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アッサムの焦り

「何故婚約を承諾してくれないのですか!?公爵も僕とリゼの婚約を前向きに考えていたじゃないですか!」


オレンジペコー家の応接間でリゼの父と、アッサムは話しをしていた。


「本来ならそのつもりだが、今のリゼの気持ちを尊重してあげたいんだ。すまないな」


「‥‥リゼはまだ僕を好いてる筈です。ただ色々と気持ちのすれ違いがあったから‥‥。僕は何度でも彼女に自分の想いが伝わるようにこれからも接していきます!」


そう言い残しアッサムは応接間から出ると、キャンディとちょうど会った。


「アッサム様‥‥リゼお姉様はアッサム様を愛してます!」


「キャンディ。ありがとう‥‥リゼに避けられてばかりで最初は戸惑っていたけど‥‥やっぱり色々と話し合わなきゃならないよね」


キャンディはコクンと頷き、立ち去るアッサムの背中を見つめるキャンディ。


「‥‥‥ふぅん‥‥つまんない。アッサム様ってあんな感じだったけ?」


そう言い残し、キャンディは買い物へと向かう。





「セイ、今日はありがとう」


王宮からの馬車の帰り道、私はセイにお礼を言うとセイは何も言わずにニッコリと微笑む。

‥普段無愛想なくせに、不意打ちにその笑顔はやめてほしいわね。


「あ‥‥」


馬車の窓から見える湖のある公園をみかける。子供の頃から、いつも勉強やらレッスンで思いっきり遊びたかったんだよね。走り回るのは貴族の令嬢らしくないと怒られたっけ。


「寄りますか?」


「え?公園?」


そう私が聞き返すとコクンと頷くセイは、馬車を止めて、私は公園へ行く事になったけど‥。


私は数歩後ろに離れて歩くセイに話しかける。


「ねえ、王宮のときも思ってたけど、少し後ろに離れてるのはなぜ?王宮ならまあ、ともかく今なんだか、私一人で来たみたいじゃない?一緒に歩きましょうよ」


「‥‥私はただの付き添いなので」


「強情なやつね」


「リゼお嬢様ほどではありません」


あーいえば、こーいうと、本当に生意気な男だけど、悪い人ではないのはわかる。

それよりもこうしてゆっくり公園へ足を運ぶのなんて久しぶりだわ。まあ、やっぱりベットの上で食っちゃ寝が1番だけどもね。楽しそうに、小さな子供達を遊ぶ姿を見てなんだか微笑ましい。


「ふふ、ねえ、セイ。見て、あの男の子葉っぱを拾って絵を描いてるわ。可愛いわね」


「‥えぇ、本当に可愛いらしいかと」


私は公園にある、ベンチの近くにある芝生に座り込む。あー、芝生の上気持ちいい!このまま、ダラダラと寝て好きな本でも読んでいたい!


「‥何故ベンチに座らず、芝生なんです。お召し物が汚れますよ」


「いーのよ。誰も見ちゃいないわ。まあ、見られても別になんとも思わないけどね」


そうセイと話しをしていた時だ。


「リゼ!?」


‥‥この声は。私は声がするほうへと振り向くとそこにはアッサム様が慌てた様子でこちらへやってきた。


「‥‥アッサム様」


「こんな汚い所でそのまま座わるなんて駄目じゃないか!せめてハンカチを敷いて座るべきなのに‥‥なんだ。また君か」


アッサム様は近くにいたセイを睨みつけていた。いや、何故睨みつけるのよ?


「私が好きで座っていたのです。セイのせいではありまん」


そう話す私にアッサム様は悲しい顔をする。

‥‥なんで貴方が傷ついた顔をしてくるのよ‥私が悪者みたいじゃない。


「リゼ、今度の剣術大会には僕も出るんだ。その‥応援してくれるかい?君が応援してくれると、勝てる気がするんだ」


「‥‥ごめんなさい」


「‥‥リゼ、僕には君が必要だよ」


「私は必要じゃないですよ?」


「‥‥リゼ!?君は本当にどうしたんだい!?」


そうアッサム様は急に私の手首を強く握りしめる。


「ちょっ‥!痛っ‥‥」


セイはアッサム様の手を素早く振り払い、私を抱き寄せる。


「‥なっ!?リゼは僕と話してるんだ!でしゃばらないでくれるか!」


そうアッサム様がセイに怒鳴りつけるけど、セイは冷静な表情で声をだすものの、あれ?セイもなんか怒ってる?


「‥‥私からみたら貴方様が一方的に見えましたが‥」


アッサム様とセイは睨み合い、今にでも喧嘩をしそうな雰囲気だった。セイは淡々とした口調でアッサム様に話しかける。


「リゼお嬢様が大事だとおっしゃるなら、傷つけるのはどうかと」


セイがチラッと私の手首を心配してくれた。確かに私の手首は強く握りしめられたせいか、少し赤くなっていた。そんな私の手首の様子を見たアッサム様は焦った様子で申し訳なさそうな顔をする。


「あ‥‥リゼ、すまない。手首を強く‥‥色々と焦ってしまったようだ。今日はもうこの辺にするよ‥‥お詫びはまた今度に」


「いえ、結構ですよ」


そう答えたのにも関わらず、アッサム様はその場から立ち去る。


「あの水で少し冷やしましょうか?」


「‥え?あ‥」


あれ、まだ私セイに抱き寄せられてる状態じゃない!?


「だ、大丈夫よ!これぐらい!」


そう私はすかさずセイの元から離れる。


「‥‥まったく、気分よく帰っていたとこだったのに‥」


ハアとため息を出した私の前に、小さな花をセイは私にくれた。


「‥‥セイ、何これ」


「花です。見てわからないのですか?」


「いや、花ぐらいわかるわよ!?セイ、貴方ね、いつも無駄に生意気なのよ!」


そう私がセイに突っかかっていくと、セイはクスッと笑った。


「この花は小さいですが香りがよく気持ちも落ちつくはずです。暗い顔は似合いませんよ」


私を励ますため、小さな花を渡すなんて‥‥

でも少し嬉しいかな?


「あ、ついでにあそこにある屋台行って食べてもいいかしら?」


「何を言ってるんですか。早く帰りますよ」


「甘いもの食べれば、私は元気に明るいわよ!?」


「‥‥そうですか」


そうリゼとセイロンが話している様子を、先程立ち去ったアッサムは自分が乗っている馬車から、二人の様子を見ていた。


「なんで‥‥あの男の前で楽しそうに‥!」


そう悔しそうな顔をしていたアッサムだった。


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