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お嫁にいけるセイロン

白を基調とした城が見えた。年に何回かあるパーティーぐらいでしか城へ来た事があるけれど慣れないわね。婚約者であるエリザベス様は肝がすわってるんだなあと感心しちゃう。


馬車が止まり、セイが先に降りて手を差し伸べエスコートをしてくれた。


セイは固まっている私に首を傾げる。


「リゼお嬢様?どうされましたか」


「‥‥いや、そうよね。普通は、エスコートをされるものよねと思っていただけよ」


いつもアッサム様と出かけるたびに、キャンディも付いてきて、アッサム様は甘えるキャンディを優先してエスコートをしていた。まあ、私も私でそれが良かれと黙っていたのが悪いんだろうけど‥‥。


「‥‥リゼお嬢様。お手を」


「ん?そうね、ありがとう」


なんとなく、ぎゅっと強く手を握られたけれど気のせいかしら?


私達は王宮の者に案内をされて、王太子が住んでいる宮殿の中庭の方へと足を運ぶと、暗い空気を漂わせているエリザベス様が椅子に座っていた。


「エリザベス様!」


そう私が声をかけると、彼女はパァと明るい表情となっていた。やっぱり彼女は可愛いらしい方だなあと思う。


「エリザベス様、隣りにいるのは我が屋敷の者のセイロンです。色々と器用な男なので、頼ってくださいませ」


「わざわざ、ありがとうございます。セイロン様」


「私はただの平民上がりのものです。普通に呼び捨てで大丈夫です」


「平民であれ貴族であれ、今日は手伝いに来てくれたんですもの。さあ、あちらへ」


そうエリザベス様がセイに話しをかけるとセイは簡単に返事をするだけだった。もう少し愛想良くできないのかしら?仮にも王太子の婚約者である彼女にセイの余裕な感じがまた腹が立つわね。


そう思っていた時、セイはバッと素早く私とエリザベスの前に出て何者かがいきなり攻撃してきてセイは見事にかわした。


「あはは!わお!お前、すぐに俺の気配察したんだな?」


セイに攻撃してきたのは‥楽しそうに現れたたのは、肌は少し色黒で赤い髪の金色の目の青年‥‥この国のダージリン王太子だった。


「「「太陽の主君に挨拶を」」」


そう私達は挨拶をすると、ダージリンはセイの方を見て


「お前名は?」


「セイロンです」


「へえー!セイロン強いだろう?今の完全に気配を消したのに、なあもう一回勝負ってていでででで!!エリザベス!?頬をつねるなよ!?」


「普通に声をかければよいでしょう!?なんでもかんでもすぐに闘いをしようとして!」


もの凄い剣幕の顔のエリザベス様はダージリン王太子に何やら色々と説教をしている様子が、なんだか小さい子を叱っているお母さんに見えた。


「ダージリン王太子、今日はエリザベス様とのお茶会なのにわざわざ私達も一緒に参加をお許しいただきありがとうございました」



「あ、そうか!エリザベスは料理を作ってくれるんだよな!忘れてたわ」


そうヘラヘラと笑っているダージリン王太子‥‥。隣りにいたセイは私に話しかける。


「‥‥あの方がこの国の次期国王になる方ですよね」


「セイ。今は何も思わない事よ。エリザベス様がさらにお仕置きされてるみたいだから」


エリザベス様が怒っているのをからかうように、ダージリン王太子は嬉しそうだけどね。


「やっぱり女性は料理を作るのが当たり前だと聞いたんだ!俺に何を作ってくれるんだ?」


ニコニコと悪気のない笑顔と一言に私はカチンときた。私は無言のまま、既に用意されてるエプロンをダージリン王太子に笑顔のまま渡すと、ダージリン王太子は口をポカンと開けていた。


「へ?」


私はそのま微笑みながらダージリン王太子に説明をした。


「ダージリン王太子。女性が料理を作るのが当たり前‥‥なるほど、ならば男性も料理を作るのが当たり前ではありませんか?」


「え、いや、ただ俺は手作りの料理をーー」


「高貴なダージリン王太子様。まず自分で作ってみてくださいませ」


「だから俺はーー」


「まあ!楽しみ!」


「‥‥‥あ、はい」


当初の予定はセイがエリザベス様を手作う予定だったのが、セイとダージリン王太子が料理を作り、私達に振舞う事になった。


エリザベス様はクスクス笑いながら話す。


「ふふ、やはりリゼ様が心強いです。あのお馬鹿さんを言いきかせて。‥‥ふふっ、ちょ、エプロンなんて似合わないわね。ダージリンは」


馬鹿とかなんやかんや言っているけれど‥この表情は、好きな人に向ける顔だわ。


「エリザベス様はダージリン王太子が好きなんですねっ」


そう私が話すとエリザベス様は顔を真っ赤にしていた。私とエリザベス様は椅子に座り、大の男二人のエプロン姿に、城のメイド達は珍しいのかチラチラと見ていた。護衛の人もエプロン姿の王太子に戸惑っていた。


「ダージリン王太子、ジャガイモの皮は剥きましたか?」


「いて!剣とか違くて、包丁を持つのは難しいんだな!」


「‥‥はあ。手を見せてください。消毒しましょう」


「あはは!悪いな!」


なんというか‥‥‥‥二人は見た目悪くない。むしろ良すぎる方だから、絵になるわね。

そっちけいの腐女子が見たら発狂しそう。



遠くでリゼとエリザベスが談笑しているのを見ながらダージリンはセイに話しかける。


「お前のご主人様は少しおっかないなー?エリザベスと同じくらいだ」


「‥‥いいえ、私のお嬢様はとても可愛いらしい方です」


「俺のエリザベスの方が可愛いけどな!」


「‥は?」


「ん?」



あれから少し時間がたった。二人が作って持ってきたのはジャガイモのスープだった。


ダージリン王太子のエプロンは汚れ、ボロボロだった。


「エリザベス、形はバラバラで見た目は不恰好なスープだけど、ごめん!料理って難しいんだな?!エリザベスが料理したら、もっと怪我するところだった!」


「‥‥いえ、私も今度頑張って作ってみます」


プイッと目を逸らしながらそうダージリン王太子に話すエリザベス様に、ダージリン王太子はニッコリと満面の笑みだった。


私とエリザベス様の前には、ジャガイモのスープだけではなく、パンケーキをセイは無言で出して来た。


え!美味しそう!ふわふわのパンケーキが三枚重なっており、いちごが沢山乗っていて美味しそうだったわ。


そう!これ!何もせず、動かず!美味しい物を食べる!こういうのが最高なのよね!セイよ、わかってるじゃない!


「‥‥あの愚‥‥いえダージリン王太子に料理を教えてる合間に、甘いものがお好きなお二人にパンケーキを作りました。蜂蜜をかけてお召し上がりください」


「え、セイロン!ずるっ!俺はこんなショボく仕上がって、お前はこんなの作って!やっぱり今から剣で勝負しない?‥あ、エリザベスすいません」


ニッコリ微笑むセイに私も釣られて笑った。連れてきて良かったとそう思った。



「あら、リゼ様もあんな笑顔を向けられてーー」


「うん、そうね!セイは、いつでもお嫁さんにいけるわねっ」


そう褒めると何故かセイだけではなく、ダージリン王太子とエリザベス様も呆れていた顔をする。


「え、と。リゼ様。他の事には察しが良いのに、ご自分の事には疎いのですね‥」


「え?」


「リゼ嬢、俺も空気読めない奴と言われるけど、わかってないよなあー」


いや、なんかダージリン王太子に言われたくないような。


私はセイの方を見ると、見事な無表情のセイになっていた。


無表情過ぎるでしょ!?何か言ってよ!?


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