生徒の自主性とは?
お久しぶりの更新で申し訳ありません。
ヒーローがまったく出てこなくて作者もちょっと慌てています!
とはいえ、本日も楽しんでいただければ幸いです。
詳しく話を聞いてみると中等科ではディベートや学習研究の発表が主だったようで、内部生の中には「自分たちは去年の先輩たちを超えるイベントを打ち出すぞ!!」ってはっちゃけちゃう人もいるんですって。これは卒業生の兄姉を持つクラスメイト談。でもそれに「うんうん」と頷いている担任が教室の隅にいるから、あながち間違いではないみたい。あ、先生は生徒の自主性云々のため、私たちが話し合っているのをただ聞いていただけよ。
「あまりにも横道に逸れるようなら軌道修正するくらいかな」
「なるほど」
そして、その軌道修正が毎年大変なんだそうな……特に一年生は夢に希望にと途方もない案を出すのがいつものことで、このクラスはこれでもマシだと言われてしまったわ。あの案がマシって、他のクラスはどんなものを出すつもりなのかしら。
本人たちの希望と、現実と、参加する側が楽しめるもので、あまり単価が高くないもの――それをすり合わせるのにヘタをすると夏休み明けの準備ギリギリになることもあるとか。それは大変。
「確かにフェルトだと単価が抑えられるし、ほつれ止めもいらないからお手軽だろうなぁ。うちとしてはもうちょっと凝ってほしいけど……あ、レースやビーズも使っちゃう?」
「羽多野くん、学生のイベントでそこまで単価を上げるのはどうかと思うわ。いくら良いものでも一つ三百円から五百円くらいでしか出せないんだし」
それに関してはデッドストック――一部の日焼けなんかがあって出せないレースや、数の足りないビーズなど――を提供してくれるらしい。良いのかしら。でも御曹司が良いって言ってるんだから良いのよね?
「じゃあそれで決まりかな? 異議のある人は挙手――……うん、いないって」
「えー……」
「じゃあこのままシフト……あ、その前に体育祭の予定も組んでしまいましょうか。夏休み明けにあることには変わりがないし。……って、縁さん?」
うぅ。そうなのよ。この学校って祝日が学校イベントと連動しているの。だからスポーツの日がある十月に体育祭、文化の日がある十一月に文化祭って感じで……つまり一学期のふんわり感に比べて、二学期の夏休み明けって怒濤なのよね。
※体育の日と書いていましたが、2020年にスポーツの日と名称が変わっていました。
現在軸に合わせるため訂正しております。(まだ通じるとは思いましたが…)