誕生日プレゼント
本日二度目の更新です。
これで五月分が終わり……かな?
楽しんでいただければ幸いです~
「妹。ここの初等科にいる……つってもほとんど休学してんだけどな」
「あらまぁ」
そういえばそんな設定があったわね。私が知っている情報だと、二人は仲違いをしていたんだけど……いまはまだその段階じゃないんだ。
「定期的に髪は切ってるんだが、前髪が邪魔らしい」
「視界に入るから少し伸びただけでもうっとうしいわよね。私も気になるときがあるわ」
前髪って切りすぎたら悲惨なのよ。私の場合は茜ちゃんがヘアメイクアップアーティスト――美容師資格持ち――だから、最近は自分で切っていないんだけど。ただ後ろの髪が中途半端な長さになってきて、そっちが早く伸びて欲しいわ。今の長さじゃ結わえないから面倒くさい。
「大瀧は髪切らねぇの? 邪魔じゃん」
「結べるくらいには伸ばしたいのよねぇ……男なのに、って言う?」
「別に? ボサボサなら止めとけって言うけど、大瀧の髪は綺麗だから問題ねぇだろ」
そりゃあキューティクルには気を付けていますから、と続けようと思ったのにおかしいわ。なんだか顔が赤くなっている気がする。怖い、これが攻略対象の男のポテンシャルなのね。
「ん?」
「いいえ、なんでも! たぶんすぐに出来上がるけど、いつくらいまでにって希望はある? 最短だと明日には出来るわ」
「んな早くなくて良い。来月の二十三日があいつの誕生日なんだ。だからそれより前ならいつでも」
まだ一ヶ月近くあるわね。とは言っても、ギリギリに渡すのは私のポリシーに反するから半月で作っちゃおうっと。
「何個か作るから一番を選んでね」
「おま……どんだけ作るつもりだよ。妹だってびっくりするわ」
そう言いながら笑う秋月くんは、少しだけ年相応の顔を見せてくれた。なんだ……妹さんのこと、ちゃんと大事にしてるんじゃない。でもだったらなんで、本編だと仲違いしてたのかしら? なんて、余計なお世話ね。
「大瀧の誕生日は?」
「? 私は十一月十三日よ」
「ふぅん? 俺は十二月二十四日だから、近いな」
存じておりますとも。言わないけど。