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月曜の朝

作者: 森澄 弘

 正月に実家に帰った時である。兄と会うのも1年ぶりだった。

 そういえばと、兄が話し出した。

 10月に通勤途中、バイクで転倒して死にかけた。雨でもないのにタイヤがスリップしたということだった。そして、左膝を7針縫ったそうだ。

 私はその傷跡を見て、驚いた。

 私も、朝出勤しようと、自転車で駅に向かう途中のことだ。ペダルを思い切り踏み込んだ時、チェーンが切れた。つんのめるようになり、自転車ごと、180度回転し、背中から落ちた。膝に痛みを感じていたが、そのまま電車に乗った。

 会社に着き、膝を見ると裂けている。上司に事情を説明し、近くの病院に行った。

 医師は傷口を見て、ニヤリと笑った気がした。

「骨に異常はないようですね。じゃ、縫いましょう」

 そして、7針縫うことになった。

 兄と膝の縫い後を見せ合った。ほぼ同じ場所、形だった。

 私がケガをしたのは、10月に入ってすぐだった。休み明けだったから、月曜日。第1月曜日になるか。兄は驚いていた。兄も第1月曜日だった。

 2人とも、しばらく黙っていたが、兄がポツリと言った。

「ばあさんが亡くなったのは、たしか10月だったなぁ」

 この程度ですんだのだから、何かの警告だと思うことにした。

 翌日、2人で時期外れのお墓参りに行った。

(了)

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