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入学式の朝②

本日二度目の更新です。

楽しんでいただければ幸いです。



「あら、縁ちゃんはまだパジャマ? そろそろ準備しないと入学式に間に合わなくなっちゃうわよ」

「パパは仕事で行けないから、朝のうちに制服を着た姿だけでも見せてほしいな。縁」


 相変わらず子供四人の父母とは思えない雰囲気の二人が今世の両親。一言で言えば、若い。二言目を付け足すとすると、麗しい。

 お父さんは自分で立ち上げた建築事務所の社長さん。お母さんは専業主婦……とはいえ、腕に覚えのある和裁士でもある。〝私〟は洋裁師だから方向が違うけど、でも通じ合うものがあるのよね。

 二人、ついでに三人の姉たちの期待に満ちた顔にそれ以上拒否は出来なくて――というか入学式には着なきゃならないんだけど――朝食を食べ終わったタイミングで二階の自室へと戻る。なんでこんなに気が重いのかと言えば……。


「散々作ったわよ! これ!!」


 ハンガーに掛かったままの新品の制服の前で、私はうなだれた。

 私立鷺原学園。初等科から大学までを擁するマンモス学校というのが、一般的な情報。

 私が知っているのは『このトキメキの向こう側で(コノトキ)』という乙女ゲームの聖地というか、現場というか……そうなのよ。普通に生まれ変わったと思っていたら、まさかの乙女ゲーム世界へ転生していたのよ。それに高校受験で気付いた時の私の衝撃。ある程度大きくなってからで良かったわ。

 よくよく調べてみたらゲームで見た名字が財閥として存在していたしね。本人情報までは探しきれなかったけど。

 それはそれとして、私は洋裁師。そしてオタク。コノトキだってやりこんだわ。つまり「好きなゲームの衣装を作っちゃお!」な歴史を持っているってわけ!! そりゃ私が作った衣装より布も縫製も上等で、私立って凄いと素直に感嘆はする。するけど、それを着るって……胸が痛いのよ。もう前世と合わせたらアラフォーの手前くらいのはずだから、普通に恥ずかしい。制服が出来上がったあと、家族から「見せて」と言われ続けたのを逃げ通すくらいには恥ずかしい。

 でも壁掛けの時計が現す差し迫った時間に大きくため息を吐いてから、観念して制服に袖を通す。


「あ、そんなに違和感はないかも」


 着てみればそんなに視界には映り込まない。色合いもベージュや焦げ茶だし、袖口や裾が見えても普通に見える。姿見を確認すれば全身が見えるけど、ちょっと個性的だねってくらい。これは顔立ちも影響していそう。自画自賛するけどマジで美少女だからね!

 リビングから聞こえる「ゆかりちゃーん?」という呼び声に「はーい」と返事をして、念の為もう一度ネクタイをチェックしてから階段を駆け下りた。


制服はちょっと可愛い系です。

目次ページからも表紙イラストが見えるように設定しますね。

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