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転生少年、異世界へ ~鉄道の力で無人大陸に国を築きます~  作者: 四葦二鳥


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第88駅 最終決戦・ノイロイター攻防戦 ~ノイロイター~

~キャロリン・バルツァーside~


「陛下。もはやこれまでです」


 宮殿の謁見室で、側近はバルツァー帝国皇帝、キャロリン・バルツァーに対しそう告げた。

 しかしキャロリンは、冷たい声で答えた。


「何言ってるの? 我々が降伏してしまえば、民が貧困に喘ぐことになる。そんなこと、断じて許されないわ」


「し、しかし……すでに敵はここノイロイターに接近しつつあり、最悪ノイロイターが戦場になることも……」


「くどいわ。さっさと敵を帝国から追い出しなさい。我々には、それしか道がないのよ」


「……わかりました。失礼します」


 側近は謁見室を辞した。

 そして謁見室を出てすぐ、彼は近衛隊長と会った。


「近衛隊長。皇帝陛下は徹底抗戦をお望みのようだが……それが出来る可能性は?」


「ほぼ不可能に近いでしょう。陛下は具体的な作戦についてお話になられましたか?」


「いや、全く」


「でしたら、我々に勝算はないと断言できます」


 実は、キャロリンのスキルは戦争における作戦立案ができるスキルで、このスキルが発動すればほぼ勝てるほど強力なものだ。事実、今まで帝国が勢力を拡大し続けられたのも、このスキルのおかげでもあった。

 だが、スキルが発動していないという事は、もう勝てる見込みはないのだ。


「このままでは帝国民の命が無駄に失われ、ノイロイターが戦火に包まれてしまう。それだけは避けたい。

 だから、近衛隊長。かなり酷なお願いをするが、よろしいか?」


「……引き受けましょう」


 神妙な面持ちで、近衛隊長は答えた。


「機会を見計らい、陛下に『お休みいただく』のだ。その間、我々で終戦交渉を行う」


「……わかりました」


 そして近衛隊長は退室し、側近のお願いを果たすべく準備に取りかかった。




~トシノリside~


 現在、僕達はバルツァー帝国の首都ノイロイターの近郊にある森に陣取っている。森って言っても割と見通しが良く、戦う上では平野とあまり変わらないらしい。

 近くにはスタッキーニ王国、メイデン共和国、スエノブ皇国の軍が本陣を構えており、それぞれの陣に各国家元首がいて戦いの趨勢を見守る予定。

 もちろん僕達グラニット王国もグラニット号を中心に本陣を構えており、僕達三人も戦闘車両に移って戦いを見守るつもりなんだ。


 さらにこのグラニット号、ちょっとした改造を施されている。

 グラニット号は列車砲といったリットリナさん設計の兵器車両を牽引していたんだけど、これらを作動させるには鉄道隊員が直接操作するしかなかった。

 でも現在は改造を終え、戦闘車両からの遠隔操作で作動させることが出来るようになった。

 本来、戦闘車両は僕のスキルで出した物だから改造は出来ないはずだけど、鉄道研究所の設置によって技術力が爆上がり。多少ならスキル由来の車両でも改造が出来るようになった。


 もちろん、鉄道研究所の力だけじゃなく、その力を使いこなしたリットリナさんのおかげでもあるんだけど。


 そしてバルツァー帝国皇帝、キャロリン・バルツァーのスキルについても、先日クラウスが情報提供してくれたおかげで判明した。

 スキル名『作戦立案』。戦いにおいて、必ず勝てる作戦を立案できるという破格のスキル。このスキルのおかげで、バルツァー帝国は侵略を成功し続けられたらしい。

 ただしその力を十分に発揮するためには、必要な情報を正確に把握している必要があるそう。


 ただ、現実にはバルツァー帝国は他国に攻め込まれていて、とうとう首都に攻め込まれる寸前まで追い込まれている。

 この現状についてはクラウス曰く、『皇帝陛下が必要な情報を把握できなかったからでしょう』とのこと。

 どうやら皇帝は、国内の貴族が貴族同士で対立していたり、貴族が福祉費を横領していたりした事実を知らなかったらしい。そして、魔力鉄道のことを最後の最後まで半信半疑であったのだそう。

 そのため誰も必要な援軍を派遣する事はなく、民衆の抵抗運動も発生せず、尋常ではない敵の輸送力・移動スピードに翻弄された結果、こうして危機的状況になったとクラウスは予想していた。


「としのりー、何かうごいたのだー!」


「ん? どれどれ……」


 エディが、敵の動きに何か気付いたらしい。

 敵軍の方角をモニタリングしている画面を見ると、敵の一団がゆっくりと動いているのが見えた。

 そして、その一団が持っていたのは――」


「白旗……?」


「交渉を行いたいのでしょうか? でも戦闘前に……?」


 僕達は訝しみながら、その様子を見ていた。



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