ジェニファーとパティ
するとパティの目がゆっくりと開き
アリスとリンダがパティの所に駆け寄った。
「パティ、私よ」
リンダが声を上げるとパティが
目の前の二人を見て声を出した。
「あっ、ママ。おばあちゃん」
「よかった、パティ」
アリスはパティの手を握って涙をこぼしていた。
「ねえ、亮の声が・・・」
パティが小さな声で囁いた。
それを聞いたリンダとアリスはベッドの脇を開けると
亮が立っていた。
「ああ、亮」
パティは亮の方に両手を差し出した。
「パティ、大丈夫?」
「ええ、あなたが私を迎えに来てくれたわ。王子様みたい」
男みたいだった昔に比べパティは美しく
洗練され魅力的な女性になっていた。
「ああ、亮は魔法使いかい」
アリスが亮に話しかけると
「アリス、パティは撃たれた恐怖で意識を
戻さなかっただけです。
だから、きっかけを作っただけです」
「まったく、あんたは謙虚なんだから。
僕のお蔭ですと偉そうに言ったら
どうなの!それじゃ出世しないよ!」
今の亮の仕事を知らないアリスはまるで自分の
孫や子供を叱るように言った。
「すみません」
亮は頭を下げるとマギーと小妹は亮の新しい
弱点を知って
ニヤニヤと笑っていた。
「さあ、意識が戻ったから先生を呼びましょう」
亮が病室を出るとジェニファーがパティの所へ車いすで
近づいた。
「パティ、大変だったわね」
「ジェニファーこそ、あのブラウン捜査官が
敵のスパイだとは思わなかったわ。
それにどうして車いすなの?」
「昨日、エリックを捕まえた時撃たれたの」
ジェニファーは許されるならパティに自分たちがやった
仕事を誇らしげに言いたかった。
「ジェニファーどうして亮と一緒なの?」
パティはジェニファーと亮の関係が不思議になっていた。
「そう言えばそうね、どうして二人は知り合いなの?」
リンダもあまりに自然に一緒に居るので
それに気が付かなかった。
「ああ、実は私が日本に行った時偶然にパティの事が
わかって・・・本当に驚いちゃった」
ジェニファーはパティに亮との関係がばれないように
ドキドキして答えた。
「ねえ、亮は我が家の息子同然だから日本で
警察関係仕事をしているのを
祖母と母に内緒にしていてくれる。
実家の製薬会社を継いでいると思っているの」
パティはジェニファーの耳元で囁くと、
亮に全く相手にされなかった時の自分を
思い出して悲しい顔をしていた。
「パティ、学生時代の亮はまだ子供だったのよ、
亮は昔の亮と違うわ」
パティはいつも何を考えているかわからず、
掴みどころのない亮を思い浮かべて
笑いながらジェニファーに聞いた。
「じゃあ、少しは何を考えているか解りやすくなったのかしら?」
「あっ、それは無理かもしれない。時々変な事言い出すから、
ただ彼は大物になるわ」
「うふふ、亮が大物になるなんて不思議な気がする」
パティはあまりにも身近にいた亮を高い評価が出来なかった。
「パティ、私もしばらく入院するから
その話はゆっくりとしましょう」
ジェニファーは笑いながらパティの手を掴んだ。
そこへ亮が呼んだ医師が入って来てパティの
状態を診て様態が安定した事を確認した。
「意識が戻ったのでもう大丈夫です。安心してください」
医師の応えでアリスとリンダが喜んでパティを抱きしめた。
「さて、僕たちは帰りましょう」
亮はマギーと小妹の肩を叩いて病院を出た。
そこにロビンから電話がかかってきた。
「亮、今何処だ?」
「ニューヨークです。パティが怪我をして入院したので」
「パティが!それで怪我の具合は?」
「さっき意識を取り戻しました」
「そうか、よかった・・・」
亮の学生時代からパティを知っているロビンは
心から心配していた。
「亮、明日の日曜みんなでハンプトン
に来ないか海がきれいだぞ」
「それはいいですね。行きます」
「うん、それで今日美喜の所に知らない
電話番号の電話かかってきて
その発信場所がメキシコシティだったんだ」
「メキシコシティ!」
亮は最初にボビーを疑った。
「ああ、持ち主を今調べている」
「ひょっとしたらボビーかもしれませんね」
「その可能性があるな。あっ、それから・・・」
ロビンの話方がぎこちなかった。
「なんですか?」
「まあいい、頑張れよ」
「何がですか?」
「あはは、また明日な」
ロビンは突然電話を切った。
亮はマシューとイーサンに夜まで
休むように指示をすると
「何か?」
亮はマギーの方を見た。
「マギー君も女性なんだからもっと
顔を大事にしてください」
亮はマギーの顔見て目の周りを見て優しくなでた。
「大丈夫か?痛くないか?黄色くなっているぞ」
「ええ、大丈夫」
マギーは亮の優しい手がまるで猫の毛に
様に柔らかく暖かく感じた。
「亮に聞いた?妹の話」
「はい。家族が出来るなんて夢のよう」
孤児だったマギーにとって家族は暖かく、
優しく幸せに満ちたものだった。
玲奈はマギーの殴られた部分に
ファンデーションを丁寧に塗り始めた。
「今日はみんなで食事なんだから
綺麗にしなくちゃね」
「ありがとう、玲奈さん」
玲奈の微笑みはマギーに
やすらぎを与えてくれた。
それは母親のようでもあり
姉のような微笑みだった。
「亮、今何処だ!」
電話をかけて来たのはブルーノ・ジャックマンだった。
「ああ、ブルー。今ニューヨークに戻っています」
「そうか、ラスベガスでのコンベンションが
終わったので一緒に遊ぼうと思ったんだが
残念だ。それで仕事の方は?」
「うまく行きました、順調です。
その件で後程話があります」
亮はメキシコマフィアとのトラブルの
話は一切せずに済ませ計画した
リゾートホテルのスポーツジム運営を相談したかった。
「そうか。ブルックも喜ぶぞ。
じゃあ月曜日ワシントンで会おう」




