勝利と不意打ちな笑顔
カキン!と剣の刃の音が鳴り響くと共に、アッサムは初戦の試合に勝つ。
「キャァ!アッサム様!素敵だわ!!」
「さすがは、トワイニング家の子だな!」
確実にアッサム•トワイニングが優勝すると周りも思っており、アッサム自身も今年の大会も大した事がないと思っていた。
そうあの二人が現れるまでは。
「しょ、勝利!セイロン!」
「勝利!謎の仮面男!」
アッサムの次にセイロンと謎の仮面男が参加をしている事によって、状況が変わっていた。あんなに馬鹿にしていたセイロンが強く、そしてよくわからないが謎の仮面男も強く二人は目立っていた。
会場の特等席でエリザベスと観覧していたリゼは驚いていた。
「‥‥セイって強いのね」
キリス団長や、騎士科達のみんながセイを推している理由がわかった気がする。剣術とかよくわからない私でも、セイは【強い】とわかる。アッサム様と同等‥‥いえ、それ以上かもしれない。
次々と勝っていくセイ‥‥。勝ち続けるセイに、平民だと馬鹿にする者や納得のいかない人達はブーイングをなげつける。セイはあまり気にしてないみたいで良かったけど‥‥。回帰前はアッサム様とダージリン王太子の闘いだった。けど‥‥これは‥‥。
そう考えていた時、どうやらセイと仮面男(ダージリン王太子)との準試合となった。
アッサム様は別な方との試合‥‥
ここでダージリン王太子が勝てば、回帰前と同じくアッサム様とダージリン王太子の試合となる。
試合会場はセイロンと謎の仮面男との試合となり、セイロンは野次を飛ばされていても無視をしていた。そんなセイロンに対戦相手の謎の仮面男‥いやダージリン王太子は声をかける。
「俺が勝つけどな!」
「‥‥‥そんなふざけた仮面など早く外せばよいものの」
「勝利してカッコ良く登場したいだろ?」
審判が現れ、二人は構え始める。
「試合、はじめーー!!」
審判の声と同時に、二人の動きはとても早く後を追う事で精一杯だった。グイグイと攻撃を攻めるダージリン王太子とは正反対に、セイロンはずっと受け身の状態だった。
「アッサム様!あの平民やろう!負けますよ!運が良かったんですよ!アッサム様?」
アッサムの取り巻き達は、固まっているアッサムの様子に首を傾げる。
「‥‥僕でさえ、あんな素早い動きは‥‥。あの二人は互角で闘っている‥いや、むしろあのセイロンという男は‥‥」
セイロンはスッと静かに、ダージリン王太子の攻撃を交わした後、一瞬で彼が被っていたお面を真っ二つに壊れ、その一瞬でダージリン王太子は持っていた剣はセイロンにとられ地面に手が着いてしまう。
「わはは!負けたわ!セイロン!やっぱりお前俺のとこへ来いよ!」
「‥‥拒否致します」
真っ二つに仮面が壊れ、ダージリン王太子だと会場は驚いていた。
「え!?ダージリン王太子だったのか!?参加されていたのか!?」
「ダージリン王太子は物凄い剣の使い手よね?」
ダージリン王太子が負けた。あれ、じゃあ決勝戦は‥‥セイとアッサム様ね。
「‥‥‥試合の結果が変わろうとしている‥」
セイが試合に参加した事によって、何かが変わってしまったの?周りはアッサム様とセイとの決勝戦に興味を持っていた。
「エリザベス様、私もう少し近くでセイを応援にーーヒッ!!」
隣にいたエリザベス様は、般若だわ!般若の顔をして、遠くにいるダージリン王太子を睨んでいる‥‥!!こわっ!無言のまま!これダージリン王太子どうするんだろう?エリザベス様の顔を見えないのかしら、ダージリン王太子ら会場からこちらへ手を振っている。
私はそろりと、試合会場近くまで向かって歩いていく。
決勝戦はアッサムを応援する声が大きく、会場は「生意気なそいつを潰せー!」という声ばかりだった。審判が現れる。
「決勝戦!アッサム!セイロン!‥‥試合はじめ!!」
「僕が勝ったらリゼに近寄るな‥‥虫め」
「‥‥‥。」
カキン!とアッサムとセイロンの剣と剣の刃がぶつかり合う音が響く。近くにいたダージリン王太子は、二人の闘いを見ていた。ダージリン王太子の護衛騎士の一人が声をかける。
「ダージリン王太子様、やはりアッサム様がお勝ちになると?」
「アッサムねぇ~アイツは別に元々強くない。ただ習っていた事を忠実にしているだけま。お前はさっきの俺の試合見てわからなかったのか?俺と互角以上だったんだぞ。セイロンは‥‥つまり‥」
「つまり?」
「1番強いのは、セイロンだ」
私がセイの近くへたどり着いた瞬間ーー
あっという間にセイはアッサム様に勝った。
ダージリン王太子とは、長く闘っていたのに決勝戦は‥‥あっというまに決着がついた。
アッサム様は信じられないと、プルプルと震えていた。アッサム様が負けてしまい、会場は静かな雰囲気となる。
本当にセイが勝っちゃった?正直、自分は性格が悪いかも‥‥悔しそうにしているアッサム様を見て、なんだかスッキリしちゃってる。
まだセイの悪口を聞こえるように、話す者達もいた。私は思いっきり、セイの名前を呼んだ。
「セイ!!勝ったのね!おめでとう!」
そう私が声をかけると、セイは私の方へと振り向き、今までぶっきらぼうな顔だったのが‥‥私も周りも驚くほど可愛い笑顔を向けてきた。
「リゼお嬢様‥‥!勝ちましたよ」
「う、うん」
セイの嬉しそうな笑顔は‥‥不意打ち食らった気がする。
一瞬だけ、ドキッとしてしまった。いや、これはアレだわ。主人みたいな立場だから、こう嬉しいわけよ。そんな感じ!
さて、貰うチョコレートケーキはセイと一緒に食べようかな?
会場が色々と大混乱の中、さらに混乱していた者が一人いた。
ピンク色の髪を靡かせながら、遠いところで信じられないという顔をしていた。
「‥‥は?なんでなんでなんで?!なんでよ!?【前】は王太子が優勝してたんじゃなかったの!?やっぱり‥‥あのセイロンって奴は‥悪魔だわ‥‥またみんな殺すのよ‥これも全部あの時のリゼお姉様が悪いのに」
そうキャンディはプルプルと涙目になり震えながら、呟いていた。




