驚いていた。


私はそんなキャンディを無視して、廊下の方へと歩き、護衛騎士達の訓練場前を通った。


‥‥そういえば、私が馬車で轢かれ手を握って涙を流してくれてたのは‥‥セイだったよね。


カキン!と剣と剣がぶつかり合う中、まだ騎士にもなれてない見習いの一人の少年は目立っていた。他の見習いの人達はバテてるのにも関わらず、セイだけは汗ひとつかいてなかった。


セイロン‥‥昔小さい頃、路地裏で瀕死状態だったセイロンを私は見つけて、お父様にお願いをして我が屋敷へいさせるようにした。


あれ以来、あまり話たことはないし、話すと喧嘩になって、腹が立つから避けてたのよねえ‥‥。それに婚約者であったアッサム様に合わせた毎日だったし。


『俺はなんのために‥‥』


確かに泣いてくれていた。なんで泣いたのかしら?意外と泣き虫さんだったのね。


「あーそっか!まあ、私を恩人だと少しは思ってたのかな?」


そうジーッとセイを見つめていると、パチッとセイと目が合うものの、なんとなく気まずい私は目を逸らしその場から立ち去った。


部屋へ戻ろうとしたのに‥‥

な、ん、で‥‥!!


コンコン


「あら?リゼお姉様?アッサム様が来てますよ?リゼお姉様?‥‥まだ部屋にいないみたいです」


「そうなのかい?具合が悪い筈だからそう遠く行ってないよ。探そう」


いやいやいやいやいやいやいやいや、探すな!何部屋まできてるの!?ギリギリセーフ!まだ部屋に帰らなくて良かった!


今はアッサム様の顔をみたら、吐き気がする!!無理無理無理!


私は二人に見つからないように、すぐに庭の方へ行き、二人にバレないように茂みの方へ身を潜める。


‥‥‥二人は仲良く私を探している。私を探すフリをして、二人っきりを楽しんでるのがわかる。私を本気で探すのならば、メイドや執事達にも探させる筈だもの。

正直、今アッサム様の顔を見たら殴りたい、いや‥‥わからない‥‥ずっとずっと好きだったから‥‥会ったら辛い。辛らすぎる。


ポロポロと涙が出てきた。


「‥‥ははっ‥‥私って馬鹿な女だなあ。未練タラタラの情けない」


ガサッと後ろから誰かの気配を感じた。え!?二人にバレた!?私が慌てて振り返るとそこにいたのは汗だくで黒髪が乱れていた少年‥‥


「「‥‥‥‥」」


セイロンだわ。なんか死ぬ前に会ったから久しぶりという感覚がないわね。


「‥‥‥」


ジーッと眉を顰めて私を見つめるセイロン。

はっ!鼻水でてた!?いや、なんか言って欲しいんだけど!?


「あ!そこの君!リゼを知らないかい?!」


うっわ‥‥最悪だ!アッサム様じゃないの!!嫌!今は会いたくない!!セイロンにもバレたし!


私が耳を塞いで、身を縮めていると‥‥


「‥‥いえ、知りません」


「そうか。すまない。ん?キャンディどうしたの?」


「あ、あの子、私怖いです!昔から苦手なんです!アッサム様向こうへ行きましょう」


そうキャンディとアッサム様は東側へと去っていく。


シーンと静かな空気‥‥私の鼻水の音だけが聞こえる。セイは、ストンと私の隣りに座り、タオルをくれた。


「‥‥汗臭い‥」


「リゼお嬢様の鼻水よりかは、マシではないでしょうか」


「‥‥‥‥相変わらず、口が生意気で腹が立つ子ね」


「それはお互い様なのでは?」


そう私はセイをキッと睨むと、何故かセイは口元が笑っていた。馬鹿にしてるのか!?鼻水出たのはしょうがないじゃない!!


「元気じゃないですか」


そう言って立ち上がってセイロンは、去っていく。


相変わらず、本当に口も態度も悪いし、無愛想でよくわからない子だ。


でも、土と汗臭いタオル‥‥綺麗に洗って返した方がよいよね?



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