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青と黒  作者: 永遠の二番手
プロローグ
1/3

登校

 バスの外には朝の景色がうつっている。そこに少しだけ自分の顔が反射され、後ろの背景にピントがうまく合わず自分の顔が鮮明に見えてしまう。

 耳にイヤフォンを当てる。すると、自分の耳から完全に外界の音がシャットアウトされ、自分の時間が、自分だけの世界が聞こえてくる。

 僕はカバンから自分のケータイを取り出し、ロックを解除する。ロックの番号は自分の中で一番特別な日、誕生日だ。誕生日を打ち込みサイトを立ち上げる。

 僕は、みんなには知られたくない趣味の一つにケータイ小説に投稿しているというものがある。別段公開しても構わないがなぜか恥ずかしいのである。

 バスが目的地に着くまでの間の僕の楽しみだ。サイトを開き、画面をフリックしていくうちに、不意に顔を挙げるとそこに目的地付近の景色が近づいてきた。

 何回もこのバスに乗ったことがあるので、もう体がどのくらい経ったら停留所に着くのかがわかってきた。

 僕はスマホを閉じ、イヤフォンを外し降りる準備をする。

 何度も見ている駅前の道を歩いていく。僕は、バスと電車で通学している。

 今日は運がいいことにちょうど電車がいていた。僕がいつも乗るところは始発なので全然誰も座っていない。一番後ろの席の一番端の席になるべく小さく見えるように座る。カバンを開き、またイヤフォンを取り出す。

 電車でもイヤフォンをつけ音楽を聴く。


 お気に入りのフレーズと曲を聴く。

 それをリピート再生しながら、電車の窓から流れる景色を見つめる。電車の窓から見える景色は、バスの窓から見る景色と違って単調だ。しかし、バスとは反対に人が多い。

 人の服が全員厚くなっている。もう冬か、と思いながら冷えて痛くなった手を擦り合わせる。この、手を擦る季節になると、僕は冬になったとようやくわかる。

 アナウンスが最寄駅の到着を知らせる。学校の近くには、大学や他の学校もたくさんあるので、学生のような格好をした人たちがザワッとなり降りる準備を始める。僕も例に漏れず準備を始める。

 2回目のアナウンスが響きみんな降り始める。僕は、最後の方で降りる。

 自分と同じ学生服を着たグループがいくつか集まっているが、僕はどこのグループにも属さない。第三勢力、というよりも中立だ。どこかのグループに肩を入れることもないが、逆にどこかのグループを攻撃することもない。

 そんなことを思いながら歩いていくうちに自分たちの学校が見えてきた。何度も見て、見飽きたなんの変わりもない校舎だ。

 靴箱に入る。僕は、電車とバス通学だから遅い。みんなの靴箱に学校指定の靴が入っている。

——しかし、その時僕は見落としていた。一つだけ違う彼の靴を。

 

  なんの変哲もない日常の始まり——


——だと思っていた。しかし、彼がやってきた。

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