プロジェクトのメンバー
亮は計画書をプリントすると
それをファイリングした。
すると大領領とラルフは三人の男と一人の
女性を連れて会議室に入ってきて
ラルフは四人を亮とブルックに紹介をした。
「亮、紹介しよう。環境省のフランク・モロー博士
地球温暖化研究のエキスパートだ。
そしてエネルギー工学のチャールズ・リードだ」
「よろしく」
60歳近い白いひげを蓄えた
男性は笑顔で亮と握手をした。
「ジュリアード・グラス博士、
機械工学を研究している」
「よろしく」
亮と握手をした亮と握手をした30代半ばの
チャールズは亮に敵意をむき出しているように見えた。
「こちらが今回、大統領提案書にまとめて
くれる秘書官のローガンとエマ」
「よろしく」
30歳そこそこの精悍な顔つきローガンは
いかにもエリートっぽい真剣な目で
亮を見つめ手を強く握った。
黒髪をアップにして眼鏡をかけノーメイクで
仕事の準備をしているエマは
美しかった。
亮の脇に座ったブルックは白いシャツに
黒いタイトスカートに着替えていた。
「ブルック、セクシー過ぎないですか」
亮はブルックの揺れる胸元を見て小声で言った。
「うふふ、イブニングだったのでノーブラだったの
背中の開いたドレスよりましでしょう」
「まあそうですね」
亮はボタンの隙間から胸の
ふくらみを覗いて微笑んだ。
「さあ、話を始めてくれないか」
亮はラルフに言われモニターの
脇に立ち説明を始め
ブルックは亮の合図で画面を変えた。
亮は専門家相手に緊張しながら、
空気中の二酸化炭素に圧縮を掛け
ドライアイスにして空気中の炭酸ガスを減らす事
地中に埋め地表温度を下げる事によって
砂漠を緑化させる事、
その炭酸ガスがゆっくり地上に上がって
植物の生育を促進させ光合成によって
酸素を放出させる事、
台風が発生した時はそのドライアイスを海に流し
水温を下げて台風の勢力を弱める事などを
画面を交えて話をした。
「あはは、おもしろい。ドライアイスを
地下に埋めるなん誰も考えなかった」
フランク・モローは手を叩いて笑いながら質問した。
「亮、これは地下何メートルに作るつもりかね?」
「地上の気温によります。アフリカなど高温の所は
当初は浅く緑化の進行状況によって
次第に深く埋めていきます」
亮の答はシュミレーションデータを
みんなに見せ明確に答えた。
「なるほど・・・ジュリアード博士
技術的にはどうですか?」
フランク・モローがジュリアードに聞いた。
「ええ、理論的には可能です」
フランクは亮が出した設計図を見ながら
自分なりに設計をしていくと亮の
プランが完ぺきだったのに舌打ちをした。
「フランク、では技術的にはどうなんだ」
大統領がフランクに聞いた。
「技術的にはもちろん可能ですが
1つだけ解らないところが・・・」
亮はフランクの解らない意味を知って
設計図をフランクに見せた。
「フランク博士、二酸化炭素の圧縮の
効率を上げる部分はここです」
フランクは設計図を見て目を丸くしていた。
「これは・・・」
それは亮が描いた完ぺきに出来上
がっている機械の設計図だった。
「大丈夫です、ちゃんと動きます」
亮はフランクに向かってほほ笑んだ。
「亮、ここには他の設計図がありますね」
「ええ、炭素から炭酸ナトリウム(NaCO3)や
炭酸塩(CaCO3)に変化させ
ガラス、カーボナノチューブ、
グラファイトを作ろうと思っています。
実際に炭酸塩から作ったガラスを
太陽光パネルカバーにして効率アップに
成功しています」
「まさか空気中にある炭酸ガスからそんな
物を作るなんて気の遠くなるような話あるか?」
ラルフが聞いた。
「もちろん、それだけじゃできませんが
炭素は人間が汚した水や土壌から
容易に取ることができます」
「なるほど」
ラルフがその都度うなずき大統領は
真剣な顔で亮の話を聞いていた。
「これらの物を貧困に喘いでいる
アフリカに工場を作りたいと思っています」
亮が炭酸ガスと戦う真剣な態度にみんなが
亮に好意を待ち始めていた。
1時間ほどの質疑応答で全員が理解すると
「私は基本的には賛成だ!もう少し
シュミレーションをしてみないと分からないが
10年あれば世界は変わるだろう」
フランクは世界温暖化を考えながら
自分の髭をなでて言った。
「私も技術的に実現可能だと思います」
当初亮に対してライバル意識を持っていたジュリアードも
亮と技術的な話を何度かして互いに理解した。
「わかった、ローガン、エマ大統領議題として
議会に提出できるように
書類を書き上げてくれ」
大統領は二人に指示をした。
「了解しました」
「わからない事があったら自分で判断せず
ミスター・ダンに直接連絡を取りなさい
彼もプロジェクトメンバーだ」
「はい、大統領」
二人が答えると亮は大統領に聞いた。
「大統領、僕がプロジェクトのメンバーですか?」
「当たり前だ、本来発案者プロジェクトリーダーを
するんだが君は日本人だからメンバーとして
動いてもらう」
「わかりました」
「あの二人の博士は真剣に考えている、
そして私も真剣なんだ。亮また契約書に
サインをして貰わなくてはならない。あはは」
大統領は亮に親しみを込めて言った。
「あ~あ、亮はまた仕事を増やしちゃった。
それに友達も・・・」
ブルックは亮の方を見てつぶやいた。
「ラフ、このプロジェクトが大統領議題として
議会に通ったら上院議員を辞めて
環境保護庁の長官になってくれないか」
「分かりました」
~~~~~
「警視、高田健治はJP通信を辞めてから
大田区に本社がある三光電気製作所の取締役に
なっています」
樫村が美咲に報告に来た。
「それで、そこはどんな会社?」
「はい、電子部品、コンデンサーの製造会社で
アメリカや東南アジアに輸出しています。
それと最近大田区の町工場の社長が
持っていた電流のパルスを安定させる
特許商品の権利を買って売り上げを
伸ばしているようです」
「それで中東には売っている?」
美咲に言われた樫村がリストを見て答えた。
「ええと取引はありません。一番西側がインドです」
「そう・・・怪しいわね」
「何がですか?」
「樫村さん、三光電気でワッセナー・アレンジメント
(『通常兵器及び関連汎用品・技術の輸出管理に
関するワッセナー・アレンジメント)の
輸出管理対象品目リストにかかわる製品を
作っているかすぐに調べてください。
ひょっとしたら密輸をしている可能性が有ります」
「わかりました、すぐに調べます」
~~~~~
ハイツ白金台で見張りをしていた大野と桜田の所に
大野巡査部長が松本警部補が捜索差押許可状を持ってきた。
「大野、許可状を持ってきたぞ」
「お疲れ様。松本警部補」
大野は松本に礼を言った。
「それで中の様子はどうだ?」
「今朝から見張りをしていましたが人の
出入りもなく電気メーターもほとんど
動いていないのでたぶん誰もいないようです」
大野が松本に報告をした。
「わかった、じゃあ中に入ろう。部屋の鍵は?」
「自分が持っています」
桜田が松本に鍵を見せると
「爆弾処理班がこっちへ向かっているから
到着してからにしませんか」




