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祭り旅  作者: 献残屋藤吉郎
1/1

人情旅調査シリーズ

〇祭り好きな「いなせな男の一人旅」


祭り好きな全国一人旅。。。

祭次郎の喧嘩旅、、、男っ気のあるいい男

祭次郎は祭りが好きで、日本国中の祭りに見に行くのではなく、地域現地ですべての祭りに参加して、踊り明かすのであった。

祭次郎の最初の祭りは、、、四国徳島の「阿波踊り」であった。早稲田大学1年の夏だ、、、同級生に徳島出身の友達がいて3泊4日で泊りがけの祭りに参加した。

最初は何も知らないので、周りを見て、見よう見まねで踊った。阿波踊りは「踊らにソンソン、、同じ阿呆なら、踊らに

ソンソン、踊る阿呆に見る阿呆」と、、、

掛け声を賭けながら踊る、、、一度やってみたらやめられなかった。

それが祭り好きになったきっかけであった。

祭次郎は大学を卒業してから、大毎日報株式会社へ入社して、40歳の時に退社した。大毎日報時代は社会部に属して、主に事件記者として鳴らしていた。

自由の身になってからは全国の祭り取材を始め、主に祭りの写真を撮って、写真集を作っていた。いつかは好きな祭りを見て、参加して、写真を撮り、取材して、写真集を作ることを夢見ていた。

もともと事件記者をしていた経験で、その地域の特徴を取材しては、その関係する会社などに、写真集、取材雑誌を売り込んでいた。

その祭り取材も5年間続けたら、定期的な写真取材雑誌がある程度、定着していった。

「祭り」という雑誌で、会社や行政広報課などで宣伝を兼ねて使われるようになった。

行政広報課ではその地方の特産物と祭りを組み合わせて、宣伝雑誌を。。。会社などでは会社商品を売り出すために祭りとその地方の名物を乗せた広告雑誌を。。。

そんな仕事を依頼されて、信用が付いたころには、元新聞記者であり、取材が専門職であったことから、その地域の会社や行政関係などの信用調査なども依頼されるようになった。

特に地方選挙の時の候補者の信用調査なども頼まれた。

祭次郎の調査は高く評価されて、依頼が増えていった。

会社を倒産するまで食いつぶす、道楽坊主の事件控え


1.広告依頼と踏査祭り

祭次郎の取材報告書は評判が良くて、あちこっちの地方政治家や会社から依頼が増えてきた。

今回も青森県弘前市の市会議員の松前耕三という、現在弘前市の市議会議長をしている、地方の有力政治家から依頼があった。

弘前市は桜の名所であり、青森「ねぶた祭」の有名なところであった。

祭次郎はさっそく弘前に出かけた。

選挙前で、その応援を頼まれたのであった。そして、松前耕三市会議長の息子が新たに選挙に立つので、その応援及び調査を頼まれたのであった。

息子の松前真一が市会議員に出るのでということで、その息子を紹介された。

親の松前耕三議長から、選挙戦に出て、いけるかどうかを見てもらいたいということであった。

祭次郎の調査は評価が高く、信用されていたのであった。

元新聞記者であったことから、その調査はきめ細かく、正確さを示していた。

祭次郎は松前耕三が用意してくれたホテルに向かった。

(祭j次郎の調査}

祭次郎は松前真一の素行を含めた調査を始めた。

弘前市市会議員に出馬したらどうかという調査だった。

松前家は歴史的には松前藩の流れをくむ名門であった。

そんな名門意識を待った家族であり、父の松前耕三も出馬すれば当選するという自負を持っていた。

しかしは調査をすればするほどは、松前真一の人格を疑った。

大学は慶応大学経済学部を卒業をしているが疑わしいものであった。学生時代はほとんど学校へは行かずに放蕩をしていたようだ。卒業もどちらかというと金で多様なものだ。

授業も代役を使い、アルバイト料を払い、ふざけた学生時代を送っていた、

但し、どこで学んだか、話がうまく、演説などは特異だったようだ。

祭次郎の調査では表面的には世渡りが上手く、中身がなく、どちらかというと薄っぺらな人間のように見えた。

その男が大学を卒業して、故郷の弘前に帰ってくるのであった。そして、父親としては自分の秘書をさせながら、政治学を教え込もうとしていた。

その調査の結果をそんまま報告も出来ずに、祭次郎は困っていた。

報告がなかなか上がってこないので、松前耕三議長から催促を受けた。

祭次郎が父親に呼ばれて,議長宅を訪れた。

松前耕三が言うには、、、、「祭次郎さん、本当は困っているんでしょう、、、と」

「息子の真一は放蕩が酷くて、報告を書けないのじゃないかな、、アハハ、、やっぱりそうか」

松前耕三は自分の息子のことをよくしっていた。

「そうか、、、報告できないほどダメ息子か、、、」

それでもいいから、ありのままを報告して欲しいと頼まれた。

親というものは凄いな、、、自分の子供を知っているものだと。。。

祭次郎に対して、、、「本当のことを報告してくれてありがとう」、、、と言ってくれた。

子の松前耕三という議長は立派だなと思い、、、信用も出来た。その後、祭次郎は人生を長く付き合う一人となった。


2.祭り調査旅

祭次郎は青森に来たついでに、青森市本場の「ねぶた祭」を見ていこうと青森市内のホテルに宿をとった。

夜の最高潮の時に見に行ったが、熱気が溢れ、凄かった。

東北には4大祭りがある、、、、青森県のねぶた祭り、秋田県の竿燈祭り、仙台の七夕祭り、山形の花笠まつり。。。

そして、東北三大夏祭りと言われているのが。。。。

「青森ねぶた祭」「秋田竿燈祭り」「山形花笠まつり」である。兎に角、夏のお祭りはにぎやかであり、一見する必要はあるような。。。

祭次郎もねぶた祭りのにぎやかさ、一緒に掛け声をかけて踊るの様は見事で、豪華絢爛であった。

祭次郎がねぶた祭りを見物しながら、ねぶた祭りの写真を撮っていたら、自分の目の前で一人の老人が倒れた。

杖をついていたので足が悪いんだなと思いながら、気を付けないと危ないなと思っている矢先だった。

ねぶた祭りに気を取られて、誰も老人一人が転んだくらいでは助けようともしなかった。

人の熱気とは怖いもの、、一つのものに気を取られていると、自分の周りで起きたことなど、、、人とは気が付かないものだ、、、

祭次郎は一人だったので、その老人に声をかけた。

「大丈夫ですか、、、起きられますか、、」と言いながら、手を差し伸べて、その倒れた老人を抱え上げてた。

老人は、、、、「ありがとう、、、ありがとう」

と言いながら立ち上がって、祭次郎の手を引いた。

そして、祭次郎にお礼がしたいので、、、と言って。

祭次郎の手を離さなかった。

祭りを見ながら、その老人はよほどうれしかったのか、笑みを浮かべて、祭次郎を、、、とあるお店の前まで連れて行った。

そして、その店の中に入り、一人の娘に声をかけた。

「美美子、、、この人に助けてもらったんだよ、、、お礼をいっておくれ」と、、転んで助けてもらったことを説明した。

「この人に起こしてもらえなかったら、私は潰されていたよ、、、だから、良く礼を言っておくれ」と、、、

言われたその女の人は、深々と頭下げて、祭次郎にお礼をいった。

東北人特有の色白名な綺麗な人だった、

「もし、良かったらお茶でも飲みながら、うちの佐吉じいち

ゃんとお話でもしていただけますか」

と、言われて、祭次郎も話を聞くことになった。

(佐吉じいちゃんの昔話)

老人の娘さん、おかみでもある美美子にお礼を言われ、その老人と一緒に部屋に案内された。その部屋は老人専用の和室の客間であった。部屋に入っ.て。。。その老人から挨拶された。。。

「ここの主の佐吉と言います、実際のところは娘が仕切っていて、私は隠居と言ったところです。。。。

今日は本当にありがとうございました、、、

あんな人込みで倒れたら、間違いなくんで死んでしまいますよ、、、良くても大怪我です」

と。。丁寧に俺をいわれた。

祭次郎も恐縮しながら挨拶をした、

「祭次郎と言います、ただ、転んだ人を起こして助けただけですから、、、返って恐縮です」

「とんでもないですよ、、、大袈裟かもしれませんが、命の恩人ですよ。。。しかし、珍しい名前ですね」

挨拶をしていたら。先ほどの女将が入ってきて、お礼に料理をご馳走してくれるということ。

ここの「あおもり茶処」は料亭との事であり、その後に用意された料理を佐吉じいちゃんと美味しく頂いた。

食事をしながら佐吉じいちゃんの話を聞いた。

(佐吉じいちゃんの身の上話)

祭次郎はすっかり甘えてしまい、、、佐吉じいちゃんとの飲食が弾んだ、街はねぶた祭でにぎやかさが増して、東北の自酒が美味しく、祭次郎も心地よくなってきた。

話が弾み、佐吉じいちゃんの話だと、仕事も順調、娘美美子もよくできた子なので文句はないのだが、、、困ったことが一つだけある、、、

「祭さんは調査もするというので、話を聞いてください。。。そして、初めての人に斡かしいのですが、相談に乗って欲しいのです。」

と、、悩みを聞かされた。

この町の有料者である、金融会社社長の大川戸金平という人の紹介で、娘に縁談の話を持ち込まれていた。

縁談先は地元の有力会社「総合開発リゾート株式会社」の跡取り息子の浜田真一という青年だった。

いい話には違いないのだが、娘の美美子は嫌っていた。

佐吉じいちゃんは以前に大川戸金融からは借り入れをして世話になったことがあったので、断りづらかった。

謝金は今はない、、、しかし、困ったときに助けられたのだった。やはり、恩はある、義理もある。

しかし、娘は頑として嫌っていた。

「祭さん、、なんか方法はないもんですかね」と。。。。

「佐吉じいちゃんが困っているなら、、一肌脱ぎましょう」

と引き受けてくれた。

そこで、浜田真一の素行調査を始めることにした。

佐吉じいちゃんと楽しい食事をいただき、ねぶた祭を楽しみ、その晩はホテルで心地よく眠りについた。


3.祭次郎の身辺調査開始

祭次郎は佐吉じいちゃんと楽しんだ翌日から総合開発リゾートの跡取り息子、川田真一の身辺調査を始めた。

住居近辺の評判は悪くない、、普通一般の「いい人、、優しそうな人」であった。

会社勤務も悪くない、、、社長の跡取り息子ということもあって、社内では悪く言う社員はいなかった。取引先の顧客でも「まあまあ、、というところで、ずば抜けては良くないが無難にこなしている」

しかし、一端仕事を離れたところ、、、、夜遊びではいろいろと噂が飛び交っていた。

その一つに「女関係はだらしがなかった、、、金もあり、まあまあ、、の男前、、、よく言う銀流しのところがある。

酒癖もよくないような、、酔うと、人をさげすみ、馬鹿にするところがある。」

最も悪かったのは、、、父親の友人である大川戸金平の息子との付き合いであった。

大川戸金融のもう一つの顔である、、、組織暴力団いわゆの反社会勢力のやくざの大川戸興行の会長をしていた。そして、その会長の息子はバリバリのやくざであった。

その息子とのつき合いから「覚せい剤」を使用している疑いがあった。

以上の結果から、縁談を断ることは出来ると報告した。

しかし、佐吉じいちゃんは言った。

「誰も紹介者の大川戸会長がやくざであることは知っている、しかし、金融会社の社長でもあって、その地域の有力者であることも、、、ただ、それだけで、息子が覚せい剤をしているという噂高では断れないようだ。」

そういわれればそうだ。

逆に名誉棄損で訴えられることになるからな。。。。

佐吉じいちゃんも祭次郎も考えた。

その時、佐吉じいちゃんがぽろっと漏らした。

あの大川戸金平が言うことを聞く人、、、頭の上がらない人が一人だけいるんだが、、、私は付き合いがないからなーー

と、、。

ダメもとで、、、それはだれかと聞いた。

偶然か、、、奇跡か、、その人は弘前の「松前耕三」だった。

その話を聞いて、祭次郎は弘前へ飛んだ、、、そして、

面会を申し込んだら、快く時間を取ってくれた。

忙しい時間を割いて、、「祭さん、、、よく来てくれた、、

話を聞こうか」と、、

松前耕三議長は祭次郎の話を聞いてくれ、事情を知った彼は、、、、「わかった、、私と同じ、バカ息子を持った親に話してやろう、、、アハハ、そうか、あいつの息子も馬鹿息子か、、、子供には誰も苦労するな、、、アハハ、、」

と、大川戸金平に連絡を取ってくれた。」n。

祭次郎は松前耕三に礼を述べて、青森に向かった。

良かった、、、と、胸をなでおろした。

祭次郎が旅先で知り合った、最も男らしい、いい男だった。

「ありがとう、、、松前さん」と心から感謝した。

そして、青森に着いた祭次郎は、、佐吉じいちゃんに報告して、喜ばれた、、、そして、感謝してくれた。

祭次郎のいい旅、、、「青森、弘前」だった。」


3.秋田竿燈祭り旅

祭り次郎は秋田の竿燈祭りに来ていた。

JR秋田駅に着いた祭次郎は、丁度お昼だったのでお腹も空いていた。

駅中にしゃれた立ち食いソバがあったので、とりあえずそばを食べた。

お腹が空いてたこともあり、凄く美味しかった。

少し休憩しようと思い駅内ベンチに座って、ジュースを飲んでいた。

あったかいそばを食べた後の冷たいジュースはなんとも美味しく、心地よかった。

休んでいたら、隣に子供連れの色白な品のいい人が座った、

子供は自分のジュースを飲んでいるのを見て、、その女の人、、、母親だろう

に、。。。。

「ママ、、、喉が渇いたよ、、、ジュース飲みたいな、、」とせがんでいた。

祭次郎はまずいな、、、と、思いながら持ってたジュースを後ろに隠した。

すると、、母親らしい女は、、困った顔をして、子供に言った。

「もう少しだから、、、我慢してね。」と、、、

祭り次郎はわきにあったジュース販売機でジュースをもう一本買った。

そして、、、「暑いですね、、、もしよかったら、、どうぞ」と言って

その女の子にジュースを差し出した。

女の子は手を出して、ジュースを受け取り、、、「ありがとう」と、、、

母親が素直に娘と同じように「ありがとうございます、、、すいません、、、

気を使わせてしまいました、、本当にすいません」と、言いながら、、、

電車に乗っていった。

祭次郎は嬉しかった。。。ジュース一本の事で、、、親子ともども嬉しく思ってくれて、、、下手に親切心を起こして、嫌味をいわれたりするより、素直に人のやさしさとか、感謝されると気持ちがいい、、、

祭り次郎は二人の乗った電車をしばらく見送った。

(秋田の竿燈祭り。。。再会)

祭次郎は秋田の竿燈祭り見るために秋田市街地にカメラを持ってぶらり見物にでた。

どのくらい歩いたろうか、、、秋田竿灯のあとをついていった。あるお店の前で声をかけられた。

おじちゃん、、、おじちゃんと、、、」小さな声が足もとから聞こえた。

祭次郎が自分の脚元を見ると、小さな浴衣姿の女の子が、自分のズボンのすそを引いていた。

よく見たら、昨日、駅ホームでジュースをあげた子だった。

「やあ、、、こんばんわ、、、」と言ったら、

自分をお店の中に引っぱって行った。

そして、「おじちゃん、、、昨日はありがとう、、」

と言って、お母さんに声をかけた。

「どうもすいません、、気が付きませんでした。。」

母親が振り向いて挨拶をしてくれた。

話を聞くと、親がしているお店で、竿燈祭りの時には手伝いに来ていると。。。

そして、、「昨日はありがとうございました、、、お礼も言わずにきてしまい、、、すいませんでした」

そんな話をしていたら、小ぎれいな和服姿のおばあちゃんが出てきて、お店の中に入ってもらいなさいと、誘われた。

祭次郎も女の子に手を引かれ中に入った。

お店は三代続いた「お蕎麦屋」さんだった。

おしゃれな和風を装ったお店で、祭次郎も丁度、お腹が空いたところなので、冷たいざるそばを頼んだ。

声をかけてきた女の子、、、後で名前は分かったが、

その子の名前は「奈々」ちゃんだった。

祭次郎の座ったテーブルについて、、、「おじいちゃんのおそばはおいしいよ、、、」と、、、笑顔をいせてくれた。

おそばを持ってきてくれた母親が、、、「すいません、すいません娘の奈々が我儘行ってしまい」と言いながら、娘に負けずぐらいの笑顔を見せてくれた。

美味しいおそばを食べながら、、、なんとも言えない親子三代の笑顔を見たような。。。。

(秋田竿灯の旅で、、、親子三代の女の笑顔)

祭次郎は秋田竿燈祭りを偶然知り合った、待合駅での取り持つ「小さな縁」の子供とジュースから。。。楽しい竿燈祭りの夜を過ごすことが出来た。

小さな女の子の蕎麦屋は「秋田手打ちそば」と言った。そして、小さな女の子、、奈々の母親は千鶴子と名乗っていた。

千鶴子はその「秋田手打ちそば」の息子の嫁であったが、息子の交通事故で奈々と二人で身を寄せていた。

一人息子であったこともあり、蕎麦屋の老夫婦とは仲睦まじく、本当の娘のように暮しているような。。。

そんな家庭環境なのかもしれないが、奈々は妙に祭次郎に懐いてきていた。

その晩は奈々親子に甘えられ、老夫婦にも好かれて、祭次郎はちょっとばかり、馬鹿な夢を見た。

つかの間の心和やかな気持ちになっていた。

おそば時間は短く、、あっという間のひと時であった。

祭次郎は楽しい秋田の夜を過ごせたことに、お礼を言って、

お店の暖簾を潜った。

親子三代の写真をしっかり撮って、お祭りを撮ったので、後から写真を送る約束をして、ホテルの戻った。

秋田の竿燈祭りでの「お蕎麦屋景色」をしばし、思い出しながら湯船に浸かり、余韻を楽しんだ。


4.山形県の花笠まつりを訪ねて。

花笠まつりの山形には取材の関係で夜になってしまった。

予約していたホテルに直行した、午後7時を過ぎていたので、温泉に入り、食事を取った。山形牛のステーキが出てきた、凄く柔らかくて美味しかった。

祭次郎は一人食事だったが、、目の前のテーブルに老夫婦が和やかに話しながら、美味しそうに食事を楽しんでいた。

祭次郎は思った、、、楽しい食事とは目の前の老夫婦の食事だろうと。。。

いつか自分も家庭を持ち、子供たちが巣立った後は、二人そろって旅をしたいものだ、、出来れば目の前の老夫婦のように。。。楽しみだな、年を取るのも。。

たわいもない思いを描いていた。

素敵な風景だ、、、そんな色合いの夫婦になりたいものだ。

楽しいひと時の夕食を済ませて、部屋に戻り、取材した資料を整理した、明日はにぎやかな「花笠まつり」をゆっくり見たいと思っている。

しかし、一人旅の気楽さかな。。。


花笠まつり見物、、、

祭次郎は昨夜の食事の時に出会った、老夫婦の姿がまだ印象深く残っていた。

朝食を済ませて、花笠まつりの見物に出かけようとホテルのロビーで準備をして,いっぱいのコーヒーを飲んでいた。

気が付いたら昨夜の老夫婦が隣の席でお茶を飲んでいた。

「ばあさんや、、二人での旅は久しぶりだな、、、子供たちも独立して、、、何の気が値も要らなくなった。

これからは生きて、歩ける限り旅をしようか。。」

と、話しかけていた。

「あんたは随分と好き勝手なことをして来たからね、、、

そうしてもらいますかね。。。もう少し早く、一緒に旅をしたかったですね」

と、、、女の人は言いながら、微笑みを浮かべていた。

祭次郎から見たら、本当に心温まる光景だった。

眩しいくらい二人は輝いていた。

「しかし、花笠まつりはどう見て回ればいいのかわからいけど、、、大丈夫かな、、、年寄り二人で。。」

「そうですね、案内を頼みますか、、、タクシー巡りのように、、」

「それだと、ゆっくり見物が出来ないな、、、」

二人の会話を聞いていた、祭次郎は出しゃばりとは思ったが、、、

「もし、良かったら、、、案内しましょうか、」

という話になり、その老夫婦を祭次郎は花笠まつりを案内することになった。

(花笠まつりが縁で)

人の持つ縁などはどこで絡み合うか分からないものだ。

祭次郎がお節介やきということもあるけど、、

しかし、年寄りには親切にしておきたいという祭次郎の考方からかも知れない。

どんな場合も祭次郎は優先するのであった。年寄りと子供は、、生まれついてのものらしい。

そんなことで老夫婦を案内しながら、花笠まつりを見物してた、老夫婦の喜ぶ笑顔を眺めながら、祭次郎も楽しんでいた。

そんな時に群衆がざわめいた、、、

「きゃあ、、助けて、、、」とか、いろいろな悲鳴が、叫び声が聞こえてきた。

その声や見物人のどよめきが付かずいてきた。

そして、一人の男が手に刃物のような物を持って、刃物を振り回しながら近づいてきた。

祭次郎は不味いと思い、一緒に来た老夫婦の前に自分が立ち塞がていた、と同時に刃物を持った男が老夫婦の一人を捕まえていた。おばあさんだつた。

捕まえたおばあさんの後ろから、首に刃物をあてて、叫んだ。しかもその男は酔っているようなので、危ないと感じた。

「おーーい、道を開けて、後ろに下がれ、、、」と、、、

酒の力のせいか、大きな声で怒鳴なっていた。

そして、その人質を取って、叫んだ。。。

「こらーー、道子、出てこい、、、」と、その暴れている現場の前のお店に、、怒鳴っったのである。

お店は「大場酒蔵飲み処」と書いてあり、小料理屋のようだった。

「道子ーーー出てこないと、この婆を殺すぞーー」

「本気だからな、、おーーい、、糞女出てこーい」と言いながら、、いつの間にか手には拳銃を持っていた。

そして、店に向かって撃った、、

その拳銃の音に、周囲を取り囲んでいた、群衆も後ずさりした。

警察官も来た、、、パトカーが2台、、、警察官がその男を包囲したが、何もできなかった。

その男の叫んでいるお店の女、道子も出てこない。

拳銃を撃った男はイライラしている様子で、もう一発を撃った。

祭次郎は参ったな、、と思いながら、捕まっているおばあさんを心配していた。

そして、祭次郎は事件記者の時代から、このような修羅場を何度も経験していたので、、、その男の隙を狙っていた。

そして、二発目を撃った瞬間に、祭次郎は飛び掛かった。

狙いは上手くいった、

人質のおばあさんを突き放して、その男の体を突き飛ばしていた。

しかし、その男は倒れながら、更に三発目を撃ったのであるが、見た目には祭次郎に当たったようだった。

包囲していた警察官も飛び出していた。

その男は数名の警察官に取り押さえられた。

祭次郎は撃たれた、、、急所は外れていたが、その場に蹲ってしまった。

間もなく救急車が来て、祭次郎は運ばれた。

一緒に来た老夫婦はおろおろするばかりで、立ちすくんでいた。「ごめんなさい、、、ごめんなさい」と、、、

おばあさんは泣き崩れていた。それを支えながらおじいさんも突然のことで体を震わせていた。

老夫婦には降って沸いたような出来事だった。

しかし、助かった、、、命拾いしたのであった。

二人は祭次郎を心配した、、、おばあさんは泣きじゃくりなら、お爺さんを急かして、救急車の後を追った。

(病院で、、、心配する老夫婦)

祭次郎は山形市内の市民病院で3日間、昏睡状態で特別室に入院していた。傍らには老夫婦が心配そうに付ききりで看病していた。

「ばあさんや、祭さんが元気になったら,わしらの伊豆の国へ連れていき、療養してもらいたいな。。。」

「そうだね、あんた、、、伊豆の国の綺麗な海を見ながら、ゆっくりして欲しいね」

二人は小声で話していた。

入院してから4日目に、祭次郎は目が覚めた。

祭次郎が目が覚めて、老夫婦に話しかけてきた。

「ああ、、すいません、、、俺、寝てしまっていたんだ、」

と言いながら笑みを浮かべて、老夫婦にお礼を述べた。

「何ですか、、、私が助けてもらったのに、、、本当にありがとうございます、、、私たちの命の恩人ですよ、、、ありがとうございます」

と、、、二人で何度も頭を下げて感謝してくれた。

「祭さん、退院したら、私たちの家に来て、療養してください、、、何もできませんが、、」

「祭さん、私たちの家は海の見える高台あり、、とても景色が綺麗ですよ、、」

と二人で誘ってくれた。

海が見えて、朝は朝日が、、夕方には真赤な夕日が綺麗だと言ってくれた。

魚料理が美味しいですと、、、おじいさんは海釣りが好きで、魚を捌くことが上手だという。

祭次郎は退院したら、二人の誘ってくれる伊豆の国へ行ってみたくなった。

そして、しばらくは祭り旅を休もうかと、、、、、

二人の話を聞きながら、心は伊豆の国の海へと、、、朝夕の輝く海が見たいと、、、心はすでに伊豆の国へと。。。。

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