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モーリス

「本当ですか?」

「それとコリーナはスタジオD/NYで

デザインの勉強を生かして

アルバイトしてください。

社長が女性なのでセクハラは無いですよ

そして、いつか日本に遊びに来てください」

「はい、ありがとうございます」


「玲奈さんは姉と一緒にスタジオD/NY

事務所の準備をしてください」

亮はいきなり玲奈に指示をした。

「は、はい」

玲奈はどうしていいかよくわからなかった。

「スタジオD/NYの事務所の中に

日本のアメリカ事務所が出来るので

その部屋の整理です。詳しくはマリアと

話をしてください」


「わかりました」

「玲奈さん。その部屋で日本への商品の

発注作業と通関作業の仕事が行われるんです」

「そうか、忙しいんですね」

玲奈が他人事のように答えると


「そうだ、従業員の面接をしておいてください。

自分の部下なのでしっかり選んでください」

「私がですか?」

玲奈が面接をできるような立場

では無いと思っていて驚いた。


「あれ?千沙子姉さんに聞いていませんでした?

玲奈さんは姉のアシスタントとして

ニューヨークとアメリカを行き来してもらいます。

ただ、玲奈さんはプラウの社員なので・・・」

亮が悩んでいると

「はい、美宝堂の外注という事で」

玲奈は笑顔で背筋を伸ばして答えた。


「玲奈さんこの部屋を一緒に使いましょう」

千沙子がそう言って玲奈の手を握った。

「さて僕たちは金貸しの所へ行きましょう」

亮はエドたちの方向を見て言った。

「はい」

マシューとイーサンとマギーそして

エドが返事をして部屋を出て行った。


~~~~~

亮たちが出て行ったあと

コリーンが千沙子に聞いた。

「どうして亮さんは私たちにこんなに

親切にしてくれるんですか?」

「なぜかしらね?きっと彼は

あなたを好きなのかもしれない」


「私を?」

コリーンは優しく微笑む亮に好意を持っていたが

まさか亮が自分を好きだと言われて、

白い肌を真っ赤に染めていた。


「亮が愛した女性には幸せになるわよ。

うふふ。ねっ!玲奈さん」

千沙子は玲奈の方を見て微笑んだ。


~~~~~

亮たちはセントラル・パークの

北側にあるハーレムに着き

エドの案内で金貸しの事務所に歩き始めた。


レンガ造りの多いこの街は

アフリカ系アメリカ人が多く

昼間のメイン通りは安全だが裏路地やその奥の

住宅地など観光客の行かないような所は

昼間平然と麻薬の売買が行われ

る事があり危険の多い場所である。


「亮さん、125番街の奥の事務所です」

エドが五人の先頭を歩き振り返って亮に行った。

「あのアポロシアターがあるところですね」

「亮、よく知っているわね」

マギーが亮に聞いた。


「ええ、アポロシアターのアマチュアナイトで、

ダイアナ・ロスやジェームズ・ブラウンや

スティービー・ワンダーそして

ジャクソン・ファイブが輩出されたんですから

日本でも有名ですよ」

四人は日本人の亮がアメリカの音楽に詳しいので

親しみが湧いてニッコリと笑った。


「亮、ミュージシャンで誰が好き?」

「美空ひばりです」

マギーが亮に聞くと亮は即答した。

「MISORA HIBARI?」

マギーは期待外れの亮の答えに立ち止まって首を傾げた。


アポロシアターの脇の路地を入りまたそれを

左に入ったところに、レンガ作りの事務所の

ビルの入り口に体の大きな黒人二人が立っていた。

「なんの様だ」

男はエドに声をかけた。


「金を返しに来た」

男はエドの返答に亮の顔を見ると亮は

アタッシュケースを開けて中の金を見せた。

「うん、入れ」

エドと亮を通すと男たちはマシューと

イーサンとマギーを止めた。


「お前たちは外で待っていろ、

金を返すだけなら二人で充分だ」

もう一人の男は亮とエドのボディチェックを

するとエレベーターを指差した。


「あっ、亮。大丈夫かしら?」

マギーは入り口の黒人の上着の下のふくらみで、

ただの金貸しではなく明らかに裏で何かをやっている

マフィアの事務所である事を確信していた。


「大丈夫ですよ、マギー。お金を返すだけ

なんだから、すぐに戻ります」

マシューはそう言って入り口の

男たちの動きを見つめていた。


それでも心配なマギーは外に出て暗鬼の

総帥趙剛に電話をかけた。

「マギーです。統領」

「ん?何かの間違いじゃないか?

私の知っているマギーは死んだ」

趙剛は死で暗鬼を辞めたマギーを無視した。


「は、はい。では私の独り言を。

團亮は今ニューヨークのハーレムのマフィアの

 事務所に入って行きました」

「ふんふん、では私も独り言を言おう。

暗鬼はいつも遠くから亮を護っている、

 何かあったらジェニファーに連絡しろ」

「はっ、ありがとうございます。統領」


「まったく、日本から姿を消したと

思ったらニューヨークか。ははは」

電話の向こうから趙剛の笑い声が

聞こえるとマギーは

なぜかホッとしてビルを見上げた。


~~~~~

亮たちはボスのいる5階の部屋に案内されて

入った。

「エド、ずいぶんまともな男を

連れて来たじゃないか」

窓を背に向け大きな椅子に座り葉巻を

口にくわえた太った黒人の男が

亮の全身をジロジロと見て言った。


「モーリス、金を返しに来た」

エドがそう言うと亮はアルミ色した

アタッシュケースを開け

10000ドルを取り出し机の上に置いた。

「ふん、これでいくらだ?」

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