入学式の朝①
本編スタートです。
学園モノなのでまずは大事な入学式!!(の朝!!)(……あれ?)
なぁんてね。
男としては生きられなくても、男の子としてのモノは付いているのよ。まぁそれも慣れたけど。つくづく人間って順応性の生き物だと思うわ。
「縁ちゃん、おはよ」
「おはよう。響ちゃん」
私との年齢差は八歳、大瀧家長女の響ちゃん。長く伸ばした黒髪が素敵な彼女は、お父さんと同じ職業に就きたいと日々邁進している。私、今世でも勉強不足なんだけど一級建築士ってサクッとなれるものなのかしら。
「もー、なんで私は天パなの!? 縁ちゃんのサラサラヘアーが羨ましすぎる!!」
次女の茜ちゃんは五歳上。ゆるふわな天パを明るく染めて、顎のラインで揃えたボブヘア。私はそのふわふわが羨ましいんだけど。茜ちゃんが朝は少し爆発気味な髪の毛をまとめながらそう叫ぶのはいつものこと。
「ねむい……」
「重ちゃん、起きて」
三女の重ちゃんは私と二歳差で、将来の夢はまだ未定らしい。茜ちゃんと同じ天然パーマを腰のあたりまで伸ばしている。地毛が少し明るめだから、顔立ちと相まってお人形さんみたい。今はアルバイトでモデルのお仕事をしているくらい可愛いのよ。ちょっとだけマイペースだけど。
上三人とも、それぞれ美人系・綺麗系・可愛い系なのよね。両親が美男美女だから然もありなんって話かもしれないけど……これで私だけ顔の系統が違っていたら「橋の下で拾われた~」なんて冗談も言えたのかな。
うん。前世の顔を覚えていないから比較は出来ないけど、今世の私はめっちゃ美少女! いや、美少年? こういう時に混乱するわね。
私の、重ちゃんより少し明るめのストレートヘアはようやく長めのショートヘアくらいに伸びた。中学校の校則でボブヘアやロングヘアが出来なかったのよ、男の子は! まぁ坊主頭の強要じゃなかったから良いわ。この顔に坊主頭は似合わないもの。小学生までは肩くらいまで伸ばせていたのに、進学と同時に強制ショートヘア……まぁ卒業式あたりから伸ばし始めたけど。進学先は髪の長さに規定はないって話だから好きにするの。
もうちょっと朝のシーンが続きます。