本編前、確定
本日二度目の更新です。
楽しんでいただければ幸いです。
そうは言ってもそれは部活動に所属する生徒だけで、その部活動は強制ではない。中等科までは八割くらいの生徒がなにかしらの部活に所属するけれど、高等科からはだいたい半数より少し多いくらいしか部活に入らないんですって。内部進学をするにしても、外部進学をするにしても、どうしても部活より学業への比率が高くなるとか……それはどこも一緒かもしれないわね。だから私の入部に関して、手芸部顧問がことのほか喜んでいたのかもしれない。
「あれ? そういえばゆかりんは去年の文化祭に来ていないの?」
「美佳……高等科も招待制でしょう? 私たちは進学生だからフリーパスだったけど、外部の方は来るのが大変なのよ?」
まぁそのくらいの時期は鷺原学園に進学するとも決めてなかったんだけどね。
聞けば中等科にも文化祭はあるけれど、そちらは完全に生徒と保護者しか参加出来ないらしい。高等科は少し緩くなって生徒に招待券が配られる。それを家族や友達に渡すことで外部からの参加が出来るようになるんだとか。ついでに転売なんてしたら停学間違いなしのプレミアムチケットと言われてしまい、私のくちからは「はぁ」と気の抜けた音が漏れた。
「まぁ私たちの代はそこまでおおごとにはならないわね。何年か後には卒業生枠も絞られるんじゃない?」
「そうなの?」
「縁さんは知らないかもしれないけど、鷹岡財閥のご令息が初等科にいらっしゃるのよ。その方が高等科となったらたぶん……大変なことになるわねぇ」
苦笑義気な萱島さんが教えてくれた内容に、平静を保つのが大変。しれっと下の名前を聞けば、あの攻略対象の鷹岡玲司!! ご本人!! 内心で拍手喝采よ。まぁどちらかと言えば、本編に関係ないことが確定したことへの喜びだけれど。
「早く婚約者を決めちゃえば良いのよ。そうしたら少しは落ち着くでしょうに」
初等科で婚約者を決めてしまうというのもなかなかにすごい話だと思うけど、二人はいたって平常運転だった。住む世界が違うわぁ。